26.夢で逢いましょう
例のせりふ、ついつい入れちゃいました( *´ー`)
「そういえば、本物のカルバンは何してるの?」
リンフェルがぽんっと言ってくれたわ。そうよ、そういえば、それが聞きたかったのよ私。
「あ~あいつかぁ……気になる事があるっつ~てな。ちょっくら街の外うろついてるんだ。まあ、もう魔物も雑魚しか居ないからな、その内帰ってくるさ」
ん? なんかアリィさんっぽくない、歯切れ悪さだけど?
「いやぁ、こんな時だから俺も止めたんだけどな。あいつ言い出したら聞かないしさ」
あはは~って笑ってるけど、な~んか引っ掛かるなぁ?
マリンやエルトンも疑惑の視線を向ける中、アリィさんは右手を挙げたわ。
「天使ウソツカナーイ」
あからさまに怪しいですって。
「まぁとにかく」
あ、はぐらかした。
「この部屋から出たら、カルバン・クラインのカラクリは一切話さないでくれよ。魔王の地獄耳は侮れないからさ。ここに居る全員の命に関わる」
そりゃそうだけど、つまり今しか聞けないってことでしょ?
「それにもう寝た方がいい。サニーちゃん顔が真っ白だぜ」
えぇ!?
ほんとだわ、酷い顔色。
「寝なきゃ」
「まだ、大丈夫」
ダメよ、そう言っててもすぐに熱が出るんだから。
「サ「アリィ、結界開けてくれ!」
私がサニーを説教しようとしたら、ジェブがサニーをヒョイッと抱き上げて、扉へ猛然と歩き出したわ。
「ほいよ」
アリィさんが、ペリッと紙を剥がして扉を開く。
「ジェブ、下ろして」
「駄目だ、部屋で休むんだ。皆、先に行くからな!」
開いた扉を潜りながら、振り向きもしないで行っちゃった。
思うんだけどね、私とサニーが崖にぶら下がっていたら、ジェブは迷わずサニーを助けるわ。きっとね。
『ごめんよレニー。君を愛してるけど、サニーを助けなきゃ』
言うセリフまで想像着いちゃう。
そして私は心置きなく、『勿論サニーを助けてよ!』とにっこり返して、カルバンが来るだろうから待っとくわ。
あれでどうして私を口説くのかしら?
謎だわ。
「ジェブは、よもやサニーを正妻にしてレニーを愛妾に、などと言い出すまいな? その時は取り敢えず勘当するが」
その手があったか!
「その時は私がヤツを梁から吊るします」
当然じゃない、サニー泣かせたら許さないんだから。
「いいやレニ姉。俺が切り落とす」
エルトン、何を?
「いや、ねじり切ろう」
マリンピア、何を?
「あら、すりつぶすのは?」
リンフェル、ターグさんがちょっと青ざめてるわよ。
「何にせよ、『女神の食卓亭』全員から袋叩きの後でカルバンがぶっ殺すんじゃないか?」
アリィさん、正解です。
底まで堕ちたら容赦はしないわよ、ジェブ。
「しかし、あれの思い込みも困ったものだ……そろそろ話すべきかもな」
え? 伯爵様、その呟き何?
何なの~? って思ってる内に、王様がお部屋を出て行ったから、伯爵様も付いて行っちゃった。
何を話すんだろう?
「さあ、皆様もお休みになってくださいませ」
王女様が侍女さんを呼んでくれたので、私たちは部屋を出たわ。
でも、トパさんと王女様とアリィさんはまだ話があるみたい。三人を残したまま、ドアが閉まっちゃった。
部屋は皆個室でね、とっても豪華だったわ。あんなふわふわのベッド初めて。
サニーもすぐ眠ってて熱も無いみたいだし、ジェブが付いててくれるって言うから、ゆっくり眠らせてもらったの。
だからかなぁ?
夢の中で、父さんと母さんに逢えたんだ。
天国で、元気にやってるんですって。
嬉しかった。
夢の中で、いつも家の宿の食堂でしていたみたいに、母さんのオルバンの伴奏で父さんが歌ったわ。
カルバンの歌。
弟子が英雄になって、嬉しいんだって。
朝まで、耳の中に歌が残ってた。
おお
勇者カルバン・クライン
稀なる強者
光集めし金の髪
その微笑みは闇拭い
瞳、碧き空を写したり
ジェブ、必死になる相手が違っている件ww
C&T&Eの名台詞でしたwww
そしてレイニーの中では、カルバンが助けに来るのがデフォルトのようですw
そういえば「インディアンウソツカナイ」って、何が元ネタなんでしょうね?