始まり~1~
読みにくいかもしれません。
その時はごめんなさい。
旅館へ入った霧島は、中と外とのギャップの激しさに驚いた。
中は外とは違い床も壁も真新しく綺麗で、その壁にはアンティークのとても高そうな時計や絵画が飾られ、所々に綺麗な花々がアンティークの花瓶に活けられ、小さな棚の上に載せられている。
誰もあの外観を見て中の様子は想像出来ないだろう。
チェックインを終えてそんな事を考え、周りの装飾品を見ながら、先を歩いている田口に付いて歩いていると、2人の前に和服姿の上品そうな女性が現れ、霧島に向かって穏やかに微笑み頭を下げ、
「ようこそいらっしゃいました。霧島様でございますね。私、女将を勤めさせて頂いております、麻丘千代と申します。本日は当旅館にお越し頂き誠にありがとうございます。私どもの旅館は仲居等の従業員が少ない為、ご迷惑をお掛けしてしまう事もあると思いますが、そのようにならぬよう、誠心誠意勤めさせて頂きますので、安心してお寛ぎ下さいませ」
と言い立ち去り、霧島は田口と共に客室へと向かった。
客室は旅館の奥に、廊下を挟むようにして片側8室ずつの計16室があり、霧島は向かって左の1番手前にある壱号室へと通された。
部屋の説明をすると言った田口の申し出を断り、部屋の鍵と荷物を渡して田口が行ってしまうと、霧島はベッドの側へ行き荷物を下へ置いた。
見てみると枕元には3枚の紙が置かれている。
その内の1枚には食事の時間とここの見取り図、その下に『部屋食をお望みの方はお早めにお申し付け下さい』と書かれ、もう1枚には暗号の様な文章が書かれてあり、最後の1枚には『この旅館に隠された全ての暗号を解いた者に大いなる富と素晴らしき宝を授けよう』と書かれている。
ベッドの縁に座りそれを見ていた霧島は、少し考え紙を置いてあった場所に戻すと、携帯電話を取り出してディスプレイを見た。
そこには圏外の文字。
霧島はそれを少しの間弄っていたがすぐにしまい、部屋の中をぐるりと見回した。
部屋の広さは、およそ8畳程で、入口を入ってすぐ右にある扉の奥にはシャワールームやトイレとやや広めの洗面所があり、ベッドの傍らには簡素なスタンドが1脚だけ載った木製の机とワンドアの小さな冷蔵庫、地デジが観られるか怪しい位古い型のテレビに、プッシュホンではあるがこれまた古い型の電話機、その横には誰も貴重品を入れないであろう小さく頼りない金庫が寂しそうにポツンと置かれている。
窓は入口の丁度真逆の壁の左側に1枚。
それ程大きくはないが、その向こうに何が見えるか見てみると、その先には何のためにあるのか、少し狭めの廊下の様な空間があり、その先の壁には手前の窓より1回り小さな窓があり、濃い霧の壁とその中からかろうじてうっすら見る事の出来る森の1部の木が見えるだけだった。
そして、この部屋の窓と同じ壁の右端ギリギリの所には、窓から丁度扉1枚分離れた所に扉が存在している。
廊下の様な所に出る為のものだろう。
霧島は少しの好奇心と探究心から、その扉の前へ行き開けようと試みたが、押しても引いても開かず、鍵を開けようにも中からも鍵を使わないと開かない構造になっており、部屋の鍵でも開かなかった為すぐに諦めてしまった。
ピッキングは出来るがやる必要も感じなかった。
ベッドに戻り、右腕の時計を見て夕食までまだ時間がある事を確認し、ノートパソコンを鞄から取り出すと、ベッドの上に置いて開き何かを打ち込み始めた。
はじめましての方もそうでない方も読んで下さりありがとうございます。
大いなる富と素晴らしき宝が気になりますね(笑)
では、次の作品でお会い?しましょう。
ここまで読んで下さりありがとうございました。