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38.寒い国からきた夫婦

長らくお待たせいたしました。

携帯一発書きなので、誤字脱字、日本語じゃない文章言い回し。見つけたらよろしくです。

こっそり直します。

おお

勇者カルバン・クライン

ムカつく英雄

天使も側に居たくせに

魔王の首を逃がすから

こっちに迷惑が降ってきた



 韻がずれてるわ、マリンピア。



おお

勇者ターグ・レントリー

素敵な騎士様

天使アリィに連れられて

魔王の魔物をたくさん倒し

魔道具いっぱい取ってきて



 リンフェルは欲望に忠実ね。


 もちろん私も同感だけど。


 あ、お姫がクスクス笑ってる。


 それにしても、外は大騒ぎだわ。


 今私たち四人は、二階の窓から店の前の道路を眺めてるの。


 一応表通りの道路は、大通りみたいなだだっ広さじゃ無いけど、路地って程でもない。ん〜馬車と荷車が楽にすれ違えるくらいの広さ?


 そこのど真ん中にアリィさん、両脇をターグさんとエルトンが固めてる。で、ちょっと遠巻きにまぁ何でこんなに? って言いたくなるほどの魔物が取り巻いてるのよ。


 その数ざっと三十匹。


 道の遠くで家の中からや路地の間から、街の人達が恐々覗いてるのがここからでも見えるわ。


 ターグさんが居るのを見て、ちょっと安心したみたい。『騎士様〜』とか『頑張って』とか声援が聞こえるの。


 カルバンが世界の英雄なら、ターグさんは街の英雄だもんね。


 襲撃の時に助けてもらった人も多いもの。


 あ、アリィさんがどっかからあのでっかい鎌を取り出したわ。


「ドーナー ノービース パーケム」


 厳かな声でそう言って鎌を空中で一振りすると、ターグさんやエルトンの傷が消えてうっすらと光る膜に包まれたわ。あれなんだろう?


「天使の加護です。二人に、強い防護の魔法が掛けられました」


 横でお姫が解説してくれた。


「もとよりこのオルブランの中で姿を現しているのですから、私の結界が魔物の力を大部分削いでいます。彼らなら楽勝ですわよ」


 にっこり微笑んでるお姫が頼もしいわ。


「ねぇ、三人の足元に転がってるの、魔道具じゃない?」


 なに!?


「まぁ、もう五匹も倒しましたのね」


 すご〜い。さすが。


「光玉三つと傷の特効薬と毒消し……雑魚だな」


 帳場担当は品定めが冷静ね。


 あ、魔物が動いた。しかも全部!


 いきなり総攻撃ってどうゆうつもり?


 わぁ! 四方から群がった魔物が、何かに弾かれて道路に散らばったわ。中には他の魔物に押し潰されて、魔道具になっちゃったのまで居る。


 こんな事ができる人って…


「させませんわ」


 やっぱり〜


「お姫カッコいい」


「すごいや」


「個別にも結界が張れるんだな」


 私たちの称賛にうっすら頬っぺを染めて、お姫が照れてる。


「でもっ、細かな結界は見えていないとダメですのよ」


 パタパタ手を振るのが、普段の高貴で凛々しい王女様と全然違ってて、すっごい可愛い!


 そっか、お姫って可愛いんだ。改めて見惚れちゃう。


「おらよっ!!」


 うわ、凄い掛け声。


 お姫に見惚れてたら、下では戦闘が始まってたわ。


 ターグさんが荒っぽい掛け声で大剣を振り回す度に、魔物が吹き飛ぶ。


 大柄で分厚い胸板が支えるこれまた太い腕が、力任せな戦法を強力な殺法に変えるのよ。もちろん正規の訓練を受けてる正騎士だから、ただ振り回してる訳じゃないわよ。


 ちゃんと相手の動きも自分の足運びも計算されてて無駄がないの。カルバンは帰ってくる度にターグさんと手合わせしたがってたわ。


 同じ剣士タイプでも、だいぶん性質が違うから面白いわよ。


「……はぁ…素敵」


 リンフェル。目が潤んでるわね。


 すっかり惚れ直したみたい。


 ターグさんと背中を合わせる様にして、エルトンが棒を振るってるわ。


 基本を守って棒の中心を左手で握り、右手で方向を定めて支える。半身で構えて、打つ、突く、薙ぐ。


 最近はアリィさんやターグさんたちと毎日特訓してるから、動きに無駄がなくなったわね。突きの場所も的確だし、力もついてきてる。


 カルバンが見たら喜ぶだろうなぁ。


 ほんでもってアリィさん。


 流麗っていう言葉がぴったりなのよ。


 バカでかい鎌を流れるような動作で一薙ぎする度に魔物が消えて魔道具になるの。


 鎌から逃れたヤツは、蹴り飛ばす!


 華麗さと豪快さが混じってる。


 ああいう適当さがアリィさんらしいわね。


 魔物もいつの間にか半分以下になってるし、魔道具の山もできてるし! 


 がんばれ〜


 こわごわ覗き見していた街の人たちも、三人の大立ち回りで調子付いて来たみたい。『いけ〜』だの『そこそこ!』とか『背中危ない!』なんて応援始めてる。遠くの方じゃ人垣まで出来てるわ。


 オルブランっ子は野次馬も多いのよね。


 あれ?


 その人垣を掻き分けて出てきたのは、ジェブとサニーだわ。


 家が襲われてるのが判って、サニーが駆け出し掛けるのをジェブが抑えた。えらいジェブ。あんたの状況を見る目は確かよ、口説くときに何故発揮されないか不思議だけど。


(わたくし)に任せて」


 お姫がそういうと、サニーに向かった魔物が道の途中で跳ね飛ばされたわ。


「ありがと、お姫」


「どういたしまして」


 さすがは天使の勇者の一人よね。


 魔物が行かないなら、サニーの護衛はジェブでも大丈夫。


 実はへなちょこな文官に見えて、ジェブは格闘が得意なの。子供の頃からカルバンと取っ組み合いしてたんだから当然かな?


 チンピラくらいなら蹴り飛ばせるわ。


 って、魔物が合体した!?


 二匹の魔物がくっついて大きな一匹になると、お姫の結界に猛然と体当たりはじめたの。


 見物人さんは蜘蛛の子を散らすみたいに逃げていくけど、サニーががんばってるからジェブも逃げない。


 二人とも早く逃げて!!


「馬鹿兄貴! 早くサニー担げ!」


「結界は破らせませんわよ!」


 マリンピアとお姫が怒鳴った。


「イーハー!!」


 へ? 何? 今の変な声。


 って思ったらでっかい魔物が地面にへばり付いた?!


 違うわ、やつの頭を踏みしだいて、誰かが乗ってるの。


 魔物の頭の下で石畳が皹入ってるから、どれだけの攻撃なのか判るわよね。


「可憐な女の子。襲ってるんやないで。この変態魔物!!」


 意気のいい啖呵が響くのと、足の下の魔物の頭に、乗っかってた人が踵落としで止めをくれてやるのが同時。


 魔物が消滅して、なんかよくわかんない反物になる。


「! あれは! 滅多にお目にかかれない『月白の被布(ひれ)』!」


 マリンピアが拳を握る。なんか凄いものなのね。


 って、注目はそこなの?


 それより、あの人誰なんだろう?


 女の人よね。どちらかって言うと小柄で、明るい橙色の髪が鮮やか。体にぴったりな上着とズボンの珍しい服装だわ。


 あ、あれって確か、カメハールンの格闘着よね。


 じゃあカメハールンの闘士なのかな? 女の人では珍しいわ。


「彼女は、カサリア・コクトー。仲間の一人ですわ」


 お姫が嬉しそうに微笑んでる。


 そっか〜魔王倒した仲間なんだ。強いはずよね。


「……に怒りを秘めし者。炎の洗礼を以ってこの場を浄化せん」


 へ? なんだろう妙に響くのに呟きみたいな幽かな声が聞こえる。


「降り注げ!『炎の雨』!」


 うわ〜


 声と一緒に、店の前に火の子の雨が降ってきた!


「火事〜!?」


「やばい! 水!」


「きゃ〜」


 慌てる私たちに、お姫がころころと笑ったわ。


「大丈夫、この炎は、魔物だけを焼き尽くすんですのよ」


 ほ……ほんとに?


 恐る恐る窓から外を見ると、本当に火の子は屋根や石畳に当たる前に消えるのに、魔物に触れた途端に燃え上がっていく。すごい器用。


「おめだ、怪我はねが?」


 聞き慣れない言葉で、一瞬何が聞こえたのかわかんなかったけど、お姫はさっきと反対の方を指差したの。


「ああ、やはりクラも来ましたのね。彼はクラリスク・コクトー。カサリアの旦那様で、当代一の魔導士ですわ」


 てくてくとやって来たのは、銀髪に眼鏡をかけてにこにこ笑っている男の子? エルトンと同い年か少し上くらいに見えるんだけど、妻帯者なんだ。ふうん。


「北の魔法王国、カイエンタから来てくれた、私たちの仲間。これで、天使の勇者がオルブランに終結ですわね」


 お姫が誇らしげに言うけど。肝心のカルバンが未だだったわよね。


 カルバン。あんた遅過ぎるわよ!


ドーナー ノービース パーケム

   Dona nobis pacem. 

「私たちに平和を与えよ」

ってわけで防護魔法( *´ー`)

ちなみにクラちゃんの言葉は

「お前ら、怪我はないか?」

です。

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