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20話 闘技大会 最終話

 意識を取り戻すとそこは医務室だった。


「無理しないでよ。バカ...」


「ごめん」


 エルミナがそう言って俺に泣きついていた。あー。そう言えば降参したんだったな。もっと戦いたかった。あの時自己判断で動かなければ...。後悔しか出てこなかった。


「クリスくん。いい試合だったよ。なぜ君みたいに強い人が底辺職業なのかわからないが聞かない方がいいよね」


「はい」


 マックスさんは俺がなんで底辺職業なのか疑問に思っていたが、ここで本音を言うわけにはいかない。マックスさんを信用していないわけではない。それでも公爵家当主に神の加護をもらっていますなんて言ったらどんな要求をされるかわからなかった。まだそこまで人を全面的に信用できるわけじゃない。


「でも約束通りルビアと一緒に冒険を楽しんでくれ。いや、ルビアをよろしくお願いします」


「はい」


 こんなにあっさりと了承してくれるとは思っていなかった。でもこれで今回の目標は達成した。


「今日から宜しくなルビア」


「はい。後無茶だけはしないでください。お願いします」


「わかったよ」


 やっと仲間になった。だから敬語はやめよう。それにしてもみんな俺の心配をしてくれていた。エルミナは泣いてくれていたし、ルビアも泣きそうだった。今までは俺一人だからいいやって思っていたけど、こんなに思ってくれる人がいるなら気を付けよう。


 その後医務室は俺とエルミナだけになった。ルビアは冒険するために準備をすると言って出ていき、その付き添いでマックスさんもついていった。


「死んじゃったんだと思ったんだから」


「本当にごめんって」


「もう心配させないで!」


「頑張るよ」


「バカ...」


 そのままエレノアはベットにうつ伏せにして時間が経って行った。


 医務室を出るところでアーサーさんと出くわす。


「今日は悪かったね」


「いえいえ。こちらの力不足でしたし」


「誇っていいよ。あの一撃は本気だったから」


「はい」


 あれが本気。上には上がいるってことだな。もっと頑張ってエルミナやルビアを守れるぐらいの力をつけなくちゃ。



 エルミナに言われた通り3日間公爵家の家で安静にしていた。闘技大会の結果は去年と同じで優勝はアーサーさん。準優勝はハリソンさんになった。決勝はすさまじい戦いだったらしい。見たかった。


「それにしても本当にでかいな...」


 治った俺は少し遠いトイレに行ったら屋敷で迷子になっていた。すると執事の方が話しかけてくれる。


「クリス様。どちらに向かいたいのですか?」


「すみません。運動がてらちょっと遠いトイレに行ったら迷子になりまして...」


「案内します」


「ありがとうございます」


 それにしても本当に広い。歩いても歩いても同じ道にしか見えない。やっと部屋に戻れた。でも今日でもこの部屋ともおさらばだな。


 そう思いながら荷造りをして執事さんに誘導されて屋敷を出る。屋敷の外にはエルミナとルビアが待っていた。


「遅ーい」


「ごめんって」


「早く早く! ワクワクです!」


「じゃあ行こうか」


 3人で話しているところでマックスさんが屋敷から出てくる。


「今日だったね。これは餞別だよ」


「え、ありがとうございます」


 そう言って渡されたのは袋ぎっしりに詰まっている金貨とカード。


「こんなにいただけませんよ!」


「これはほんの気持ちだよ。もし足りなくなったり、困ったらここに来なさい」


「ありがとうございます。それでこのカードはなんですか?」


「これはベッカー公爵家が後ろ盾しますよってカードだね。商会などで見せたら優遇してくれるだろう」


「...。ありがとうございます」


「では行ってらっしゃい」


「「「行ってきます!!!」」」


 最初はマックスさんはお堅い方だと思っていた。でもそうじゃなかった。俺が怪我したときや今も親切にしてくれた。


(これは借りができちゃったな...)


 そう思いながら冒険者ギルドに向かう。その途中で偶然ノアさんと会う。


「お久しぶりです」


「久しぶりだね」


「何をしているのですか?」


「騎士爵から追放されちゃってね。だから冒険者になろうと思って今ギルドに向かっているところなんだよ。君たちは?」


 騎士爵を追放? なんで? ここまで成績を残しているのになぜ?


「私たちも今からギルドに向かう所なのよ。もしよかったらパーティでも組む?」


 エルミナ、何を言っているんだい? 俺はいいけどルビアさんがなんていうかわからないだろう? 独断で決めちゃだめだよ...。


「それは嬉しいけどクリスくんにそちらの女性はどう思っているのかい?」


「いいですよ! 私も今日パーティに加わりましたし、仲間は多い方がいいと思いますし」


「俺もいいよ」


「じゃあお願いしようかな」


 こんなにあっさりパーティメンバーが増えるなんてな...。でもこれからの冒険が楽しそうだ。

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