6話 アメリアと遭遇
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「クリスじゃん! 久しぶり! 冒険者になったの?」
「そうだよ...」
「まあ頑張って。私はもっと上を目指すから」
何もいえない。アメリアの顔がみれない。十年近くも一緒に居た幼馴染なのに、顔を見るのがこんなに怖いと感じるなんて...。
俺が俯いているとエルミナがアメリアに話しかける。
「私たちももっと上を目指すわよ!」
「あれ? そういえばクリスはパーティに入れたの? よかったじゃん!」
「私がクリスに入れてもらったの!」
「フーン。そしたらあなたはとんだ節穴よ。クリスは底辺職業の預言者だよ? そんな人とパーティを組むなんて...。現実みたほうがいいよ?」
「それは私が決める事。あなたに言われる筋合いはないわ」
「そう。まあいいわ」
俺は話を聞いていることしかできなかった。エルミナがこんなに俺をかばってくれている。それなのに俺は聞いているだけ。そんな俺が情けなく感じた。俺がそう思っていたら勇者が言う。
「ねえキミ。もしよかったら一緒のパーティにならない?」
「え?」
「は?」
「僕がみる限りキミは強くなる素質があるよ。だから誘っている。どうだい? 勇者パーティに入れるいい機会だと思うけど?」
(ここでまた俺はアメリアみたいに捨てられるんだな...)
俺がそう思っていたら、その考えとは違う返答をエルミナがした。
「嫌よ。私はクリスと一緒のパーティでやっていくって決めたの」
「そうよ! この女が入るなら私は抜けるわ!」
「あはは...。じゃあ今回は保留ってことで。また誘うよ」
勇者がそう言ってギルドを後にした。
「なんで。なんでアメリアのパーティに行かなかったの?」
「そんなの簡単よ。クリスと一緒。信用していない人のパーティに普通は入らないわ。私はクリスのことは信用しているわ。だけど周りの人は信用してない。それにあの勇者。少し裏がありそうなのよね...」
「そっか。ありがとう...」
「それはこっちのセリフ。私こそ一緒のパーティになってくれてありがとう! 一緒に頑張ろうね」
「うん」
俺はエルミナのことを信用していると思っていたが、本当は信用していなかったんだな...。俺がもしエルミナの立場なら勇者パーティの誘いを受けていたかもしれない。それほど勇者パーティとは魅力的だ。それを断るってことは、エルミナは俺が思っている以上に俺を信用してくれていたってこと。そう考えると情けなくなる。
宿に戻って俺はもう一度考えなおす。俺はなんのために冒険者をやっているんだ? アメリアを見返すためか? 世間が底辺職業って言ってバカにしてきたことを見返すことか? 違うだろ! エルミナと一緒にいろいろな世界を見たい。エルミナを助けたいと思ったからだろ! なのになんでエルミナを信用できていなかったんだろう...。
今日をきっかけにエルミナを信用したい。そのためにはエルミナにより信用してもらいたいし、エルミナを知っていきたい。俺はエルミナに信用してもらうためには何ができる? 実力をつけること。エルミナを守れるだけの力をつけること。それとエルミナとよりコミュニケーションをとること。この二つが最優先事項。
この二つをメインに頑張っていこうと決意した。もう誰も悲しませない。もう俺も悲しみたくない。だから自分の身は自分で守れるぐらいにして、世間からも認められる存在になりたいと思った。
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