第六話
「これが、河!?」
「海の間違いじゃねーのか?」
二人はミシシッピ川にやってきた。
船を作ろうにも樹は周りに無い。
「しゃあない。仮面被って変身して空飛ぶぞ」
そう言うとロインは呪文を唱えめきめき音を立てながら巨大な羽をもった竜に変化した。一見すると大蛇のようだ。
カズヤも呪文を唱え巨大な梟へと変化する。
「いくぞ!!」
そういうと竜は馬を両手で拾い空を飛ぶ。
梟のほうがスピードは速い。
大河と言ってもさすが巨大竜に巨大梟、あっという間に対岸に渡った。
解除呪文を唱える。
「はあ、はあ、はあ」
変化の呪文はやはり精神力をかなり消耗するようだ。
「脅かしてごめんよ」
馬は抗議の意を表すべくヒヒーンと言う。
「この先に村があるんだよな」
「ああ、水晶の光もこの方向だ」
「今日はそこで休むもう」
やがて村が見えてきた。広大な畑に差し掛かった。
いや、村という規模じゃない。もはや町だ。
「カホキア族の村にようこそ」
なんて賑やかな村だろう。
酋長の家も立派だ。
墳墓まである。
酋長は二人を歓迎した。
「いろんなものが売られているからよく見ていきなさい」
「ありがとうございます」
「さ、あそこが宿屋だよ」
宿屋に行く途中屈強な戦士によく会う。
「ここは武力も強そうだね」
「うん」
二人は宿屋の前で立ち止まった。そして財布を確認する。
「金がない」
「へ?」
「宿代すら無いぞ」
「ロインのばかー!」
「そんなこと言ったって樹を切って薪を売るという方法が草原じゃ通用しないんだもん」
ロインとカズヤは必死に持ち物を確認した。が……。
「売れる物を探した。しかし何もない。町に来てまで、野宿だぞ」
「そんな……」
こうして二人は華やかな街を少し離れて野宿となった。
野兎を魔法で仕留めて水は川の水を汲んで煮沸させてからウサギの肉を煮込む……。
「おなべの蓋とか『盾です』と言って売れるのかな?」
「惨めになるからやめろ」
「しかし俺が木製の鍋を作っていなかったら本当アウトだな」
「これからお金をどうやって儲けるか考えないとな」
「ベルダーシュって元同性に体を売ることもあるし、だから『ベルダーシュ』なんだが、お前はそういうことしないの?」
「俺の主義に反する。それに性病を感染されたらこの旅が終わる」
「同感」
「じゃあどうやって金を儲けるかだ。森林地帯以外で」
「毛皮を売るか」
「だよな。でもウサギ一匹探すのだって今日は苦労したんだぞ」
「風の刃の魔法じゃ、草刈にしかならねーぞ」
「それだ」
「へっ?」
「草を刈る」
「農業手伝おう」
「お前、マジで言ってるの?」
「うん」
「天下のベルダーシュが、バイト……」
「それしかねーだろ」
カホキア遺跡は実在します。そして実際に都市を形成しておりました。ネイティブアメリカンが原始的生活をしていたなんて嘘です。