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都市伝説事典  作者: ニカイドウ
メリーさん編
43/137

12話 押入れ女と、偽の警察官……?

 押入れ女とは……?


 ある一人暮らしの大学生が、自分が部屋を留守にする度に、部屋にあるものの位置が変わったり、食べ物が減っていたりする事に気付いた。彼は、ストーカーの仕業かもしれないと部屋にビデオカメラを設置し、録画すると、そのまま大学へと出かけた……。

 そして、夕方頃帰宅。ビデオカメラの録画を止め、映像を確認し始める。

 始めは何の変化もないまま時間だけが経過する。あまりに何もおこらないので、早送り。映像の中の時間は、朝から昼、昼から夕方へと変わっていく……。

 すると、鍵をかけたはずの扉から、なんと包丁を持った女が侵入して来た。女は部屋を物色し始める……。

 一通りの物色を終え、何を考えたか、女は押入れの中に消える……。

 その数秒後、男が入って来る。

 ……自分だった。

 映像は、彼がビデオカメラの録画を停止する所で終わっていた……。



 その後、大学生がどうなったかと考えると、タケルは恐ろしくて仕方がない……。


「さぁ、みんなで録画見る?」


 タケルの母ちゃんは、そう言ってビデオカメラへ近づこうとする。


「良い良いっ!今は見なくて良いからっ!」


 タケルは慌てて母ちゃんを止める。


「もうっ!良いのかダメなのかどっちかハッキリしなさいよ!」


「ダメなんだよ!」


 タケルは、母ちゃんとそんなやり取りをしながら、ふと押入れに目をやる。


「!!」


 その時、タケルは見た。押入れの戸がスッと閉まったのを……。

 何者かがそこにいて、確かに今までこちらを見ていたのだ。タケルは確信する。


 ……押入れ女はそこにいる!


 だが、気付かれてはいけない。なんとか押入れ女に気付かれずにこの部屋から逃げ出さなければ……。

 いや、ジンタンとモクメの話では、この部屋以外にも、もう1体都市伝説が潜んでいるという。

 なんとか不審がられないように母ちゃんとミクちゃんを外に連れ出す方法はないか……?

 タケルは考える……。


「ねぇ、タケルお兄ちゃん。映画…、撮ってたんだよね?見せてよ。」


 突然ミクちゃんが、タケルに話しかけてきた。


「そうそう。ミクちゃんから聞いたわよ。私も見たいわー。」


 タケルの母ちゃんも、すぐにこっちの話題に食いつき、ワクワクした声で言う。


「…いや、映画は、まだ未完成なんだ…。」


 タケルは、そこまで言って気付く。

 連れ出す方法はこれだ!


「そうだっ!ミクちゃんと母ちゃんも撮影手伝ってくれよっ!手伝ってくれたら助かるよな?モクメ。」


 タケルはモクメに助けを求める。


 ……2人を連れ出すために合わせてくれ!


 と念を送る。

 モクメは、それに気づいたようにコクリとうなずくと、


「そうなんです!ぜひ手伝って欲しいんです!今からロケ地まで案内するんで、行きましょう!おばさん、ミクちゃん。」


 と言った。

 玄関へと向かうタケル達。ミクちゃんは、恥ずかしそうに頬を赤らめながらついて来る。

 タケルの母ちゃんも……出演して欲しいとは一言も言った覚えはないのに……、この服でいいのかしら?……お化粧し直さなくて大丈夫?と、完全に演者気取りだ。

 しかし、扉を開けようという時にインターホンが鳴る。


 ピンポーン♪


 と、同時に再び都市伝説事典がパラパラと音を立ててめくれていく……。


「タケル!こいつは少々やっかいな都市伝説だぞ。あけさせるな!」


 ジンタンが耳打ちする。タケルは叫ぶ。


「母ちゃんっ!開けちゃダメだっ!」


 しかし、時すでに遅し……。


「はーい。」


 ガチャ……。


 扉は、確認もせず……、条件反射のように……、無意識にタケルの母ちゃんによって、開かれてしまう…………。

 タケルの頭に都市伝説の情報が流れ込んでくる。


「偽の警察官…。」


 タケルは、都市伝説の名を口に出していた……。


 都市伝説・偽の警察官とは……?


 ある女性が帰宅途中に、全身黒ずくめの不審者とすれ違った……。

 翌日。女性の家に警察官がやって来る。


「昨日、近くで殺人事件がありまして、昨日の夕方、犯人らしき人物を目撃しませんでしたか?」


 昨日の不審者の事を思い出したが、女性は面倒なことに関わりたくないという思いもあり、


「知りません。」


 と答えたそうだ……。

 数日後、女性はニュースで犯人が逮捕された事を知り、愕然とする……。

 放送されたその犯人の顔は、なんと、あの日女性の家に来た警察官だったのだ……。

 もし、あの時、不審者の事を答えていたら、女性は口封じに殺されていたかもしれない……。



「……え?」


 慌てて母ちゃんを止めようと外へ出たタケル。彼は門の前にいる人物をみて、一瞬何が起きたのかと戸惑う。

 なんと、インターホンを押していたのは警察官ではなく、ミクちゃんと同い年くらいの小さな女の子だったのだ……。


夏のホラー2019用に書いた

絶望しながら生まれてきた……

完結しました。

全3話ですので是非……。

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