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悪魔の装飾品  作者: 風木 冬芽
第一章
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第一話

第一話


両親が死んだ。仕事の途中で不慮の事故に遭った、そう伝えられたのは3日前のことだった。

元々両親は素性のしれない人間だったし、家に帰ることも殆どなく、常に仕事で車を走らせどこかで何かをして働いていた、らしい。俺は何一つ知らなかったし、知りたいとも思わなかった。それが当たり前だったから、俺の、俺にとっての当たり前だったからなんの疑問も抱かなかった。

素性のしれない、大袈裟に言ってしまえば赤の他人なのだからそんな両親が死んだことにもなんの疑問も抱かなかった。

八月の空は澄んでいる。

都会の喧騒には未だ慣れない。これからどう生きていこうかと、暗中模索してみたもののなんのヒントも得られない。親戚に引き取られるのだろうか、そもそも親戚の顔すらわからない、親戚が存在するのかさえも。

地下鉄に乗り、池袋まで来たわけだけど十六歳の俺に一人で何ができるのだろう、サンシャイン通りを歩きながらそんなどうしようも無い愚かな考えを延々と全身に巡らせていく。考えれば考えるほどに考えは低迷していく。

路地裏に入る。特別な理由は無いけれど、たぶん、俺の前に立ちはだかるたくさんのビルの群れに睨まれたからだろう。(ビルなんだから『立ちはだかる』と言うよりは『建ちはだかる』か。)なぜ俺を睨むんだろう、まるで俺はこの世界に居てはならないと言っているみたいだ、しかし、そんなこと、どうでもいいことなんだ。何もかもどうでもいいんだ。

「ドォーン!、ごきげんよう。浮かない顔だなぁ、お前高校生だろ元気出せよ少年」

半ばまともとは思えない中年男性のお出ましに俺は一歩身を引いた。精神的な面でも引いた。

「あんた誰だよ」

俺は睨みつけてそう聞いた。(あんたの居場所なんか無いと言わんばかりに。)

「怖い顔して睨むなよ、君にいい話を持って来たんだ。仁火斗くん」

(え?今こいつは俺の名前を呼んだのか?誰も知る由もない俺の名前を、呼んだのか?こいつは一体なんなんだ?)

「どうして俺の名前を知ってんだよ」

「胸の名札に書いてあるぞ五歳児」

「誰が幼稚園児だ。それに、お前さっき高校生だろ元気出せ、とか言ってただろ」

何一つ面白くないこのやり取りを聞いている人間は俺と目の前のおっさんだけだった。…何故だろう人の気配が全く消えた、空に視線を向ける。

それでも空は澄んでいる。

「仁火斗、お前は世界のヒーローになれる的なこと悪魔から言われたらどうする?」

「どうしようもねえよ」

「はっはー。なんの面白味もない普通の解答だな。うん。やっぱり君は普通の少年だ。間違いない」

「黙れ。俺はお前が嫌いだ、消えろ」

「怖い怖い、思春期真っ只中だなぁ、本当は寂しいくせに」

的はずれもいいところだ、俺は決して寂しくなんかない。(ん?何故こいつは俺が寂しいと思ったんだ。)

「悪魔的に分かるんだよ寂しそうにしてる人間。そんな寂しい君と契約しに来たんだ。悪魔の契約をね」

「俺は別に寂しくねえよ」

「強がるなよ。人は一人じゃ生きていけないんだぜ」

「誰がええかっこしいのお前とよく分かんねえ契約しなきゃいけないんだよ。大体、悪魔ってなんなんだよ」

「疑心暗鬼だなぁ。俺ほど真っ当な人間は、いや、悪魔は他にいないぜ。簡単に説明すると悪魔ってのは…んーあれだあれ。悪魔的にやばくて悪魔的に強い存在だな」

著しく語彙力が欠如しているおっさんに俺は呆れた。

「そもそも悪魔なんかいるわけねえよ。酔っ払ってんなら警察にでも絡んでろよ」

と言って俺はその場から立ち去ろうとする。「よし分かった。離れてろ悪魔の力を見せてやるよ」

と言うと右手の人差し指を突き立てその指を眼前の空き缶に向ける。

「ファイヤー!」

勢いよく叫んだ、おっさんの人差し指は炎を吹き出し、どういうわけか空き缶は火柱を上げて燃え上がった。喫驚仰天俺はその場で尻もちを着いた。どうだすごいだろと言わんばかりの表情を浮かべるおっさんの顔に火の粉が飛ぶ、眉毛に引火した。

「あちあち」と言いながらさっきとは反対の人差し指から水を噴射し、(まあまあ強めだった。)眉毛に引火した火を物の見事に消火した。指から火や水が出る人間がいることに困惑したが、彼が『悪魔』であることを思い出し自分の中で何故か納得する。悪魔的に悪魔なのだ、と。

「これが悪魔の力だ」

いまだドヤ顔の眉毛はチリチリしていた。

「お前が悪魔なのはよく分かった。結局俺に何がしたいんだよ。血の契約か。魂を売れってか」

「違うよお前に力をくれてやるんだよ。悪魔の指輪を…」

にわかには信じ難い言葉もあんな空き缶の惨劇を、いや、眉毛の悲劇を見たあとなら僅かながら信じられる。眉毛に関して言うならば因果応報、空き缶の復讐心にほかならないのだけれど。因果、と言うより引火だな。…失笑。

悪魔に指輪なんて気持ちが悪い、というか気味が悪い。

ふと、空を見上げてみる。空は澄んでいる。

俺は彼の差し出す指輪を受け取った。おっさんはほくそ笑んでいる。

「左手の中指に付けてみろ」

言われるがまま俺は左手の中指に指輪をはめた。(…存外、すっきりはまるものだな。)

いかがでしたか?


僕なんかは学もないし、セオリーなんかも全くわかっていないんですけど、なんでもいいのでコメントやアドバイスがあれば頂きたいです。


次話もぜひ読んでください!初心者ですし、機械音痴も相まって操作方法もろくに分かりません。笑笑


それでも、続けていこうと思うのでどんな些細な誤字脱字の指摘でもいいのでコメント頂けたら幸いです。


それでは、また。

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