表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/42

6.舞踏会への招待‏

おお

勇者カルバン・クライン

無敵の英雄

聖なる天使の命を受け

魔王ガンドルを打ち倒し

我らに平和をもたらせり



 こうも毎日おんなじ歌を聞いてると、いい加減飽きるよね。


 大人はそろそろ別の歌を流しの歌手や大道芸人へのリクエストに入れ始めてるし、芸人さん達も新曲出してきてるわ。


 メインの題材は王女様との恋愛。


 子供達は変わらず勇者ごっこだけどね。


 けど、大人の好みを映してるみたいに、お姫様を庇ってっていうパターンが出てきたわ。


 女の子がノリノリで凄いわよ。


 まあ、あの超美形な偽カルバンとシアルの藍華と讃えられる王女様。ゲージュツ家なら並べてみたくなるだろうなぁ。


 んで、それを並べて近所で鑑賞しようっていう催しがお城で開かれるらしいわ。


 つまり舞踏会。


 勿論私達みたいな庶民が行けるわけもないんだけど、家にはそっち系な伝があったのを、今、思い出させられているところ。


 能天気な頭の中身を見せつけてるみたいな、あっかるい黄緑の髪の阿呆のおかげでね。


 あ~私も買い出しに行けば良かった。


 皆用事で居ない時を見計らって来るなんて、姑息な奴だわ。


「ドレスは心配無いんだよ。僕の妻として、誰にもひけは取らせないからね」


 しまったぁ! ぼんやりしてたらいつの間にか手を取られてる! しかも両方?


 相変わらす素早いわね。


 妄想止めのフライパンが掴めないじゃない。


「誰が妻よ!」


 フライパンの代わりに言葉で! っても聞く耳のない奴には柳に風だわ。


「勿論君だよ、レニー」


 ほらね。


「君の為ならどれだけ散財したって構わないんだ。全て宝石だけのドレスにしようか?」


 嫌よ、そんな石だけ繋げたゴロゴロするドレス。


「馬鹿な事言わないの。そんな無駄遣いしたらマイウおばさんが化けて出て叱られるわよ!」


 言葉で牽制第二弾! でもやっぱり選択を間違えたわ。


 昔なら絶大な威力があった『おばさんに叱られる』も、今となっては……そんな幸せそうな顔をするなー!


「母さんに逢えて叱られるなら破産したって嬉しいよ!」


 この変態!


 伯爵様最愛の人であり、こいつの最愛の母。マイウおばさんは、美人で烈女で男前。ついでに完璧な淑女だった。


 だからこいつの理想の女性って訳。


 カルバンが連れてた友達が、こういう奴を『マザコン』っていうんだって教えてくれたっけ。


 母親激愛の変態の事なんだって。


 そんな変態育てちゃったけど、おばさんは本当に素敵な人だったわ。


 開いていたおしゃれな衣料品店は繁盛していたし、友達多かったし。


 伯爵様以外にも絶大な信奉者が未だに居るくらいの凄い人で、風の噂によるとおばさんを生き返らせる為に、魔王に寝返って力を貰おうとした人もいるらしいわ。


 阿呆よねその人。


 そもそもマイウおばさんを殺したのは、その魔王じゃない!


 本末転倒してるんじゃないわよ。


 ととと、どうしても考える事があっちゃこっちゃになるわね、私ってば。


 そんな事を考えてる場合じゃないってか、こんな状態だから現実を直視したくないのかも。


 ジェブの馬鹿に抱き締められてるなんて!


 うわ~香水着けてんじゃないわよ、ったくお貴族様め。匂いが料理にまで移ったらどうするのよ。


 式の計画なんか知らないわよ!


 あんたの子供も知らないわよ! 家族計画を私前提で勝手に立てるな!


 くっ……後ちょっとなのに。手は離されても腕が拘束されてて、フライパンに手が届かない!


 だ~! 髪の毛の匂い嗅がないで!


 誰かこいつの頭を殴って正気に戻して!



 ゴン!


 あ、良い音。



「……お姉ちゃんを離せ、バカジェブ」


 頭を抱えて踞る阿呆の向こうには、可愛い可愛い私の妹。


「ありがとう、サニー」


( *´ー`)一人女の子のタイプが足りなかったので

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ