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24.え? 恋人って何なの?


「もちろん、逃がしは致しませんことよ」


 うわ~怖いです、でも頼もしいです王女様。


 つまり今のオルブランは、強力な結界の壁の中にあるのね。道理で王女様が戻って来てから、オルブランへ魔物が来なくなった筈よね。


 街の壁の外には、まだちらほら魔物を見たとか追いかけられたなんて噂はあったのよ。


 でも街中ではこの二年まったく見なかったわ。


 王女が守ってくださっていたのね~


「すごいね」


「うん、そうね」


 サニーが感心して呟くから、私も頷いたわ。


 綺麗で強くて優しい王女様、王様の跡取りで女王様決定してるから、シアルも安泰ね。


 後はお婿さんもらったら完璧……あれ?


 そういえば、お客さんが噂してなかったっけ?


 王女様の婚約者はカルバン・クラインだって……


 あれ? でもカルバン何にも言ってなかったよね?


 あ、でもあれは魔王倒す前で、噂はその後だし、魔王を倒した英雄にって……あれ?


 偽物カルバン? ってトパさんとなのかな?


 あれ? あれれ?


 ……ひょっとしたらカルバンがお婿さん?


 え? ええ!?


 なんか私、今もの凄い事に気がついちゃったのかしら?


 そういえば王女様とカルバンって知り合いよね?


 いや、今の説明だと魔王倒した仲間よね?


 んで、五人全員が、アリィさんも混ぜるから六人か。まあ、みぃんな、カルバン・クラインだったわけで。


 そのカルバン・クラインが、王女様のお婿さんで……や、ややこしい~お婿さんなカルバンって誰なのよ?


「……ゃん。お姉ちゃん」


「お~いレイニーちゃん」


「レニ~」


「レニ姉ぇ」


 え?


「あれ?」


 ど、どうしたんだろう、みんなが私の周りに居る。


「……何?」


「やっぱトリップしてたか」


 アリィさん、トリってなんですか?


「しっかりしてくれよ。レニ姉」


 エルトン、落ち着いたみたいね。


「レニ。何の妄想かは知らんが、話聞いてたか?」


 マリン、妄想とは失礼な。って。


「話?」


 何? みんなしてそのふっかいため息。


 何王様噴出してるの?


 王女様とトパさんもくすくす笑ってるし、ターグさんも伯爵様も口の端がひくついてるし~


 恥ずかしいです。


 また考えがぶっ飛んで、現実から離れていたみたい。


「んじゃ、も一回な?」


 アリィさんご親切にどうも。


「今のところ、魔王の首はオルブランを出ちゃいない。出たらお姫が判るし、今の魔王の力じゃ、お姫の結界は破れないし抜けれない。お姫を殺せる力も無い。ただし、あいつが二つのものを手に入れると、一気にここを飛び出せる上に、逆にお姫から力をもぎ取れる。逆転必殺ホームランな事が起きるんだ」


 うわあ、ほーむらんはわかんないけど、とっても迷惑です。なんでそんな魔王に優しい抜け道があるのよ! 


「そんなの渡せないわ!」


 思わず握り拳作って叫んじゃう。皆も頷いてるし当たり前よね。


「そのふざけたものって何?」


 勢い込んで聞いてみたら。ぴ、って指差されちゃった。人を指差しちゃいけませんって、お母さんに言われなかったの? それとも天使だとしてもいいのかな?


「何?」


「そのふざけたアイテム。あんたの血と、カルバンの血さ。さっきの魔方陣がそれ」


 なにそれ!?


「何で?」


 私さっきから、何、しか言って無い気がする。


 でもそれだけ訳が判んないのよ!


「まあ、レイニーちゃんには迷惑な話だろうけどな。そもそもの始まりは、お姫が捕まっていた島と祠さ。あそこに厄介なトラップが仕掛けられていたんだ。魔王の野郎はいつも何かしらトラップしかけてやがるから、俺達は、いつも通りにカルバンが最初に手を触れて、呪いを回避した訳だ」


 あ、王女様がちょっと項垂れて、トパさんが肩に手を置いたわ。何があったんだろう?


「無事お姫も石化を解いて元に戻したんだが、『東の孤島で呼ばわれた名前を持つ者とそれが心寄せる者の血が、魔王の力と為る』って呪いが掛けられてたんだわ」


 ふ~ん。


「カルバン様達は私に名乗りながら、私が名乗ってはいけないと仰いましたわ。ですから、私もカルバン・クラインと名乗りますと申しましたの」


 仲間っぽくていいなぁ。んで、なんで私関係あるの?


「カルバンは私の名前も言ったの?」


 アリィさんがにやって笑うわ。


「よく判ったな。言った言った、変なジジイが出てきてさ、『そこな姫御前(ごぜ)と添われるが良い』とかなんとか言いやがるのにうかうか乗っちまってさ。あの馬鹿。『カルバン・クラインが心寄せるはレイニー・ブルースのみ』な~んて抜かしやがったんだ」


「なんだとう!」


「ジェブうるさい」


「きゃ~カルバンやるじゃない!」


「リン。レニーがそれで危ないんだぞ」


「兄貴……後先考えろよ」


 みんながそれぞれ言ってるけど。私は深~くため息。


「……カルバンが、そんな事言ったわけ?」


「そ。一世一代の大告白ってやつ? 本人居なくて間抜けだけどな」


 にやにやするアリィさんに手と顔を同時に振っっちゃう。まったくもう。


「違うわよ。あの馬鹿。また私を女避けに使ったんだわ。昔っからよくやるのよ。おかげで女友達どれだけ減ったかわかんないわ」


 けっこうあいつモテたのよね。


 迫られたり告白されたりする度に私の名前出して断るから、どれだけ恨まれたと思ってるのよ。


 ……?


 皆、何で私の顔凝視してるの?


「どうしたの?」


 聞いたら途端にため息が九割、喜んだのが一名。


「そうだよね! レニー!」


「ジェブうるさい」


「レニー。マジで言ってるの?」


「カルバン、気の毒にな」


「兄貴ぃ……」


「なんて言ったらいいのでしょう……」


「なるほど、こういう事なのか」


 遠い目をしてトパさんが呟くと、アリィさんと王様と伯爵様とターグさんが爆笑したわ。


 ちょっと~何がなんだか判んないんですけど~


( *´ー`)ヒロインは、恋に超晩生というお約束

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