里香ちゃんはみんなで勉強したい
一学期中間テストまでの一週間、いちかちゃんとふたばちゃんと、放課後ちょっとだけテスト勉強をして、榎崎くんにちょこちょこわからないところを聞いたりしました。
今回はその様子をお伝えしていきたいと思います。
いちかちゃんとふたばちゃんは、テスト一週間前から部活動がお休みです。
私も午後四時までに学校を出ればいいので、三十分ぐらい一緒に勉強する時間があります。
「りーかー……ちゃん! 勉強しよー」
帰りの会が終わったあと、いちかちゃんが私の机のところに来て、元気に言います。
「もう渋谷ちゃん帰ったかな?」
いちかちゃんは周りを見渡しながらつぶやき、私の前、渋谷ちゃんの席に座ります。
「ふたばちゃんは、日直でしたね」
「おー、でもすぐ来るってよ」
私の机の上に筆箱を出しながら、返事をするいちかちゃん。
「そっちの机、くるってした方がいいと思います」
それもそーだなー、いちかちゃんはそう言いながら、渋谷ちゃんの机を回して私の机にくっつけます。
「榎崎くん、一緒に勉強しない?」
隣でぼんやりしていた榎崎くんに気づいたいちかちゃんが、何か考える表情をしたあと、榎崎くんに話しかけます。
榎崎くん、いつもささっと教室を出ていくのに、今日はどうしたのでしょう。
「ん? えーと、大崎さん」
いちかちゃんの名字ですね、大崎は。
「今日は鶯谷とテスト勉強するつもりだったから」
なるほど、だから教室に残ってたのか。
鶯谷くんは、ふたばちゃんと一緒に今日の日直です。
でも、榎崎くんと鶯谷くんが友達だったのは、少し意外ですね。
鶯谷くんは、たぶんクラスで一番人気のある男の子です。
かっこよくて、明るいし話すのも楽しい。
さらにサッカー部で、一年生ながら試合に出ているらしいです。
ちなみに、四月のはじめの頃は榎崎くん派が何人かいたのですが、なんか話しかけづらい、勉強ができすぎてこわい、などの理由によっていなくなりました。
残念だったね、榎崎くん。
「鶯谷に聞いてみて、大崎さんたちと一緒でもいいって言うなら大丈夫だよ」
「迷惑じゃないですか?」
いちかちゃんは、たぶん私のために榎崎くんを誘ってくれたので、お礼のあいあんくろーをしてあげています。
「ん? そんなことないよ」
「んー……じゃあ、一緒に勉強したいです」
榎崎くんが大丈夫だと言うので、いちかちゃんを放してあげましょう。
「里香、けっこう力ある……」
頭をおさえてぼやくいちかちゃん。
「みんなで勉強? いいよ、楽しそう!」
日直の仕事から戻ってきた鶯谷くんは、快く許可してくれました。
「かくかくしかじかです」
私もふたばちゃんに状況を説明します。
「鹿……?」
ふたばちゃんも大丈夫みたいなので、みんなで勉強することになりました。




