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ベルダーシュの勇者  作者: らんた
第二章 ラディア
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第五話

 ワクが呪歌を響かせる。


 それはまるで癒しの曲そのもの。


 ワクは歌いながら薬を煎じる。


 「これ飲んで」


 ロインにそっと飲ませる。なんか優しい……甘い味だ。


 ロインは急速に眠気に犯された。


 「安静してれば数日でよくなるわ」


 「ありが……とう。で、回復魔法ってどう唱えるの?」


 「それはね……」


 それを聞くとロインの視界は闇に包まれていく。しまった。薬の力と回復魔法の力だけではない。これは催眠術だ……。ワクの眼は優しさと醜さを同時に湛えていた……。ロインはカズヤと呼ぼうとしたがカズヤは既に寝込んでいた。



 翌日ロインは起きるとワクから回復魔法を教わる。数日間ロインはワクから教わった回復魔法を自分のものとした。


 ロインがこの村にとどまっている合間にカズヤはこの村で売っている魔石を見た。良質なターコイズであった。


 だが二人はテント代でお金を使ってしまい、魔石が買えない……。


「残念だな」


 数日間……ロインも体調が回復してきた。


 馬の体調も順調だった。


 なんか申し訳ない。元気になったら労働で代償を払う予定でいた。だが意外な答えが返ってきた。


 「お礼は結構よ。お代は《《既に》》十分もらったわ」


 その答えにロインは訝しんだ。でも……まあお礼は言わねば。


 「すまない」


 「何言ってるの。代金はもらってるのだから遠慮はしない」


 「そっか」


 そして数日が経った。ロインはすっかり元気になった。翌朝、二人はワクから回復薬の作り方を教わって、実際に作ってから旅立つこととなった。食事代までタダとは……。


 「ロイン、カズヤ……元気でね」


 ロインは不思議な感覚のまま村を後にした。なんか大事なものを奪われた気がしてならない。その代償とは催眠が解けた青年の時に知る。その時心の傷になって再起不能になるとベルダーシュとして失格なのだ。ベルダーシュになるとはそういう事なのだ。逆にだからこそ旅に出れるということも。


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