2話 気持ち
このことはちゃんとルビアに伝えなくちゃいけないと思っていた。前ルビアに言われた言葉。そこから一歩も進展していなかった。でも自分の気持ちが分かった。なら言わなくちゃいけない。だから俺はルビアに俺の気持ちを伝えた。でもわかっていたかのように言われる。
「知っていたよ。気づくのが遅いよ!」
「悪い」
「じゃあエルちゃんに会ったらちゃんと気持ち伝えるんだよね?」
「あぁ。だから...」
「言わなくていいよ。じゃあお休み」
「お休み」
伝えるのことがこんなにきつい事とは思わなかった。ルビアのことも好きだ。この国は一夫多妻制だからエルミナと結婚してからルビアと結婚することもできる。でもいつもふと思うといつもエルミナの事を考えてしまう。俺は一夫多妻があまり好きじゃない。一生この人と過ごしたいと思うからこそ結婚するのに2番手、3番手の女性を作ること自体をあまり受け入れられない。
でもどちらも同じぐらい好きだったら? この頃そう思い始めた。そうなったら結婚してもいいかもしれない。でもそれはエルミナとルビアがまだ俺のことを好きでいてくれて、尚且つ2人が了承して成り立つこと。それに今エルミナとルビアどっちが好きかと聞かれたらエルミナと答える。だからルビアと付き合うことが申し訳なく感じる。
次の日になりみんなと朝食をとる。ルビアは平然としている。はっきり言って気まずい。平然としてくれていて助かるが何て声をかけていいかわからない。
「クリス、今日はどうするの?」
そう思っているとルビアが話しかけてくる。
「そうだな。ここで場所を言うわけにはいかないから後で説明するよ」
「うん」
話しかけてもらって助かる。お互い気まずいはずなのにルビアはいつも通りにしてくれる。
(本当にルビアは強いな)
戦闘がすごく強いわけじゃない。でも精神面は俺よりも強い。ルビアは毎回毎回俺が弱っていると助けてくれる。何から何まで世話になりっぱなし。
(それに比べて俺は...)
どんな対応をしていいかわからなくて見ることすら躊躇していた。パーティリーダーなのにこんなんでどうするんだよ。
そう思いながら朝食をとり終わりワルクーイを出る。少し歩き人気が無いところで言う。
「じゃあまず今回行く前にやるべきことを確かめよう」
「エルミナをパーティに戻すこと」
「それが第一の目的。そして二つ目の目的はエルミナを助けること。多分エルミナのお兄さんと戦うことになると思う」
「それって王族と戦うってことよね?」
「あぁ」
「まあ仲間を助けるならしょうがないよね」
仲間になった歴が一番短いアメリアから言われるとは思っていなくて驚いた。
「そして向かう場所はスモーリーってところ。ここから東南にある新聖地って森のどこかにあるらしい」
「じゃあそこに向かいましょう」
「そうですね」
「あぁ」
方針が決まったところで新聖地に向かおうとしたら、ティーさんがテレポートで来た。
「やあ」
「あ、お久しぶりです」
いつ見ても驚くほど美人に見える。でもこれで40代なんだからおかしな話だよな。
「訓練...。とはいかなさそうだね。どこに向かうんだい?」
「スモーリーですね」
「あー。私も行ったことがないからわからないけど、頑張りなよ。たまに顔出すから。それにしてもエルミナちゃんはどこに行ったの?」
「それは...」
ここで言っていいものなのか? もし言ったらティーさんも巻き込んでしまう可能性がある。
「まあ言いたくなかったら言わなくていいよ。それと黒髪の子は?」
「俺の幼馴染で新しく仲間になりました」
「そうなんだね」
「アメリア・スミスと言います。いつもクリスがお世話になっています」
最後の言わなくてもよくない? お世話になっているけど親かよ!
「いいって。クリスに教えてて楽しいしね。それと私はみんなの仲間だからすぐに頼りなよ?」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあね」
そう言って消える。
「ティーさんって優しそうな人だね」
「そうだね」
「そんなことより早く行こうぜ」
「悪い」
ここで時間を使いすぎてもいいことはない。エルミナは今も危ない目にあっているかもしれない。それなのに俺たちがこんなにのんびりしていていいわけがない。
(早くエルミナを見つけなくちゃ)
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