~序~
転移魔法によって移動が格段に容易となった。
一旦ザーカ村に寄る。ロインが旅立ってから初めて立ち寄った村である。そこで一般の服を買う。
「おお~! ゾイ似合ってるじゃん」
「印象がまるで違うね!」
ゾイはロインに劣らず美少年とも美少女にも見える姿になった。
しかしロインに無いものもあった。屈強さである。
「でもカサタ村では暗黒の服がまだ必要だから売らずにとっておくよ」
「そっか」
「あ、忘れてた。水道建設だ」
早速ザーカ村でもロインは水道建設の提案をした。酋長は大いに喜んだ。
数日かけてこの村の上下水道は完成した。
ロインたちの水道建設は順調に進む。
そして「ラディア」を辞めることを伝える。
また狩猟が主な部族には農耕を伝える。
ロインたちの旅はまさに生活に革命をもたらすものだった。
もちろんこの噂は闇のベルダーシュ達にも届いた。
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「ほお、ラディアを辞める代わりに水道建設とな?」
闇色の竜の仮面の者が玉座に座っている。
「そうです。ロインがこの大陸のあちこちで行っております」
闇色の鴉の仮面の者がひざまつきながら答える。
「このままではこの集団の存続の危機」
闇色のバファローの仮面の者が言う。
「薪を売っているとのこと」
闇色の蟲の仮面の者が言う。
「奴らのやっていることは正しい」
「しかし、だからと言ってベルダーシュが権力を持つ国家建設に非を唱える者は厳罰にせねば」
「そこで私が発案したあれよ」
「炎の魔石を使った厨房ですな」
「薪要らずだ」
「魔石の欠片で明りを灯せる」
「このようにな」
帝王が瓶に入ってる炎の魔石の欠片に呪文を唱えると闇に支配された場が……一気に光が支配する場となった。
「支配地域の住民の心を繋ぎ留めろ」
「はっ!」
「それと奴らをとらえてここに連れてこい。水道技術はおいしい」
「もっとも技術だけ盗み取って我らが行えば彼らの価値は一気に失う。水道技術を得たら我に報告せよ」
「承知」
そういうと四天王は瞬時に転移魔法を唱えて消えた。
「ロインか……」