まさか。
さやかはノートパソコンを開き、例のブルーダイヤの項目を開く。
さやか、ダイヤの値段を見て、大きく目を見開いた。
「ご、五億円!? どういうこと」
どう考えても急すぎる値段の吊り上げだった。
物好きだったらやるかもしれないが、値段の上げ方には確か、ルールがあるはず。
「昨日見たばかりなのに・・・・・・たった一日で二億も。うっそでしょ」
誰かがふざけて出品したとしか思えない。
あるいは存在しないものなのか。しかし、栗源の名前が彫られているからには、間違いはなかった。
いくらネットオークションでも、ないものは売らないだろう。
ためしにと、さやかは『買う』の項目にチェックした――。
さやか、買う欄にチェックした後、思い出したことがあった。
――もしかしたら、ルミナール反応が出るかもしれないな。
といったヨハンの一言である。
なぜ血の跡があるとわかったのか。
現代の科学捜査なら簡単にわかるかもしれないが。
それとヨハンがある事件の証拠といったことも、さやかは知らなくてはなるまい。
さやかは、ぴんとひらめいてしまった。
「まさか、お父さん・・・・・・」
さやかはパソコンを閉じると、部屋を出て行った。
時刻は黄昏どき。
ヨハンと父が戻ってくる時間だった。
「買い物しないと・・・・・・」
いいながら、さやかはなぜだか、泣きたい衝動に駆られてしまった。
名探偵としての実力発揮か、さやか!
それにしても、事件の顛末、気になりまする。




