表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/52

20話 エルミナと俺の秘密

 それにしてもBランクか...。2ヶ月前はそんなこと考えられなかったな。あの時は毎日が絶望でしかなかった。底辺職業になって、アメリアに裏切られたと思い今後何をやればいいかわからなかった。でも底辺職業だと思ったら本当はすごい職業だったりしたし冒険者になる夢も結局諦められなかったけど、そのおかげでエルミナと会えた。


 誰もいない生活は本当に辛い。でもエルミナがいるって思えるだけで暗い生活が一変した。最初こそエルミナのことを信用することができなかったけど、底辺職業だからって俺を見捨てないし見下さない。そんなエルミナと冒険をしてみたいと思った。例えエルミナがエルフの王女だろうとそれは変わらない。俺はこの人を守りたい。そう思えた。


 最初はエルミナのコミュニケーション能力に戸惑っていた。だけどエルミナも人をちゃんと見て言っていることがすぐわかる。勇者に誘われていた時も流されずに自分の意志で言っていた。それはルビアの時だってそうだ。エルミナがルビアに軽率なことを言わなければルビアは冒険者にはなっていなかったかもしれない。最初こそ何を言っているんだと思ったけど今になればよかったと思う。その一言がなければルビアと一緒に冒険ができなかったかもしれないし、闘技大会にも出ていなかったかもしれない。


 もし出ていなかったら迷宮ダンジョンに行かなかったと思う。そうするとノアと会うこともなかった。だからエルミナのあの一言があったからこそ今のパーティができている。4人で冒険を始めてからもそう。エルミナがの紹介があったから師匠と出会えた。


 エルミナといるといろいろなことが体験できて楽しい。それもすべてがいい方向に進んでいる。


(本当にありがとう)


 そして今は幼馴染のアメリアとも仲直りができて一緒のパーティにいる。こんなこと誰が想像できた? 俺なら無理だ。今以上の幸せはもう来ないかもしれない。でもこの状況を作ってくれたエルミナや他の仲間には感謝しかできない。



 みんなとギルドから出て歩いていると俺の隣にエルミナが来て話しかけてきた。


「ねえクリス...。前話したこと覚えてる?」


「え? あぁ」


 前話したこと...。多分エルミナの兄に命を狙われているってことだろう...。


「こんな大事になったら多かれ少なかれ噂になるよね...」


「うん...。多分そうなるよな...」


「どうしよう...」


「...」


 どうしようって言われてもな...。まだどんな対策をするか決めていない。いや決められない。今の状況でエミルークを出たらそれこそ大事になる。そしてそれは王宮に行っても同様だ。でも王宮に行くことを断ったら問題視される可能性もある。今の状況になってしまった以上少しは目立ってしまう。普通ならいい意味で目立つことはいいこと。でもエルミナの事情を知っている以上目立つ行動は避けたい。だけど大きなクエストをやると目立ってしまう。


 冒険者として致命的だ...。じゃあエルフの国に行って解決するか? そんなこと今やったところで全滅することが目に見えている。俺たちは強くなった。強くはなったが一国の王族を相手にするほどつよくなったわけじゃない。


(どうしよう...)


「エルミナはどうしたい?」


「私は...私はクリスとかみんなともっといっぱい冒険したい。でも最悪な事態にはなってほしくない」


「それは俺もだよ。俺もエルミナたちといろいろな場所に行って冒険をしたい。だから今後のことを今からでもいいから考えていかないか?」


「うん...。でもこのことはみんなには言わないでね」


「なんで?」


「これは私の問題。このことを知られてしまえばルビアは絶対にパーティから公爵家に引き戻されちゃうと思う。それはアメリアやノアも同様。ノアは上級職業で貴族だしアメリアは世界から見てもめったにいない聖女。このことが知られちゃったら絶対に人族の王族から何かされちゃうと思う...」


 そうだよな...。俺は表面だと底辺職業で弱いってレッテルを張られている。闘技大会でベスト8になったからって上級職業たちみたいに優遇されるわけじゃない。それにこのことを知ってしまったらみんな危険にさらしてしまう可能性がある。俺はいい。俺はエルミナと一緒のパーティになった時、この人のためなら命を張れるって覚悟を決めたから。でも他の人は違うかもしれない。だから...。


「そうだな。2人で話していこう」


「うん...。ごめんね」


「いいって。エルミナにいろいろと助けられているし仲間じゃん。頼れる時に頼らなくてどうするんだよ」


「うん」


 エルミナと話し終わって宿に戻ると宿の店主からアーサーさんからの伝言を伝えられる。


「王宮騎士のアーサーって人から伝言だよ。明日の昼、宮殿に来てほしいだってさ。それにしてもあんたすごいんだね!」


「ありがとうございます」


「はいよ。頑張りな」


「はい」


 今言われたことをパーティメンバーにも伝えた。


(それにしてもわかっていたけど宮殿か...)


 大きい都市には王族の血縁者か公爵家が大まかに仕切っている。次向かう都市は人族の王族がいる。その血縁者がエミルークにいるってこと...。


(緊張するな...)


 大々的な勲章や褒章はいらないんだよな...。

【作者からのお願い】

この作品が【面白そう!】、【期待できそう!】、【続きが気になる】と持ってくださった読者様、是非ブックマークと広告下にある評価【☆☆☆☆☆→★★★★★】で応援していただけると嬉しいです。


【評価だけでもしていただけると作者のモチベーションがものすごく上がるので、もしよろしけれお願いします!】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読み頂きありがとうございます!!

↑↑評価は広告下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしたらできます!

【続きが読みたい】、【少しでも楽しい!】と思いましたらブックマークや評価をしていただけると嬉しいです。

▼煙雨の新作です!!!▼

パーティ追放された最強最弱ヒーラー~実は怪我を治していたわけではなく、時間帰還【タイム・バック】で時間を巻き戻して怪我を無かったことにしていたようです! 今更戻って来い? お断りです!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ