第十四話
試練に失敗したレインはどん底の日々だった。
(あいつ、ロイン副官の子なのにまるで魔術の才能が無かったらしいぜ?)
(皿洗いしに生まれてきたのかねえ)
そしてレインに待っていたのはいじめであった。
レインは食堂勤務が一か月と持たなかった。
レインは荒れていた。
(このままでは家庭が壊れてしまう!! どうすれば!?)
そんな時に訪れたのはミルだった。ミルはどんどん女性らしさも手に入れまさにベルダーシュとしての魅力が増している。
ロインはミルを家に入れた。
レインはもう長らく引きこもりだった。
「俺さ、実は転移魔法をお父さんに教わったんだ」
「そう、自慢?」
「違うよ」
「もうこんな城見捨てない?」
「え?」
「君は何で食堂従業員選んだの?」
「旅したいからでしょ?」
「だったら旅しようよ」
「お父さん、俺、旅していいの?」
「いいよ」
「本当にいいの?」
「いいよ。ただし、そこで料理を覚えるというのが条件だよ」
「サムル村にまずは行ってみるか?」
「転移ポイントをミルは知らないだろ?」
「うん」
「そこから好きなように行きなさい」
「まずは転移しよう。転移魔法は僕が唱える」
そして三人はサムル村行った。
「久方の故郷だなあ」
「あ、ロイン。ちょうどいいとこに来た」
「なんだよキムル」
「酋長が……」
「ウラキ酋長が、危篤なんだ」
「なんだって!?」
「ミル、このことを伝えてくれ。メイにも伝えてくれ」
「転移魔法の場所はもうこれでわかるよね」
「はい」
「至急で」
そういうとミルは黒い渦を巻いて消えた。