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ベルダーシュの勇者  作者: らんた
第二部 ロイン達の後日談  スローライフ
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第十七話

 セヤの様態が急速に悪化した。


 セヤは階段で躓き骨折してから寝たきりとなった。


 最後は四天王の名前すら間違えるほどだった。


 セヤ享年七六歳。セヤは屋上の祭壇で焼かれた後、遺骨を壺に入れて墓石とともに納められた。フォークロアキャッスルとなって初めての四天王死去となり初めての墓碑が刻まれた。


 セヤの後に四天王の座に着いたのがムエンだった。ロインやゾイの指名だった。


 そしてとうとうカル楽師長にも異変が起きた。


 みるみるうちに体重が激減。急いでロインに漆黒の竜クロノスドラゴンの仮面の呪文と雷鳥の仮面の呪文を伝授した。かろうじて漆黒の竜の呪文と雷鳥の仮面の呪文の断絶を防いだ。


 そして呪文を教えたら安心するかのようにあっという間に亡くなった。享年五二歳。セヤを追うように半年後に亡くなった。


 ベルダーシュに限らず当時の人間の寿命なんてこんなもんだった。


 屋上の祭壇で焼かれ、遺骨はやはり墓石とともに納められた。


 ロインが副官のため自動的に2代目フォークロアキャッスル楽師長となる。


 そして副官はロインの使命によりゾイが選ばれた。


 村で後続のベルダーシュが決まり、流れのベルダーシュとなってフォークロアキャッスルにやって来たキレがゾイの替わりのベルダーシュ四天王に就任した。厨房機器を作るきっかけとなったマヒカ村のベルダーシュだった者である。


 ロインは例年執り行われる慰霊祭で屋上で羊や牛の首が入ってる窯に呪文を唱える。窯には様々な果物、ハーブが入っている。


 通常なら霊を呼び寄せられるのは数体だけだという。しかしロインは三〇体以上の霊を呼んだ。


 なんでロインは楽器をおどろおどろしい音色に変えてしまうのか。


 なんでロインは食事をおどろおどろしいものに変えてしまうのか。


 それは幽霊好みの音、幽霊好みの食事が作れるほど強大な魔力が指に宿っていたからである。


 セヤもカルもウラキ酋長も幽霊となってやって来る。


 それだけではなかった。


 ――ロイン、ロインかい?


 それは幼少期に病気で死んだお父さんとお母さんであった。


 ――ロイン、こんなに立派になって


 ――ずっと風になって我々はロインを見守ってきたの


 ――ロイン、お前は一族の誇りだ


 その声にロインは涙した。


 「風になれ、風になれ」


 ロインは竜の仮面を被り呪文を唱えながら涙した。


 ネイティブアメリカンの魂は土に帰るのではない。風に帰るのだ。千の風になるとはそういう意味である。


 慰霊祭の日が終わった。


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