第九話
ミルとレインが今日も遊んでいる。場合によっては母と一緒だ。
「ねえ、この男くさい食堂のほかにもおしゃれな店ほしい」
ハルが言う。
「同感、お茶する場じゃないよねえ」
メイも言う。
「石を削っただけのテーブルじゃねえ……」
「ココとは別にお菓子が食べられる店が欲しい」
「お菓子!?」
ミルが即反応した。
「いいね!」
「また、夫に頑張ってもらっちゃおっか」
「水道管作るロインね……」
「でもデザインは私たちよ」
「それいいねえ」
こうして第二食堂が建設された。
ロインは宿舎フロアとなっている2階の一部を改造する。代わりに宿舎を確保するため別館を作る必要性が出てきた。
石を削った後木製の椅子を作り木で覆われたテーブルにする。
ここは軽食コーナーとなった。
ロインやゾイも訪れる。
憩いの場が誕生した。
「ねえ、ミルとレイン。どこでいつも遊んでるの?」
「おじいちゃん家」
「おじいちゃん?」
「セヤおじいちゃん!」
「そこで何してるの?」
「げんえ~機械で動く絵を見たり、かけ事してる~」
「賭け事~!」
「魔石を賭けるの~!」
「へ?」
「は?」
「はい?」
「なんだって?」
「だからウチからどんどん魔石が無くなってたのか!」
すぐに親たちは……子供を連れてセヤ四天王の部屋に行った。
四天王の部屋は執務室の奥に一般の住居エリアがある。
六人は住居エリアに乗り込んだ。
「おじいちゃん!」
「だからおじさん!」
「セヤ四天王……?」
「賭け事とはまたこれいい教育してますね?」
「お前らこれ内緒って言ったじゃないか!」
「内緒って何?」
「人に話さないことじゃ!」
――ぼこっ!
「ゾイ四天王、痛いでございまする」
「しかし油断も隙もねーな、このおじいさんは」
「これ、使いようによっては凄くない?」
「ロイン?」
「この人形、使いようによっては夜間の警備に役に立つ」
「もっとデカくすればね」
「ロイン副官、お言葉ですがデカい樹の人形を作る魔力はわしにはございませんぞ」
「ふふ~ん!」
「俺にはあるんだな!」
こうしてなんとネオ・フォークロアキャッスルに「ガーディアン一号」と名付けられた守備兵が動くことになった。セヤの呪文で動く!!
「セヤはネオ・フォークロアキャッスルの城主だもんね」
「はい」
「これで夜間警備の負担が軽減と」
「ついでに夜間警備兵との賭け事も減少と」
――ぼこっ!
「ロイン様、痛いでございまする……」
「もううちの子にろくでもない事教えるなよ」
「はい……」
「ところで子供には教えなくていいから俺に教えてくれ」
「はい?」
「賭けは無しでな」
「そんなことでよろしければ……」
こうしてロインの命によりひそかに遊具が作られるようになった。
遊具の販売はネオ・フォークロアキャッスルの副収入となった。
フォークロアキャッスル別館は一か月後に出来た。