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犯人は・・・・・・。

 朝になるとさやかは父の勤め先に顔を出した。

 そこには当然、ヨハンもいた。

 だが、わざと気にしないようにつとめる。

 ヨハンも同様だった。

 何食わぬ顔で書類に目を通す。

 ほかの刑事が、電話で署長を呼び出した。

「何、娘が? わかった、すぐ行く」

 幹吉は舌を打った。

「さやか、もしや気づいたか・・・・・・」

 鍵つきの机の引き出しから、真っ青な宝石を取り出した。

 ブルーダイヤである。

 例のオークションで、五億の値がついたあれだった。

「さやか・・・・・・」

 そして、机の奥から取り出した黒い塊――ベレッタと呼ばれる拳銃だった。

 銃器類の中でも比較的使いやすいそれを、署長は持っていた。

「すまない。だがこうするしかないんだ。苦労して築き上げてきた地位を、捨てたくはない・・・・・・」  

 そのダイヤを求めたのが娘であることも、実はうすうす感づいていた幹吉。

 ミナコ、というハンドルネームを使っていた。

 それは、幹吉の妻の名前だった。

「美那子・・・・・・お前が悪かったのに」

  

「おとうさん」

 さやかに向けられたベレッタの銃口。

 父は、娘を殺そうと近づく。

「どうして・・・・・・」

「わしがお母さんを殺したと、なぜわかった」

「鑑識でこの写真を見せたんですよ」

 さやかの背後からヨハンがあらわれた。

 幹吉は、ゆがんだ微笑を浮かべる。

「案の定、ルミナール反応が、でそうですね・・・・・・」

「やめて、ヨハン。おとうさんを捕まえないで」

「でもさやか。まだ時効じゃないんだよ。お父さんはまだ」

 ヨハンの言葉が終わらぬうち、署長は銃を発砲した。

「まだまだ! わしはこの地位を捨てるわけには行かない!」

「往生際の悪い・・・・・・」

 ヨハンも拳銃を取り出した。

 だが、そうするまでもないまま、署長は額に銃口をあてがう。

「ヨハン、娘をよろしく頼む・・・・・・」

 ヨハンはあわてて署長を止めた。

 弾は撃ったが、運良く急所を外れて、全治三ヶ月の怪我ですんだ。

「さやか、怪我はない?」

 さやかはヨハンに寄りかかって、呆然とし、泣くことも忘れていた。  

 

 

 父は母をブルーダイヤで殴殺したのだ。

 そしてふき取ったものの、完全にはぬぐいきれず、わずかに血痕を残してしまい、鑑識に見破られた。

 その結果、十年以上経って、事の真相が明らかとなったのだ・・・・・・。

 皮肉なのは結婚記念日が今日であること。

 母を殺害した日も、結婚記念日だったという。

「まさしく血痕記念日だな・・・・・・」

 ヨハンのしゃれを、さやかが、

「寒いわ!」

 と突っ込む。

「わからないのよねー」

 さやかがつぶやいた。

「なにがさ」

「おとうさん、どうしてあんなに値段を吊り上げたんだろう」

「それは口を割らないみたいだね。おおかた、オークションで売りさばけば大金が転がるから、どうせなら限界まで吊り上げようとしたんじゃないかなぁ」

「夢見させろ!」

 さやかが再び突っ込みを入れる。

「お母さんとの思い出が詰まっていて、本当はだれにも売りたくなかったんじゃないかな」

「夫婦なんて、そう甘いもんじゃないと思う」

  

 ヨハンが笑った。

「わかった風なこというのね」

「きみを見ていたらわかるよ」

 ヨハンのわき腹に、どぎついツッコミを忘れない、さやか。

「どういう意味じゃ、こんにゃろ〜」

「そのままです・・・・・・でもね。お互いをわかりすぎたころ、憎むってこともあるんじゃないかな。お母さんはその犠牲にされてしまったんだよ」

「似合わない台詞。そういえば、私と、よりを戻すつもりなの?」 

 ヨハンがうなずいて、さやかにキスをした。

「うん、そのつもりだよ」

「なんか、いやな感じ。別れたままでもいいじゃない。ヨハンはもてるんでしょ」

「どっちがいやな感じじゃ! 俺はもてるって言ったって、好きになれる子はたった一人だけだからね」

 へへん、とヨハンは勝ち誇った微笑を浮かべた。

「でも、あなたを好きで付き合いたいって人が多いと、私としては戦いたくないしね。ばかばかしいことに巻き込まないでほしい」

「・・・・・・パパがすべてって言われたときは、傷ついた」

 さやか、ヨハンに言われて思い出し、ぎくりとする。

「あ、あれはね」

「たとえ、いっときの感情でも、傷ついた。ぐすん、ぐすん。俺、かわいそうだよね。愛するさやかに捨てられちゃったんだから〜」

 つきあってられんと、さやかはタバコに火をつけて吸い出した。 

「不良だなぁ」

 ヨハンは自分も火をつけて吸う。

「いいの、あたし未成年だけど」

 ヨハンはぎょっとし、さやかからタバコを取り上げた。

「今日は見逃してやるが、この次やったら許さないぞ」

「許してたくせに。いつもビール飲んでるよね」

「あ・・・・・・」

 ヨハンは減給を覚悟していたという・・・・・・。     

 人によっては、この無理やりなネタが好きです、とまで言ってくれる読者がいます。

 うれしいですよ、そりゃ。

 読んでくれる人がいてこその、ネタです(汗。

 くだらない、と思う人もいるかもしれないけど・・・・・・。

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