8話 公爵令嬢を仲間にする条件
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固まってしまっていたのは俺だけではなく、エルミナやマックスさんもだった。そうだよな。普通そんなことを言われたら誰でも固まる。
それにしてもエルミナもだし、ルビアさんもなんでこんな突拍子もない事をいきなり言うんだ? 平民の俺には考えが追い付かない。
「ルビア。それは本気で言っているのか?」
「はいお父様。私はこの人たちと冒険をしてみたいです。心置きなく話せる仲間。今まで見たことのない風景。行ったことのない地。私は様々なことをこの人たちと体験したいとこの3日間で感じました。ダメですか?」
「うーむ。クリスくんとエルミナさん。あなたたちはどう思っているのかい?」
どう思っているかって。それは混乱しているに決まっている。いきなり仲間になりたいと言われたら混乱するに決まっている。でも嫌な人ではない。他種族や平民など分け隔てなく会話しているルビアさんは良い人だと思う。でも一緒に行動していくのはわからない。まだ信用できる人物かわからない。でもここで断ってルビアさんと一緒に冒険をすることになったら気まずい雰囲気になる。
「俺はどちらでもいいですよ。エルミナに任せます」
「私はいいですよ!」
「じゃあ今日から一緒のパーティってことね」
「ならん!」
流れを断ち切るかのようにマックスさんが言う。
「なんでよ!」
「クリスくんにエルミナさんを信用していないわけじゃない。それでも実力はまだEランク。そんな人たちと一緒に冒険するのを了承することはできない」
「じゃあエルミナやクリスさんはどこのランクなら納得してくれるのよ!」
「そうだな。まずどちらかがDランクになってもらう。そしてどちらか一方は来月開催される闘技大会で上位8位入賞が条件だ」
「乗ったわ! いいでしょクリス?」
「え? あ、うん」
いきなり言われたので了承してしまった。了承して思ったけどこの条件って厳しくないか? Dランクに上がることはそんなに難しくない。それよりも闘技大会だ。
闘技大会とはこの国---カルホワイト国内の若者の中で一番強いの人を決める大会。そしてこの大会で優勝、準優勝するとカルホワイト国の王宮騎士見習いの資格を得られる。
武闘大会は予選と本戦の2つに分かれている。予選は出場者400人を4つのブロックに区切って、上位2名が本戦に進む。そのため予選上がりは計8名。そして本戦は昨年度の上位8人が参加するため、本戦は16人参加する。だから上位8位入賞ってことは予選を勝ち上がって本戦も1勝しなくてはいけない。はっきり言って今の実力では俺もエルミナも無理。エルミナはこのことをわかっているのか?
マックスさんの無理難題を受けて、俺たちは公爵家を出ようとしたときルビアさんが俺たちに話しかけてくる。
「本当にごめんなさい。私のせいでこんな面倒なことになってしまって」
「いいよー。それよりも1ヶ月後の準備しといてよね!」
「うん...。クリスさんも本当にすみません」
「いいですよ。できる限り頑張ってみます」
「そこは絶対できますでしょ!」
「あはは...」
ルビアさんにお見送りをされて俺たちは宿に戻る。
「まずエルミナは闘技大会のことしっているの?」
「知らないわよ。でも8位入賞って簡単じゃない? 8人も入賞できるのよ? 私たち2人が出れば楽勝よね?」
「やっぱりね」
俺はエルミナに闘技大会の説明をする。すると
「え? そんなの無理じゃん。でもクリスなら...」
「今の俺でも無理だよ」
「今の俺ってことは何かしら策があるってことよね?」
「うん。でもそれをすると俺はDランクに昇格することが無理。だから冒険者の方はエルミナに任せるけどいい?」
「いいよ。それで策ってなに?」
「俺は預言者だろ? 護衛任務中に預言の魔法を使ってわかったんだ。この近くに神がいる。だからその神と会って加護してもらう」
「神に加護をしてもらう?」
そう言えば言っていなかったな。エルミナに俺の力のことを一から説明する。
「それってすごいじゃん! なんで預言者が底辺職業なのかわからない!」
「俺もわからないよ。でもそういうことだから冒険者の方はよろしくね?」
「うん!」
お互いの方向性が決まったことだし、俺は今日の夜にでも預言の魔法を使おう。
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