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4話 エルミナの真実

「じゃあ今日からよろしくお願いしますね」


「はい」


 エルミナ王女と一緒のパーティを組むことになって初のクエスト。


「今日はアンデット退治をする予定なのですかよろしいでしょうか?」


「いいですよ? 後敬語はダメって昨日も言ったのもう忘れてしまったのですか?」


「すみません」


「え?」


「ごめん」


「はい」


 敬語を使っている時のエルミナ様の圧がやばい。声は普通にしゃべっている時より低く、目は俺を見ているようで見ていないような感じがする。


「では行きましょう!」


「少し待ってください」


「また敬語になってますよ?」


「それはお互い様でしょう!」


「そうですね。いやそうね」


「うん。それでだけど聞きたいことがあるんだけどいい?」


「うん」


 これを聞かない以上クエストを一緒に行くことができない。はっきり言って俺一人では重圧がきつすぎる。


「なぜエルミナ様は冒険者になろうと思ったの? それもなんで護衛はいないの?」


「前者の方は私が生きるため。後者の方は...。言えない。ごめんなさい」


「じゃあなんで昨日一人で森にいたの?」


「それも言えない」


 ここまで何も言ってもらえないと俺も一緒にクエストを受けることができない。はっきり言って王女様と一緒に冒険をすること自体がおかしなことだ。それに加えて護衛がいないってことがおかしなことだ。王女様ではないって疑っているわけではない。それでも問題を抱えているってことは俺も面倒ごとに巻き込まれる可能性があるってこと。それは俺にとって非常に困る。最悪冒険者としてやっていけなくなるかもしれない。もしかしたら死罪になるかもしれない。そんなのはまっぴらごめんだ。


「そしたら一緒には冒険はできません。俺一人でエルミナ様を守ることができませんし、エルミナ様に何かあったら俺の責任になります」


「...」


「だからパーティは無しってことにはできませんか?」


 この発言で不敬罪になったらしょうがない。それでも一国の姫の命を預かるってことはそれなりの覚悟が必要だ。不敬罪と姫の命を天秤にかけたら普通は不敬罪を選ぶ。


「そうね...。じゃあ話すわ。このことは誰にも言わないでほしい。それを約束してもらえるなら話します」


「はい」


 まだパーティを組むって正式にしていない以上、敬語を使うのは当たり前。パーティを組んで、パーティの願いで敬語じゃなくしてって言われて敬語じゃなくすのは良い。それは仲間だから。だけどまだ仲間じゃない以上敬語で話すのは当たり前のこと。


「まず私が姫ってことは疑っていないのよね?」


「はい」


「お兄様、第二王子に命を狙われているの」


「え?」


「まあそうゆう反応するよね。今私たちの国では誰が次の国王になるか決め合っているところなの。私は第三王女だから可能性は低いわ。でも第一王子と第二王子の派閥があってね、私は第一王子の派閥に入っているわ。私が第一王子を推薦したらほぼ確実に次期国王になるからね。それを阻止しようとお兄様が私を狙っているってわけ。だから護衛もなしに出てきたの。だから今国はパニックになっていると思うわ」


 とんでもないことを聞いてしまった。これなら聞かなかった方が良かった。もし俺がパーティとして一緒に行動したら俺の命も危ない。だけど...。


「じゃあ第一王子の人は守ってくれないの?」


「守ってはくれているわよ。でも第二王子の派閥は武力系の派閥で第一王子の派閥は経済など国の方針を決める派閥。だから守るに守れないのよ」


「あ~」


「一緒にパーティを組むことが嫌になった? 私はそれでもいいと思ってるわ。今話したことさえ言わなければパーティを組まなくてもいいわ。私もあなたの命を保障することができないもの」


 本当は一緒にパーティなんて組みたくない。今にでも逃げだしたい。でもエルミナ様は真剣に話してくれた。それも俺の事を気遣ってパーティを組まなくてもよいと言ってくれている。そんな人を俺は見殺しにするのか? 否。俺は...。俺はこの人と一緒にもっと違う光景を見たい。この人を助けたい。俺はそう思った。だから


「一緒にパーティを組もう。まずはお互いのことを知っていこう」


「え? いいの?」


「うん」


「よろしくお願いします」


「よろしく! 後は今後お互い敬語禁止! パーティを組んだんだからお互いが信頼する存在になるはずだからさ!」


「うん! じゃあ私のこともエルミナって呼んでね」


「わかった。よろしくな。エルミナ」


「宜しく、クリス!」


 とんだ地雷の人とパーティを組んでしまった。でも失敗したって気持ちはない。俺は一緒にパーティを組みたいと思った人とパーティを組む。その人がどんな問題を抱えていようが俺は受け入れる。

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