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都市伝説事典  作者: ニカイドウ
メリーさん編
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2話 メリーさん

 メリーさんという都市伝説がある…。


 ある日、少女が、古くなった外国製の人形を捨てた…。その日、少女が1人で留守番をしていると、電話がかかって来る。


「私、メリー。今、焼却場にいるの。」


 そう言うと、ガチャッと電話が切れる。

 メリーとは、捨ててしまった人形の名前だった。

 しばらくして、また電話がかかってくる。


「私、メリー。今、〇〇駅にいるの。」


 ガチャッ。


 再び電話は切れる。そして、またしばらくして電話がかかってくる。


「私、メリー。今、〇〇公園にいるの。」


 ガチャッ。


 それは、家の近くの公園の名前だった。メリーの伝える場所は、どんどん少女の家に近づいて来ている…。そして、次の電話で、ついに…。


「私、メリー。今、家の前にいるの。」


 少女は慌てて玄関へ行き、外を見る。しかし、誰もいない。おかしいなと思いながらも、少女は家の中へ戻る。すると、再び電話が鳴り響く。


 ガチャ。


「はい、もしもし…。」


「私、メリー。今、あなたの後ろにいるの!」



 これが都市伝説・メリーさんだ。

 ランドセルの中で都市伝説事典がうごめく。どうやらメリーさんが記入されたようだ。


「や、やべーだろ!これはっ!!」


 タケルは考える。とりあえず止めよう!


「おいおいっ!ちょっと待てよ!」


 タケルは人形に声をかける。我ながら無謀だと思うが、その時は、危険な都市伝説は少ないという認識だったんだ…。


「何、あなた?私が見えるの?」


 メリーさんが言った。


「ああ。都市伝説事典ってのがあって、その本の副産物?ってので……、ま、そんなんどうでも良いか…。とりあえず、お前、都市伝説のメリーさんだよな?あの、最後に…今、後ろにいるの!…って言う…。」


「…あなたの言ってる事の意味がわからないのだけど、私、メリー。今朝気づいたら焼却場にいたの…。そうしたら、あの女が話しかけて来てね、あなたはいらなくなったから捨てられたのよって言うの…。私、信じられなくて、ミクちゃんに直接聞こうと思ったのよ。」


「えーと、じゃあそのミクちゃんに危害を加えるつもりはないんだよな?」


「当たり前じゃない!私とミクちゃんは、一番の友達なんだから。」


「…よかったー。」


 タケルは安心した。


「で、そのミクちゃんちって…」


 タケルが話を続けようとした時、メリーさんはおもむろに電話をかけ始める。


「私、メリー。今、家の前にいるの…。」


「だーーーーーっ!ミクちゃんを怖がらすなって!!」


 タケルは叫ぶ。その時、目前の扉がバタンッと開き、1人の少女が飛び出して来た。


「あっ!」


 タケルは、つい声を出してしまう。メリーさんは、タケルの陰に隠れる。


「まさか、あなたがイタズラ電話の犯人?」


 少女は、けげんそうに言った。


「い、いや。違う違う!」


 タケルは全力で否定する。そして、メリーさんに小声で、


「この子がミクちゃん?」


と確認する。メリーさんはうなずいた。


「俺…は、犯人じゃないんだけど、犯人を知ってるっつーか…。」


「えっ?」


「あのさ、ミクちゃん、もしかして今朝から人形がなくなってたりしない?」


 タケルは、それとなく確認する。


「…実は、私の大切なメリーちゃんが無くなってて…。」


 ミクちゃんはそう言うと、悲しい表情を見せる。


「そのメリーちゃんってさ、コレじゃない?」


 タケルは、ミクちゃんにメリーさんを見せる。

 …メリーさんは、普通の人形に戻っていた。


「あっ!それ、私のメリーちゃんだわ。」


 ミクちゃんは、うれしそうにメリーさんを受け取る。


「あ、えーと、さ、女の子…。そう!さっきまでいた女の子が…さ、その人形が焼却場に落ちてたのを見つけたんだって。なんか、恥ずかしいみたいで俺に預けて帰っちゃったんだけどさ。大事なもんだろうから渡してあげてって。よかったよな。見つかってさ。」


 タケルは無理やり話を作ってミクちゃんに伝える。


「うんっ!お母さんが買い物に行ってて、一人でさみしかったの…。メリーちゃんは私の一番のお友達だから、これで安心っ!ありがとうお兄ちゃん。」


 ミクちゃんは、そう言って家の中に入って行った。


「…これで良かったんだよな…?」


 何かが引っかかったが、タケルはそのまま家に帰ることにした。



「ただいまー!」


 タケルが家へ入って行ったその時、男女の2人組が、タケルを背後から監視するように見つめていた…。


「僕が少し様子を見て来る…。」


 男は、そう言ってタケルの家へと向かう。


「あなた、あの人に似てきたわね…。」


 女は、男に声をかける。男は答える。


「…きっと、この世界は、あの人がいない矛盾を正そうとしているんだ。そして、僕は彼の穴を埋めるための存在だからね。」



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