25.それでいったいどうすりゃいいの?
会議なので会話が続いております
「……まぁ、カルバンが不幸なのは、今に始まったこっちゃないから置いといて」
アリィさん、さらって流したね。
「そうだな。とにかく今はレニーの身の安全だ」
マリンピアもそのまま押し切るつもりね。私、そんなに変な事言ったかな?
「家に帰るのは、やっぱり危ないかなぁ?」
「もしまた貴族が絡んでいたら、家じゃぁ押し込まれる場合も有るぞ」
リンフェルもエルトンもふつーに問題検討に移っちゃうのね。もういいや、気にしないでおこう。
「じゃあ、僕の所へ来ればいいじゃないか!」
絶対嫌!
「ジェブうるさい」
サニーありがとう。
「城で保護をするのは如何でしょう?」
王女様も考えてくれてるのね~ありがたいけど、お城で庶民の私が何したら良いのかな? 侍女?
「あのぉ~」
手を上げて発言してみよう。
「私~家に帰りたいんですけど~」
「なんで?!」
「危ないだろ?」
皆怒るけど、今までな~んにもなかったんだもん。
「だって、今のところカルバンの血が手に入って無いんでしょ? だから私は後回しかもしれないし。それにさ、囮代わりで、魔王に加担してる奴をおびき出せるかもしれないでしょ? お城じゃそういうの無理っぽいし」
第一私がお城で生活するのが無理っぽいし。
「それも一理あるな」
王様が顎鬚扱きながら仰るわ。あれって考えてる時の癖なのね。
「では、ターグを泊り込ませましょうか?」
伯爵様がそう言ったら、リンフェルがポっと赤くなったわ。そうね~一日中一緒だと嬉しいよね~
「父上、それならいっそ、僕とレニーの事を許してください。そうすれば一緒に住めます!」
こらこらこら。何勝手に決めてるのよ!
「私が許さないからだめ」
「サニーちゃん。ひどいよ」
酷くないわ、最高の防衛よ。
「お前には城で仕事がある」
そうなのよね。ジェブもちゃんと、お城で役職についてる文官だったりするのよね。
「レニーやっぱり城に身を寄せたほうがいいよ。僕と一緒に居たいだろう?」
また阿保な虚言に走ってるから、思いっきり首振ってやるわ。
「ううん、帰る」
「レニーひどいよ」
酷くない酷くない。
「現実を見ないジェブが悪い」
サニーの言う通りよ。このままだと、あの変態おじさんの道まっしぐらよ。判ってる?
「まあ、馬鹿兄貴は放っといて。本気で家に帰るのか?」
マリンピアが真剣な目で見つめてきたわ。そんなに心配してくれて、ありがとう。
「うん、帰る。みんなと一緒に居たいし、お店もそんなに閉めていられないし、マリンもエル坊も守ってくれるでしょ?」
にっこり笑って頷けば、はぁ~っておっきなため息吐いて苦笑されちゃった。
「しょうがないな、レニーは」
「兄貴の代わりに、ちゃんと守るさ」
二人が頷いてくれて、私ももう一回頷き返したわ。やっぱり仲間っていいよね。
「では、明日からターグを護衛として常駐させよう。その他にも手配をするように」
王様が伯爵様に頷くと、『心得ました』ってびしっと騎士の礼をなさったの。はぁ、やっぱり伯爵様はかっこいいな~
「レイニー様、それに皆様も。今宵は城にお泊りになってくださいな。部屋を用意してありますの」
王女様、用意いい……あ、はじめからお城に匿ってくれるつもりで用意しててくれたのかな?
やさしいなあ、王女様は。そしてごめんなさい、わがまま通しちゃって。
せめて今夜だけでも甘えよう。
「ありがとうございます」
私もにっこり微笑み返す。これって凄くない?
よく考えたら、王女様と友達みたいに笑いあってるのよ私たち。
会議も一応終了のようです