表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベルダーシュの勇者  作者: らんた
第一章 俺、第三の性になって魔術師にもなるの!?
12/117

第十一話

 紅葉で満ちる時期になった。 


 ロインはさっそく他の家におじゃまして手芸をしてみた。


 しかし予想通りぐちゃぐちゃになる。ロインはあまりにも不器用で簡単な道具すら作れなかった。


 「いいのよロインは。その魔法の力でこの村を守って頂戴」


 無理な愛想笑いが余計にロインを傷つけた。


 「ロインの魔法のアイテムは私たちが作るから大丈夫」


 こうしてロインは手芸の製作の場を追い出された……。


 本来『男→女』となった場合の普段のベルダーシュは手芸をするのが基本である。


 しかしロインは魔法はともかく今まで通り生活の基本がまるで出来なかった。


 ロインは酋長にこの一連の出来事を報告する。


 「困ったのう」


 「俺、魔法の練習に行きます」


 「……」


 酋長の痛々しい視線がロインに刺さる。


 (どうすれば俺は魔力以外で村に貢献できる?)


 (どうすれば……)


 ロインは河原に出た。


 ロインはとりあえず思い付きで雷魔法を唱えた。紅葉しはじめた樹が倒れた。


 (どうすれば……)


 ロインは業火の炎を唱えた。紅葉した葉が燃えた。


 (どうすれば……)


 ロインは風の刃の魔法を唱えた。


 河岸の反対側の樹が倒れる。


 (これだ……!)


 「これだ。まきが作れるじゃないか!」


 ロインは森に次々風の刃の魔法を唱える。


 次々……木が倒れる。


 ロインは次に細かく切り刻む。


 ロインは切り株に業火の術を唱える。


 さらにロインは浮遊魔法で薪を運ぶ。


 まさに完璧であった。


 ぽかーんと見ている村人たち。


 こうして新しい農地をロインは作った。


 (ザイロはバトルバカだったがロインは何を考えてるか分からないわ)


 (狩猟の森が……ああ……冬は狩猟の季節なのに)


 (やっぱベルダーシュは危険な存在なのよ)


 しかしロイン本人が来ると村人たちは笑顔になる。


 「素晴らしいですわ、ロイン様。もう薪を作る必要がしばらくありませんわ!」


 「おかげで仕事が楽になったよ、ありがとう」


 「当たり前よ!」


 ロインは村人の気持ちを全く理解していなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ