第十二話
ミルが十二歳になった。いよいよ試練の時だ。
三階の四天王や副官の部屋に幻惑の術をかける。そして四階に行けばクリアだ。
四階で楽師長、副官、四天王が水晶を通して試練を見る。
「本当便利だな」
「また間違って魔法が使えないエリアに行って閉じ込められた場合も失格だ」
「二階に逃げた場合も失格とする」
「ミル、それだ。その水晶壊すんだよ」
親のゾイが水晶に向かって言う。悲痛な声だ。
しかしミルは何度も素通りしては元の場所に転移する。
「なんで気が付かないのこの子は!」
ハルも水晶に向かって叫ぶ。
「あと十分。二十分経過」
砂時計が無情にも時を知らせる。
「お!?」
水晶に気が付いた!!
でも去って行った。
しかし自宅にもなっている四天王の部屋から刃物を持ってきた。
そして刃物で緑の水晶を壊す。
幻影魔法が消えた!!
水晶は何も映らななくなった。
そしてミルは四階に上がる。
四階で楽師長、副官、四天王が横に並んだ。
「おめでとう。今日から君はベルダーシュだ」
カル楽師長が言う。
「しかし、次の事を守れなかったら追放とする」
「幻惑魔法の解除方法を2年後に試練を控えているレインに教えた場合。ただしレインが試練を終えた後に解除方法を教えることは全く構わない」
「一年間で上級魔法を身に付けることが出来なかった場合」
「この二つに該当した場合、君は追放だ……」
「はい!」
「おめでとう!!」
「やっぱりうちの子はやれば出来るのよ!!」
こうして化粧を施されたミルは晴れて男→女のベルダーシュとなった。
ミルは半年後に氷魔法の上級魔法である天気を変える魔術を覚えた。
雲を生じさせ雷を降らせたり、雹を降らす「雹来術」である。
本当の意味でミルがベルダーシュとなった時、城はお祭り騒ぎとなった。
喧噪の中で無言だった者が一人いた。
レインである。
そんなレインの姿を見て親であるロインとメイは切なくなった。




