第八話
「どうしたのかなぼくちゃんは」
「つまんな~い」
「遊ぶものがな~い」
「とーちゃんもかーちゃんも四天王だからみんなお仕事」
「そうかあ? セヤおじさんも四天王だぞ」
「おじいさん! おじいさん」
「おじいさんはきついなあ」
「そうじゃボードゲームせぬか」
「ボードゲーム?」
「ないしょじゃぞ?」
なんと四天王の部屋に二人を入れる。
「こうやってな、人形の駒に……」
人形に魔石を埋め込み呪文を唱えるとなんと動くではないか!
「で、この駒はマス目から一つしか進まぬ。この駒は二つまで進め、この駒は三つまで進める。この駒は王様じゃ。王様も三つまで進める。王様の駒を取られたらこのゲームは終わりじゃ」
「一つ進む駒は普通のベルダーシュで四人。二つ進む駒は四天王で四人。三つ進む駒は副官で一人。王様は今は楽師長じゃな。もちろん一人。三つ進む。」
「進むのはマス目の縦横斜めどちらでもOK」
「本当は魔石の欠片に込めた魔力を比べる戦いなんじゃ」
「まあ、要はこのゲームは魔法の練習にして計量計みたいなもんなんじゃ。本当は」
「こうして駒同士が接すると」
「あ、駒同士が戦った!」
「あ、負けた!」
「負けると魔石の光が消えて動かなくなる。その駒はボードの外に避けるんじゃ」
「でも、僕たちまだベルダーシュじゃなーい」
「じゃなーい」
「魔法唱えられなーい」
「られなーい」
「農場で働くのは六歳になってからって言われてる~」
「言われてる~」
「そうか~君たち五歳か」
「ミルは五歳だけど、僕三歳!」
「そうかあ。じゃあこんなのはどうじゃ?」
それは幻惑の術を応用した投影機であった。魔石を置き呪文を唱えると映る。
「すご~い」
「音声を記録した魔石を置くと……」
まるで絵が魂を持っているかのように動き、しゃべる。
「どうじゃった?」
「もっとみた~い!」
こうして子供たちはこっそりセヤの部屋に行っては動く人形などの遊びに興じていた。
「これは十枚あるカードゲームでの……?」
「一般のベルダーシュの絵が四枚、四天王の絵が四枚。副官の絵が一枚。王様の絵が一枚じゃ。王様を抜かれたら終わり」
「賭けるとさらに面白いぞ?」
こうしてミルとレインはセヤの部屋で遊ぶ。
親は何も知らずに……。