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魔法とクリスタルとドラゴンと  作者: 上城 龍
クリスタルの魔法使い
1/33

新しい仲間とお宝

「これは…まいったな…」


街で仕入れた噂を頼りに見つけた古代遺跡。

そこはすでに盗掘されつくしていたかに見えた。

しかし幸運にも、まだ誰にも見つけられていない隠し部屋を見つけ、足を踏み入れたのだが…


「くそ!このままじゃまずい…」


数体のガーゴイルの攻撃を防御障壁で防ぐ。

甘かった…単なるガーゴイルと思っていたが…


ギィッン!!


一体のガーゴイルに剣を振り下ろすが軽く跳ね返され、剣が折れてしまった。

魔力付与はしてあったのだが、ガーゴイルの持つ魔術障壁でその効力は失われてしまった。

かなり固い岩で作られているようで生半可な剣では傷すら付かない。

体の固さも問題だが、その魔術障壁の強固さも厄介だ。

障壁を打ち破れる術式は持ってはいるが、構築している時間がない。

そんなガーゴイルが10体。

背後は壁…完全に囲まれた。

防御障壁も何時まで持つか分らない。


「仕方が無い。まだ、死にたくないからな…」


左手を腰袋に伸ばし、中から拳程度の大きさの水晶球を取り出す。


「出来れば、使いたくなかったが…」


水晶球を地面に叩きつけると強烈な光が俺を包み込む。

その光に一瞬視界が奪われる。


「ふぅ…あぶなかった」


光が消えると、そこは遺跡の入り口。空には星が見える。


「夜中か?遺跡に入ったの朝だろ?少なくても丸1日経っているのか…」


水晶球には緊急脱出用の転移術式が封じてあり、転移地点の目印として入り口に対となる水晶球を置いておいた。

術式を発動したことで、その水晶球も割れてしまっている。


「さて…どうするかな…」


あの規模のガーディアンが居るという事はあの奥には何かがあるはず。

しかし、自分独りでは到底突破できそうも無い。

せめてあと一人、あのガーゴイルを直接攻撃で粉砕できる戦士が必要だ。

とはいえ、そんなランクの戦士なんて簡単には見つからない。

まあ、こんなところで考えていても何も浮かばない。

あの隠し部屋が誰にも見つからない事を祈りつつ、俺は街へ帰ることにした。


「そこの魔法使い様…」


街に着くなり声をかけられた。

怪しい雰囲気の商人風の男。おそらく、闇商人かなんかだろうと思うが…


「何か用か?」


不機嫌全開の返事をする。夜通し歩いてきて疲れていたと言うのもあるが…

俺は魔法使いではない、魔導師だ、と言いたくなるのを何とか堪える。

身分を隠している関係で自分のクラスをおおっぴらにはできない。

身分を隠すのはいらぬ騒ぎを起こさないようにするためだ。

魔導師…魔法使いの中では最高位で、一国の王の側に仕えることが出来るほどの力を持つ。

そして、その称号を得るためには魔術学校を最上位で卒業しなくてはならない。

そんなクラスの魔法使いがいれば何かと問題が起きる。

特に、魔術学校のある国は、今俺がいるこの国とは敵対している。

そんな国で堂々と身分を晒すことは自殺行為だ。


「おやおや、ご機嫌悪いようで…なにか、お悩みのようでしたので、私にお手伝い出来ればと…」

「お前に何が出来る?」


商人は人当たりのよさそうな笑顔でいるが、その腹の内はわからない。


「なんでも…そう、なんでもありますよ?私の所で手に入らない物はございません」

「なんでも?」

「はい」


自分は闇商人ですと、遠巻きに言っている。

この手の輩に関わるとろくなことが無いのだが、あの部屋を突破する手が欲しかった俺は商人についていく事にした。


「何をお求めで?」

「どんな岩でも砕くことが出来る武器か、戦士。裏切られるのは嫌いだからな、信頼の出来るやつだ」


無駄と思いつつ話してみる。


「ふむ、そのくらいなら…しかし、少しお高いですよ?」

「ほお…」


武器はともかく、人まで…いや、この国の闇商人ならそのくらいは当たり前か…


「どうぞ、こちらへ」


商人に案内され、連れてこられたのは湿気と悪臭が漂う地下牢。

いくつかの部屋があり、一部屋には3人ほど入っている。


「奴隷か?」

「ええ。みな、闘技場で戦っている者達ばかりです」


奴隷…大陸南部から中部、東部の国々の全てで禁止されている。しかし、西から北部の一部の国では、堂々と取引されている。

奴隷の使い道はさまざまだが、ここの連中は闘技場での賭け試合に使われているようだ。

檻の中を見ると、みな筋骨隆々な男ばかりだ。


「ん?なんだあの娘は…」


そんな中、この場には似合わない若い娘…少女といってもいいだろう…が一人で檻の中にいた。

歳は、13~4歳だろうか?まだ幼さが残る顔立ちをしている。

髪はくすんだ金色。服と肌は埃と煤で薄汚れている。


「つい最近、仕入れたばかりでしてね。捕まえるのに苦労しましたよ。なんせ、

専属のハンターのほとんどがやられてしまいましたからねぇ…」


奴隷狩りで雇われるハンター達はほとんどがお尋ね者。人を殺すことなどなんとも思っていない連中ばかりだ。

しかも、中には腕の立つ者もいる。そんな連中をこんな少女が?


「……」


術を構築し、鍵を開け中に入っていく。こんな牢屋の鍵など無いも同然だ。


「ちょと!勝手に入られては困ります!」


商人の制止を無視し、部屋の片隅で座り込んでいる少女の前にかがみこむ。


「ふむ…」


少女の二の腕をつかんでみる。歳相応の細さだが引き絞まった硬さがある。

両肩を掴む。見た目よりがっしりしている。

無駄な筋肉のない鍛えられた体だ。


「立て」


俺の短い命令に少女は無言で従い立ち上がる。

その動作に無駄が無い。

一体、どうやったらこの歳でここまでの動きを習得できるのだろう?

疑問を感じつつ、部屋から出る。


「これでいいか?」


商人に金貨の詰まった袋を投げる。


「へ?」

「いいか?と聞いている」


仮にも商人だ。その袋の重さからどのくらいの金貨が入っているかは判るだろう。

手にした袋の重さに商人は少し戸惑っているようだ。

奴隷の取引は買い主の言い値というのが常となっている。

その言い値を元に、商人と買い手の交渉が始まる。

俺が渡した袋には、俺が知る限りの相場の倍は入っている。


「いや…こんな小娘ではなく、もっと…」

「かまわん、この子でいい」


商人の言葉を遮り、殺気の入った視線で商人を見据える。

こういう連中を相手にする時に、下手に出るのは危険だ。

常に主導権を持っていなければ最悪、身包みをはがされてしまう。


「はい…」


殺気に萎縮した商人が後ずさりながら答える。

少女を部屋から出すと萎縮した商人を無視し、地下牢を後にする。


「名は?」

「クレアです」


外に出ると、少女は眩しさに手で顔を覆った。

明るいところでみると、その幼さがはっきりと見て取れる。

顔つきもそうだが、身体もまだ成長しきってはいない。

しかし、その歩く動作は自然だが、隙が見られない。

ここまでの動きを習得するにはそれなりの修行が必要だ。

この少女は、一体どんな過去を過ごしてきたのだろうか?


「歳は?」

「14になります」


常用している宿に着くまでの間、俺とクレアの会話はそれだけだった。

クレアは無言で俺の後をついてくるだけである。

従順なだけなのか?それとも諦めているだけなのか?

宿に着くと、給仕をしている娘に金を渡し、クレアの服を買ってきてくれるように頼む。

クレアの着ている服は薄汚れて汚い。いくら奴隷とは言っても可愛そうだ。


「奴隷…かい?」


宿の女主人が訝しげに聞いてくる。


「ああ、ちょっと人手不足でね」

「めずらしいね、あんたがそんな事言うなんて」

「悪いけど、部屋、もう一つ頼めるか?」

「キャラバンの連中が来てね。今空いてるのは二人部屋が一つだけだよ」

「キャラバンが?」


街から街へと移動しながら商売をしている大規模な行商人の一団がある。

100~200人規模のその商人の一行はこの大陸に5つあり、クリスタルの旗印の下、強いつながりを持っている。

それぞれ決まったルートを巡回し、立ち寄った街でバザーを開く。

この街に来るキャラバンは確か『赤き炎のクリスタル』のはずだ。


「ええ、ついさっき着いてね。いつも通り、宿を取ってくれたよ」


キャラバンの商人のほとんどは街の外に張ったキャンプで野営するのだが、同行している客人などは宿に泊まる。そして、その宿は街ごとに決まっている。

俺が常用している宿もそのうちの一つだ。

挨拶しておいたほうがいいかな?と考える。

キャラバンの連中には何かと世話になっている。

珍しい魔法具の調達や、手に入れたお宝の買取、時には貴重な情報をもらったりする。

彼らは商人なので金には厳しいが、それ以上に信頼を大事にする。

裏切り者には容赦が無く、信頼した相手には可能な限り手を貸す。

その信頼を得るため、かなり苦労した。

しかし、今ではその苦労も実を結び、何かと助けてくれる。


「二人部屋か…まあかまわんだろう、たのむ」

「はいよ」


暫くして服を買ってきた娘が戻り、クレアを連れ店の裏へと消えていく。

着替えが終わり出てきたクレアをみて、一瞬誰だか分らなかった。


「クレア…なのか?」


その問いかけに彼女は小さく頷く。


「やっぱり驚きましたね。私も驚いちゃいました」


宿の娘がくすくすと笑いながらクレアを俺の前に押し出す。

裏の井戸で水浴びでもしてきたのだろう。埃と煤にまみれていた彼女の体はすっかり綺麗になっていた。

その髪は輝くような金色で、その肌は雪の様に白い。

頼んで買ってきてもらった戦闘用の動きやすい服と、革製の軽鎧がその容姿とは不釣合いだ。

ドレスでも着せれば、どこかの貴族の令嬢と言われても誰も疑わないだろう。


「こりゃ、とんでもないもん拾ったね…」


俺は、女主人の言葉に無言で頷き、クレアをじっと見つめる。

彼女は恥ずかしいのか俯いたままじっとしている。

しかし、何時までもそうしている訳には行かない。

クレアがどこまで戦えるか、それを見極めなければならない。

キャラバンへの挨拶も兼ね、街の外へと出る。


「久しぶりだな。ボスはいるかい?」


テントを張っていた男に声をかける。


「あ!こりゃ旦那!お久しぶりです。へい!奥のテントにいますぜ」


その言葉に奥の方を見ると一回り大きなテントが見えた。

そのテントに向かい歩き始めるのだが…

しかし、目立つ…街を歩いている時もそうだったのだが、通り過ぎる人のすべてが振り返る。

まあ、クレアの容姿では仕方がない。


「いるかい?」


天幕をくぐりテントの中に入ると、そこには革鎧に身を包んだ年の頃30後半と言った女が立っていた。


「おや!誰かと思ったら、珍しいお客さんだね」

「久しぶりだな、ジーナ。3年ぶりか?相変わらずのようだな」


彼女はこのキャラバンを率いているリーダー。5つあるキャラバンの中では唯一の女ボスだ。


「ん?そっちの可愛らしい娘は?護衛の仕事でもしてるのかい?だけど、その首輪はたしか…」


とんでもない勘違いをしてるなと思うが、仕方が無いだろう。

どこから見ても、若い娘を護衛している魔術師にしか見えない。

ただ、彼女がしている首輪の意味を知っている人間からみれば、相当な違和感を覚えるはずだ。


「逆だよ、彼女が俺を護衛している」


ジーナは、苦笑交じりの俺の答えに驚きで硬直している。


「あんたの護衛?!そりゃまたどうして…大陸でも5本の指に入る魔導師様が?」


これも身分を隠す理由の一つだ。こんな事を知られれば自由に動けない。

ジーナは俺の身分、正体は知っている。隠したところですぐばれてしまうし、信頼を得るために隠し事は出来なかった。

クレアと行動を共にすることになった経緯を話す。


「西の谷の奥の遺跡ねえ…」

「なにか、知っているのか?」

「ん?ああ。噂程度だけどね。たしか、古代王国期時代のエンチャンターが根城にしていたところらしいね」

「ジーナでも、その程度の噂か」


ジーナの話は俺が街で仕入れた噂話と同じだった。何か新しい情報が手に入るかと一瞬期待したが残念だ。


「すまないね。そのかわり、いつも通りお宝は高く買い取るよ。期待してるからね」

「ああ、あれほどの守りだ。期待はできる」


ジーナと別れ、武具を扱っている商人のところへ行く。


「なんか、いい武器でも入ったかい?」

「お、こりゃ旦那!んー旦那のお目にかなうような武具は今のところ…」


そう言うが、並べてある武具をみると、どれもなかなかにいいものが揃っている。


「クレア、お前はどの武器が得意だ?」

「いえ、武器は使いません。」


即答。言葉は短く、無表情。

使わない?ということは近接戦闘を得意とする拳闘士か。


「そうか…なら、これがいいな」


俺が手にしたのは拳をガードするグローブ。守るだけではなく、威力を増す為の物でもある。

商人の言い値で金を渡し、グローブをクレアに渡す。

そのままキャラバンを後にし、街外れの荒地へとやってきた。

遺跡で遭遇したガーゴイルの事を話し、これからクレアの戦闘能力を見極めるための模擬戦を行うと告げると、その表情は一瞬にして戦士のものになった。


「クレア、今からゴーレムを召還する。言っておくが並のゴーレムではない。油断するなよ」

「はい」


またまた無表情で即答。

小さくため息をつきつつ、召還の術式を構築する。


「我が意に従い、我が意思する存在を…」


周辺の石や土が集まり、巨大な人型を作り出す。

そこらへんの石や土で出来ているため、あのガーゴイルほど頑丈ではないが

仮にも俺の作ったゴーレムだ。生半可な攻撃は効かない。

このゴーレムを数体召還すれば小さな砦なら落とせる。

そのかわり、維持するための魔力の消耗は激しいが。

召還されたゴーレムを見て身構えるクレア。その構えを見ても自己流なのが判る。


「なに?!」


クレアはゴーレムの一撃を両腕で受け止めた。

その衝撃でクレアの周囲の地面がへこむ。

あの一撃は城門を軽く砕く。それをあの身体で受け止めるとは…

そして、身を翻すとゴーレムの腕を上り、そのままの勢いでゴーレムの頭部に強烈な一撃をはなつ。


「これは…すごいな…」


その一撃でゴーレムの胸から上が粉々に吹き飛ぶ。

俺が召還したゴーレムをここまで吹き飛ばしたのはクレアで二人目だ。

しかし、すぐさま再生が始まる。俺の魔力が尽きない限り、ゴーレムは再生し闘い続けることが出来る。


「よし、そこまでだ」


俺は術を解除する。ゴーレムは崩れ去り、一塊の土の山となる。


「クレア、グローブをとって手を見せてみろ」

「え…は、はい…」

「やはり…あまり、無茶するなよ?」


その拳には血がにじんでいた。買ってやったばかりのグローブはすでに使い物にならない。ゴーレムを一撃で砕いたほどの威力に耐えられなかったようだ。もし、グローブをしていなければ拳は砕けていたに違いない。

治癒の術式を起動し、傷を治す。


「あ、ありがとうございます」

「余り大怪我するなよ?治癒術は苦手だからな」


苦手と言うより、攻撃が最大の防御と考えているので、使う必要が無い、と言う考えだ。

だから、習得している術式の数が少ない。使えるのは簡単な手当てと、自己防御系くらいだ。

防御系術式の中には、相手の動きを阻害したり、能力を一時的に封じるものもあるが、相手を弱らせてから倒す、と言う戦い方は好きじゃないので、その類の術式は一切覚えていない。

その為、攻撃が効かない相手と遭遇すると、この間のようなピンチに陥ることもある。


「しかし、普通の武具じゃだめか。ミスリス鉱クラスのものじゃないとダメだな」

「いえ、私は平気ですから…」


普通といっても、一般に扱われている金属の中で一番硬度のあるチタン製のグローブが使い物にならなくなったのだ。

並大抵の物では耐えられないだろう。

それに、平気といわれてもそのたび怪我をされては困る。

何か無かったかな?と、俺はマントの中を探る。

このマントは特別製だ。見た目は普通なのだが、外側には4重の対魔法防御式が、内側には特殊な術式が施してあり、中に何でも入る。

魔術学校を主席で卒業した者だけに与えられる特別なもの。

その製法は極秘で、作る事の出来る者はごくわずかしかいない。

探すこと数分、やっと出てきた。

以前、別の遺跡を探索した時に見つけたグローブだ。

非常に硬度の高い水晶で覆われている。

その硬度はとても高く、チタン製の鎧すら打ち抜く。

この水晶の加工は難しく、加工が出来るのは大地の民と呼ばれる、小数の部族しか出来ない。

この水晶は装飾品に使われることが多く、それを使った武具というのはめったに見る事がないので、売らずに取っておいたのだが忘れていた。

これならクレアの威力に耐えられるはずだ。これでダメならもはやミスリス以外は無理だろう。

ミスリス鉱…今現在知られている鉱物の中ではもっとも固く、そして軽い。

ただ、数は少なく、俺が見たのは魔術学校に保管されている一握りほどの資料だけだ。

その一握りだけでも、小さな国が一つ買えるだけの価値がある。

しかし、その加工法はすでに失われつつある。

以前、はるか東の海の向こうの国に、加工することが出来る職人がいると聞き向かったが、すでにこの世を去っていた。

俺は、何とか加工法を記した書を手に入れることに成功したが、ミスリス自体が手元に無いのと、記載されている内容に不明な点が多すぎていまだに加工に成功はしていない。

クレアは渡されたクローブをはめ、具合を確かめるように指を動かしている。


「よし、もう一度だ」


再度召還したゴーレムはあっさりとクレアの拳で粉砕された。

威力もあるがスピードもかなりのものだ。これならあのガーゴイルとも渡り合えるだろう。

グローブのほうも無傷で、クレアの拳も傷ついてはいない。

あのガーゴイルがグローブに使われている水晶より固いとは思えない。

攻略の糸口が見えた。

再びキャラバンに立ち寄り、必要なものを買う。

さすがに必要なものは全部揃う。それ以外にも珍しい魔法具などを買う。

使ってしまった水晶球と同じものがあった。高価な品だが必要なので買い、宿に戻ると脱出用転移術式の封印を行う。

そして、寝ようとした時だった。


「ん?どうした?寝ないのか?」

「あ…えっと…」


クレアは、宿に着いてから鎧も脱がずにずっと黙ったまま椅子に座っていた。


「遺跡では探索に丸一日かかるからな。明日の朝は早い、早く寝ろよ」


街から遺跡までは転移の術式で行ける。

遺跡の入り口に転移ポイントの目印となる魔道具を置いてきた。だから、街から遺跡までは一瞬だ。

しかし、入り口から隠し部屋のあった通路までほぼ一日を費やしていたので早めの出発だ。


「は、はい…」


ゆっくりとベッドに近寄り、寝心地を確かめるように触れる。

暫くの間、シーツや毛布の感触を確かめていると、彼女にしては珍しく困惑した声で話しかけてきた。


「あ…あの、えっと…ここで寝てもいいんですか?」

「かまわんよ…って、鎧ぐらい脱げ」

「あっ…」


慌てて鎧を脱ぐのだが、なぜか服まで一緒に脱いで下着姿になってしまった。


「お、おい…」

「えっ?…あ!」


自分のしたことに気がついたクレアはベッドの陰に座り込んだ。

これは先々、色々と問題が起きそうだ。

クレアは俺から見えないように器用に毛布にもぐりこむと、なにやら嬉しそうにしている。


「なんだ?何がそんなに嬉しい?」

「あ…あの…私、ベッドで寝るなんて初めてで」

「そうか。まあいい、早く寝ろよ」


一体これまでどんな暮らしをしてきたのだろうか?

もう少し打ち解けたら聞いてみようと思いつつ、眠りに着く。


翌朝、日の出前に宿を出ると、街の外で転移の術式を起動させ遺跡の入り口へと転移を行う。

入り口に置いておいた魔法具を拾うが、さすがに二人の転移の魔力に耐えられなかったのか壊れてしまっている。

ここから隠し部屋の入り口までは距離はあるが何も無い。

しかし、なぜ丸1日もかかったのだろうか?

それほど広大な遺跡は聞いたことがない。

空間を捻じ曲げてあるとしても感知できないはずが無い。

もし、何かしらの術式が施されているのであれば、かなり巧妙に隠してあるに違いない。

慎重に通路を進む。一昨日入った時はあまりに何も無く半分あきらめていた。

なので、探知の術式を起動することすらしていなかった。

しかし、今回は違う。この先になにかがある、それだけはわかっている。

昨日、キャラバンで仕入れたいくつかの魔法具をマントから取り出し身に着ける。それぞれに違う種類の探知の術式が施してある。

しかし、気がついたのはクレアが先だった。


「この先、なにかあります」

「何かわかるか?」

「いえ、そこまでは…ただ、なにかこれまでとは違う気配がします」


鍛えられた戦士の感覚だろうか、魔法具は何も反応していない。

強力な探索の術式を起動させ前方に投射する。


「なるほど、幻術系の目くらましか」


厄介な代物だ。魔法による幻覚を用い、強制転移を気が付かれない様にしてある。しかも、上手い具合にカモフラージュしてある。注意して通っても気がつかないだろう。

どうやら、転移を無造作に繰り返しているうちに、偶然隠し部屋のある通路に着いたようだ。となると、今回もたどり着けるとは限らない。

ためしに解除の術式を起動させ、幻覚があると思われる場所で発動させる。


「おっと、これはこれは…」


幻覚が消え、そこには今まで見えていたのとは違う通路が現れる。

それほど強力な術式ではないようだ。

その先も同じ罠があったがクレアが全て感知してくれた。

買ったばかりの魔法具が無駄になったか…すごい能力だ。

そして、隠し部屋のあった通路へ。

入ってからまだ1時間も経っていない。

直接来ると結構近かったということに驚く。

しかし、クレアはこれまでどんな経験をしてきたのだろうか?

下手な魔法具より感知能力があるし、戦闘力も高い。

最初は高い買い物だったか?と思ったがあの倍の額を言われてもこの能力なら安いくらいだ。


「クレア、準備はいいか?昨日話した通り頼むぞ」

「はい」


作戦は単純だ。俺がガーゴイルを一掃することの出来る術式を構築している間、クレアは近寄ってきたガーゴイルを追い払う。可能ならば倒して数を減らす。術式が発動すればガーゴイルは全て停止するはず。

仕掛けを動かすと、壁の一部が動き扉が現れる。扉を開け中に入ると前回と同じくガーゴイルが動き出す。


「くるぞ!」


ガーゴイルからの攻撃を前方に集中させるため部屋の隅に移動し、防御陣を張る。

ここからは時間の勝負だ。防御が破れるのが先か、術式が完成するのが先か。

前回は防御陣を張っている余裕すらなかった。


「はぁああ!」


クレアの一撃が一体のガーゴイルを粉砕する。

あの固いガーゴイルが粉々に吹き飛ぶ。思った通りだ。

しかし、驚異的な速度で再生する。


「そんな!」


驚くのも無理は無いだろうが、このくらいは想定内。

ガーゴイルを止めるべく、複雑な術式の構築にかかる。

その間もクレアはガーゴイルを粉砕し続ける。

防ぎ切れなかったガーゴイルが俺に襲い掛かるが防御陣に阻まれる。

このくらいの攻撃なら陣は持つだろう。


「はぁはぁはぁ…」


クレアの体力に限界がきたようだ。もう少しがんばってほしかったが、あの小さな身体でよくがんばったものだと思う。

同時に襲ってきた2体のガーゴイルを粉砕すると、その場に座り込んでしまった。

そのクレアに3体ものガーゴイルが襲い掛かる。

クレアは立とうとするが、すでに限界を超えているのか立つことが出来ない。

頭を抱える様に丸くなるクレアをめがけ、ガーゴイルの爪が襲い掛かる。


「あ…」


爪はクレアに触れる寸前で止まっていた。ギリギリ術式の発動が間に合った。

ガーゴイルは音を立てて崩れ落ちる。


「ふう…よく頑張ってくれた」


助け起こそうとするが、足に力が入らないのかまともに立てない。

防具に覆われていない手足に、数箇所のあざや切り傷が見られる。

治癒の術式起動し、傷を治してやる。


「す、すいません…」

「ここで少し休んでいろ、俺は扉を調べてくる」

「はい…」


注意して奥の扉を調べる。ここまでの防御をしてあるのだ、扉に何も仕掛けがないわけが無い。

しかし、これといって仕掛けも見つからない。ついでに扉を開ける仕掛けも見つからない。


「ん?」


ふと、足元を見ると石版が踏み板のようになっている。


「なるほど…」


以前これと同じ仕掛けを見たことがある。

踏み板に乗ることにより、扉が開く仕掛けだ。

しかし、乗っているのにもかかわらず扉は開かない。

しゃがみ込み踏み板の周辺を調べる。


「これじゃ動かないか…」


踏み板の周辺には細かい埃が詰まっていた。

長い間動くことが無かったため、詰まった埃が動きを阻害しているようだ。

まぁ、この程度なら何とかなる。

クレアの様子を見に戻る。


「どうだ?少しは回復したか?」

「はい、大丈夫です」


立とうとするがバランスを崩し倒れそうになる。

慌てて支えるが、改めて触れたその身体は本当に細い。

この身体でよくもあんな戦いが出来るものだと思う。

俺はそこであることを思いつき、クレアを抱きかかえる。


「思ったより重いな…」

「え?えっと?」


いきなり抱きかかえられ慌てるクレアを無視し、踏み板の上に載る。

それでも動かないのでジャンプしてみる。

着地と同時に重い音がして、扉がゆっくりとスライドしていく。

その先の部屋はうす暗く、それほど広くは無い。

入った扉の正面に風変わりな扉が一つ。

それと、どういう訳か綺麗な湧き水が湧いていた。

どうやら壁の割れ目から湧いているようだが、そうなるとここは地下なのか?

背後で扉の絞まる音がする。絞まると同時に部屋の中は真っ暗になった。

クレアを床に降ろし、マントの中から光を放つ魔法具を取り出し、閉まってしまった扉を調べる。

どうやらこちらからは開かないようだ。向こうの扉を開けない限り、この部屋からは出られないと言うことだ。

その扉には複雑な模様がかかれたパネルが12枚はまっている。

パネルは可動式になっていて並び替えることが出来るようだ。

パネルを決められた順番に並べれば鍵が開くのだが、ヒントが何も無い。これは長期戦を覚悟しなければいけない。

部屋の中央に光を放つ魔道具を置くと、マントの中から食料や飲み物を取り出す。

まずは、疲れ切っているクレアを休ませないと。

湧き水を汲んで湯を沸かし、食事を取る。

かなり疲れていたのだろう、食事が終わるとクレアはすぐに寝てしまった。

先ほどの戦いぶりが嘘の様な子供らしい寝顔だ。


「さて、一体どういう並びなんだ?」


独り言を呟きながら扉を調べる。

中央にパネルが12枚。

ためしにパネルを数枚動かしてみる。

もちろん、その間も探知の術式は起動させてある。

パネルを動かすことにより発動する罠もあるからだ。

最終的に2パターンの並びが有る事が解った。

一つのパターンは扉が開くパターンで、もう一つのパターンは恐らく罠の発動だろう。

二人の人物が向かい合う絵と、お互いに背を向ける絵。

この絵、何処かで見たことがある気がするが…思い出せない。


「ご主人様?」


クレアが起きたようだ。

ここまでかなりの時間がかかっていたらしい。

ん?ご主人様?クレアが俺をそう呼ぶのは始めて聞いた。

そうだ、クレアは俺が買った奴隷。俺の事を主人と呼んでもおかしくは無い。

しかし、何か違和感がある。

そうか、忘れていた。


「起きたか。どうだ、身体のほうは」

「はい、もう大丈夫です」


扉の解読を一時中断し、クレアに手を伸ばす。


「あ…えっと…」


何をされるのか分からないクレアはちょっと後ずさりをし、なぜか目をきつく閉じその場でじっとしている。


かちゃ


小さな音がして、クレアの首につけられていた首輪が外れる。

この首輪は奴隷の証だ。


「え?!ご主人様!」


突然の事に慌てるクレア。そうれもそうだろう、首輪をはずすと言うことはもう、奴隷ではなくなると言うことだ。

この首輪をはずすことが出来るのはその奴隷の主人だけ。

もし、無理やりはずしたり、主人に逆らうと首輪に施された術式が発動し首を絞める。

まあ、この程度の術式、簡単に解除できる。


「すっかり忘れてた。これで、お前はもう奴隷じゃない」

「あ…えっと…私…」

「もちろんこれからも付き合ってもらうがな。商人に払った分は働いてもらわないと」

「あ…はい!」


元々俺にはクレアを奴隷として扱う気は無かった。

俺の故郷の国は奴隷を禁止している。奴隷を解放するため、隣国に攻め込んだこともある。俺はその戦いに数回参加し、何人もの奴隷を助けた。

なので、クレアはすぐに開放するつもりだった。


「それと、ご主人様は禁止な。これからは名前で呼んでくれ」

「え?よろしいのですか?」

「もう、奴隷とその主人と言う関係ではないからな。俺とクレアはそうだな…

上司と部下、いや、仲間かな」

「仲間…ですか?」

「そんなとこだ」

「あ…はい。ですが…私、まだお名前聞いてませんけど…」

「え?」


とんだ大ボケだ。思わず笑ってしまった。俺に釣られクレアも笑う。

その笑い顔は、とてもガーゴイルを一撃で粉砕する戦士とは思えないほど可愛い。


「俺はルカ。ルカ=クルデュクス。ガザイア王国にある、魔術学校を出た魔導師だ」

「え…ルカって…まさか…」


俺の自己紹介に硬直するクレア。

どうやら俺の噂を聞いたことがあるらしい。


「そうだ、そのまさかだ」

「はわわわわわ」


訳の分からない叫び声を上げるクレア。

こんな少女まで俺の名前を知っているのだ。これが身分を隠すもう一つの理由だ。

同じ名前の人間なら探せばいくらでもいる。身分を示すエンブレムさえ見せなければ、遠い国であればいくらでも身分は誤魔化せる。

休憩ついでに俺の事をクレアに話す。

今後も行動を一緒にするのだ、ある程度の事は知っていてもらわないと困る。


「これがエンブレムだ」


マントの中から卒業の時に授与されたエンブレムを取り出す。

魔術学校の卒業の時、そのランクによりエンブレムが渡される。

最低ランクが銅、次が銀、最高位が金で出来ている。

中央部には、持ち主の魔力に反応して不規則な光を放つ水晶が埋め込まれている。

細工の得意な大地の民の手による芸術品で、複製は出来ない。

この3つの中で魔導師を名乗ることが出来るのは金のエンブレムを授与された者だけだ。

しかし、それも数年に一人現れればよく、卒業生のほとんどは銅のエンブレムだ。

金のエンブレムを受け取った者は学校に残り、魔術の研究や後輩の育成にあたったり、王の側近である宮廷付き魔導師になる。


そして、銀のエンブレム。

毎年一人か二人、銀のエンブレムを受け取る者がいるが、その者たちも例外なく学校に残り、魔術の研究や後輩の育成に従事している。

地に散っていくのは銅のエンブレムを持つ者たちだけである。

それでも、魔術学校の卒業生だ。独学や個人教授の魔法使いよりは力がある。

その為、護衛や警護に金持ちに雇われる者が多い。

中には田舎に引きこもり、子供相手に文字の読み書きを教えてる変わり者もいる。

俺が授与されたエンブレムはその3つのどれでもなく、特殊なクリスタルを加工したものだ。

その特殊なクリスタルで作られているエンブレムを持つものは、この大陸には四人しかいない。

俺は、その四人の中の一人だ。

数十年に一度の程度で現れるという規格外の魔法使い。

俺はその一人だった。


「ふわぁぁぁぁ」


クレアは俺の話を聞いて、また訳の分からない声を上げている。

他にも、魔術学校時代に親友と交わした約束と、命を分けた友の話をする。

話の流れで思わず話してしまったが、問題はないだろう。


「す…すごいんですね…噂以上です…」


まあ、こんな遠くの地に流れてくる噂だ。たいした事はないだろう。

それでも、俺がやってきたことは伝わっている。酒場でも聞いたことがある。

身分がばれれば、それ相応の騒ぎが起きてしまうだろう。

それをクレアにはしっかりと言い聞かせる。


「そういう訳だ。しっかり護衛を頼むぞ。多少剣は使えるが、基本的に接近戦は苦手だからな」

「わ…わかりました…」


真剣な表情で頷く。

話を終えると食事を取り、扉の解読を再開する。

ここでも、クレアが活躍した。

扉の模様を知っていると言うのだ。

まだ幼かった頃に住んでいた街の教会で見たと言う。

街の名前は覚えていないみたいだが、その模様と信仰されていた神の名は覚えていた。


「えっと、確かクユール様だったと思います」


クユール神…大陸西部で信仰されている農業の神だ。クレアが大陸西部出身だと言うことが判る。

マントの中から神々の事が描かれた古文書を取り出す。


「あ、これです」

「なるほど、これか!」


それは、はるか昔の創世神話時代の物だった。

かつて、天界に居た一人の神が仲間と争いになり、袂を分かつと言う神話を書いたものだ。

争いを嫌うクユール神は、最後の最後まで説得を続けたと神話は語っている。

これは、その説得が失敗し、分れた時の物語を書いた絵であった。

二人の人物が背を向け合うようにパネルを動かす。


「大当たりだ、えらいぞ」

「あう…」


恥ずかしそうに小さくなるクレアの前で、音も立てずに扉は静かに開いていく。

扉の向こうは暗くてよく見えない。明かりの魔法具を投げ入れてみる。


「うわ…なんだこれ?すごいな」

「ふわぁ…」


クレアはまた訳の分からない声で驚いているが無理も無いだろう。

この俺ですら見たことのない風景が目の前に現れた。

金や銀で作られ、色とりどりの宝石をはめ込まれている装飾品の数々。

どれも手の込んだ細工物だ。今の技術でこれほどの物は作れないだろう。

その一つだけで、クレアを買った元を取るどころか、おつりが来るくらいの価値はある。


「クレア、片っ端から入れろ!」

「はい!」


マントを床に広げ、そこにある物を片っ端から投げ入れていく。


「これは…」


壁際に立てられた鎧一式。それはどう見ても俺の知るどの金属でも無い。

いや、一度だけ見たことがある。魔術学校で師に呼ばれ、一度だけ見せてもらったあの希少な金属だ。


「すごい、まさかこんなものが存在していたなんて…」


それは、ミスリスで出来ている鎧だ。全身鎧ではなく部分鎧。

胸部と肩当、腰、脚部と腕部、すべてに細かい細工が施されている。

作りから言って、かつて存在したという魔法騎士が使っていたものだろうか。

そこに立てかけてある剣も同じミスリスだ。


「すごく軽い…それに、なにか魔力付与されているな…」


柄に文字が彫ってある。それは、かつて俺がはるか東の国へ会いに行ったが会えずにいた職人の名前だった。


「ルカ様、終わりまし…うわ…」


作業の終わったクレアが近寄ってきて驚いている。

俺はその鎧を身につけ、剣の鞘を腰の金具にはめ込む。

見た目よりもすごく軽く、動きを一切妨げない。

これなら複雑な術式の邪魔にもならない。

術式を使うのに複雑な身振りが必要な関係から、魔法を使う者は金属製の鎧を身に着けることが難しい。

また、術の中には金属との相性が悪いものが多い。

しかし、俺が調べた限り、ミスリスは一切術に干渉しないらしい。


「なるほど、魔法騎士が強かった一員はこういう武具があったからなんだな」


剣を抜き、素振りをしてみる。

まるで、木の枝を振っているような軽さだ。

左の篭手には収納式の盾。これは便利だ。

ミスリスなので強度も十分ある。

マントを羽織ると、部屋を見回す。

そこにあった宝は、全てクレアがマントの中に入れたようだ。

奥の方に入ってきたのとは違う扉が見える。

どうやら出口のようだが…

扉を開け、中に入った瞬間、転移する。


「ここは…」


転移した先は遺跡の入り口。

そして、遺跡の奥から岩の崩れる音がする。

なるほど、宝を見つけ、のんびりと損得勘定していれば生き埋めか。やってくれる。

外はすでに夜になっていた。

入った時間と扉の前で解読していた時間、話をしていた時間から考えると、街を出て2日目の夜だろうと思われる。

帰りは転移が使えないので歩いて帰る事になる。

街に転移ポイントを設定して置けばよかったなと思いつつ歩き始める。

まあ、明け方には街に着くだろう。


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