第十一話
ロインは次の日も懸命に水道管を作った。それに排水管も作った。
すでにメインの水道管は作ったので翌日の作業は各家庭につなげるだけであった。
この村には風呂場も無かった。ロインは公衆浴場を作った。
「公衆共同便所は明日作る。それで完成だ」
「簡易な浄化槽も作る」
「なんとお礼を申し上げてよいか」
◆◇◆◇
一方ベルダーシュの家では魔法の伝授が行われていた。
(俺が勝手に逃げたせいでこいつは苦労してるんだもんな)
しかしケインが教えたのは毒魔法、暗闇の術、体力吸収術とおどろおどろしいものばかりであった。
「最後に仮面の術だが鬼の名前が変わるだけで基本変わらない」
「明日、仮面の魔法は伝授する」
「ありがとうございます」
「ケイン、あの魔法は……」
「そうだ、我々の術は闇魔法。だが心まで闇になるかどうかは使い手次第……それに炎の術以外、忘れてしまったよ。それにあんなのまだまだ初歩だ。いざとなったら生贄を使って呪いの術を行う……もっとも闇属性の上級魔法なんて教えないから安心しろ」
「……」
「それと鬼に変化したときは強力な武器が使えるだけでなく人を食い殺せ、しかも人間の血肉がそのまま術者の強化物質となる。鬼面は決して弱い仮面じゃない」
「そうか……」
こうして二日目が終わった。
◆◇◆◇
三日目は公衆浴場の完成である。そして公衆トイレも完成した。
「弁を開けると、ほら」
蛇口から水道が流れてくる。
「浄化槽は定期的にくみ取りしてくれ。臭いからなるべく浮遊魔法で除去したほうがいいぞ」
「本当にありがとうございます」
「酋長、お願いです。『ラディア』を行わないでください」
「分かった。行わない」
「水道管が壊れたら木材で補修してくれ」
「そうする」
「じゃあ、お元気で」
こうして四人はこの村を去った……。
村人が誰も追って来ないことを確認して村が見えなくなった遠い場所まで来て仮面を取る
「お前たちを認めよう」
「俺の本当の名はゾイ」
「ゾイ、改めてよろしく」
「カサタ村の酋長には俺が闇のベルダーシュを辞めていることがばれないはずだ、ハル」
「えっ?」
「俺の指示でハルを試練の旅に行かせたとすればハルは『抜け』にならない」
「なるほど」
「今度は四人でカサタ村に戻ろう」
「失敗するかもしれんが、その時は許してくれ」
そしてゾイは転移呪文を唱え四人は瞬時に転移した。