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41.屋上対決?

長らくお待たせしました。なんとかじわじわですが、進めていきたいと思います

おお

勇者カルバン・クライン

臆病者よ

未だに姿を見せもせぬ

友を見棄て姿を隠し

まさに英雄これにあり


 なによそれ!


「うるさいわね! あんたたちが騒ぎ起こすから、カルバンが忙しくて帰って来れないんじゃない!」


 アリィさんはそう言ってるもん!


「いや、レニ姉。人質解放交渉の真っ只中で、怒鳴り付けるのはやめようよ」


 あ。


 そうでした。冷静な突っ込みありがとう、エルトン。


 いや、そうじゃなくて。


「何であんたそんなに落ち着いてるのよ」


 襟首掴んじゃうわよ、私。


「騒いだって三人は取り戻せないだろ?」


 そりゃそうだけど。


「カルバンまでバカにされる事ないじゃない!」


 あんなでっかい声で合唱するなんて~!


「レニ姉を動揺させて。まぁ、そもそもしてるけど。兄貴が飛び出してくるのを狙ってるに決まってるだろ?」


 まぁ、この子ってば。


「あんた、どこまで冷静なのよ」


 昔はカルバンの後ろをくっついて回る泣き虫だった癖に。


「今、泣き虫だった癖に、とか思っただろ」


 やだ、何で解るのよ。


「レニ姉は顔に出る」


 うわ、言い切られちゃった。


「とにかく、交渉は俺たちに任せてくれよ」


 エルトンってば、キリッとしたら良いと思ってるでしょ。確かに文句言えなくなるけど~


 だってその顔、カルバンにやたら似ててなんかカッコよくて弱いのよ。


「んだほぃ。レイニーちゃんだばめごこいさげって、ニコニコすてればいいっぺや」


 クラリスクさん。褒めてくれた気がするけど、さっぱり解りません。


「せやせや、こういうのんは、ウチラの仕事やし」


 がははって笑ってくれちゃったけどカサリアさん、お腹無茶したら大変よ。


「さ、レニーはあたしと一緒に居よう?」


 リンフェルに引っ張られて、エルトンたちの後ろに下がらされちゃった。


 ええとね、今更だけど状況を整理するわ。


 今、私たちが居るのは、とっても見晴らしが良いところ。


 実はオルブランの街をぐるりっと取り囲む城壁の上です。


 つまり、お姫の結界の最前線ね。


 右側に広がるオルブランの街並み、左側には緑が広がる耕作地帯。


 一面の焼け野原からここまで回復したのよ、みんなが頑張ったんだからっ! て、私が胸を張っちゃうのはお門違い? ううん! オルブランっ子としての誇りよ。


 私たちは見張りの歩哨さんが立つ屋上通路に居るのよ。


 魔王からの呼び出し状で、ここを指定されて登ってきてるって訳。


 普通は立ち入り禁止なのよ。当たり前だけど。


 メンバーは、私とエルトンとコクトー御夫妻にリンフェルとターグさん。


 現在オルブランではカルバンしてるトパさんと、お姫はお城で待機中。


 アリィさんは用時あるって、昨日から出かけてるの。


 本物のカルバンに何かあったのかなって、結構心配。


 なんかアリィさんってさ、事実とか出来事とかをそのまま素直に言ってくれない気がするのよね。


 企んでるとか、信用できないって事じゃないんだけど、まるまんま言ってる事を鵜呑みには出来ないって感じ。


 だから、カルバンに何かあっても私たちには言ってくれなくて、自分で何とかしようって考えるかも? なんて疑い過ぎかな?


 で、呼び出し状には『カルバン・クラインとレイニー・ブルースを並べて連れて来い」とあったの。


 そこで、クラリスクさんが髪と目の色を金髪と碧い目にして、カルバン名乗って居てくれてるんだけど、トパさんが大々的にカルバン・クラインここに在り! ってパレードしちゃったおかげで『偽者だ』と言われて、さっきの大合唱になっっちゃったっていうのが、今なのよ。


 あ、さっきの怒鳴り返しって、クラさんが偽者ですってばらしたみたいかな?

 

 うわ~どうしよう。

 

 頭に血が上ると、突っ走っちゃう私のバカ。


 だけど腹立つ。


 なによあいつら。お姫の結界で屋上通路の街側半分にしか立てないくせに。


 うん、こんな状況じゃなきゃ、冗談かふざけてるとしか見えないわ。


 四人は余裕で並んで立てる通路のきっちり半分に、魔物が体寄せ合って立ってるのよ。


 二列縦隊で。


 がら空きの外側半分が、お姫の結界がどんな風に張られてるのかを教えてくれる。


 あそこから左側には魔王の配下は行けないし、触れば即消滅するんですって。


 魔道具にすらならずによ。


 もったいない。


 結界に全ての力を吸われちゃうかららしいんだけど、消えるんならせめて魔道具ぐらい

になって私たちのお財布温めなさいよ。なんて思っちゃった。


 いけないいけない。欲張っちゃダメよね。


 襲いかかって来られるより、消えてくれる方が断然良いわ。


 だってあいつらが狙ってるのは私の血なんだから。


 そんな危ない場所に魔物たちが立ってるのは、とどのつまり『さっさと血を寄越して、ここから出せ』っていう意思表示な訳よ。


 そして私たちに更なる圧力をかけてるのは……


 街側にぶら下げられている三本の綱。


 あの先には、サニーとマリンピア。ついでにジェブが下がってるのよ。



 必ず助けるからね! 


( *´ー`)クラさんのセリフの意味は、「レイニーちゃんは可愛いんだから、ニコニコしてればいいんだよ」です♡

カメハールン弁は、とある東北に実在している街の局地的方言です。ご存知の方いらっしゃいます?

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