18.ちょっとまってよどういうことよ
おお
勇者カルバン・クライン
輝く戦士
全てを貫く弓を射て
全てを切り裂く剣を以て
白き翼を広げたり
王女様がトパさんと微笑み合う姿を、私達は口を開けてぼ~っと見てたわ。
だってだってだって~
騎士の宣誓を目の前で見ちゃったのよ!
はぁ……まるで物語みたい。
「素敵ねぇ」
うん。本当だよね、リンフェイ。
「彼もしてくれないかなぁ…」
あ~リンフェイの彼氏も騎士だったよね。しかも衛兵から騎士にのしあがった実力派。
伯爵様の懐刀とも云われてる人よ。
出会いは四年前の今日。
魔物に追い回される私達を助けてくれて、神殿まで連れてってくれたの。あの頃はまだ衛兵さんだったけどね。
私達の他にも魔物達から街の人達をたくさん守って、その功績を認められて騎士に任じられたんだって。
う~ん。
ごめんリンフェイ。ターグさんカッコいいし顔もいいと思うけどね、ちょっと野生味強すぎるからトパさんみたいに華麗にはいかないと思うんだ。
「二人っきりの時にリンフェイからおねだりしたら、してくれるんじゃないか?」
マリンピアがさらりと言ってくれて、リンフェイは『きゃうん』なんて喜んでる。良かった、思ったまんま言わなくて。
リンフェイの夢を奪っちゃいけない。うんうん。
あ、噂のターグさんが庭園の方に走ってくわ。
「倒れるぞ! 離れろー!」
え?
ミシミシバキバキって、何? あの音。
「ちょっ!! 木が!」
エルトンの声に振り返ると、私達と一緒に的になったクリの木が、ゆ~っくり傾いで倒れていくのよ。
周りで矢が刺さっているのを見に行っていたお貴族様達が悲鳴と歓声上げてるわ。
そして響く、どし~んって音。
こりゃ当分語り草になるわね。
「ねえ……あれって矢が刺さった所為?」
って私が聞けば。
「まさか。四本刺さったぐらいで?」
マリンピアが首を振る。
「根元が腐ってたんじゃない?」
そうよねサニー。
「あ……加減したのにな」
え゛?
しまった、って顔で顎と口元を手で覆ってるのはトパさんです。小さく舌打ちしたのも聞こえました。
ちょっとまってよ。
じゃあ、本気出したら木位普通に倒せるの? 矢で?
「久々に拝見しましたが、前より威力お上がりになりましたわね」
王女様~平然と褒めてないで、一緒に驚きましょうよ~
あ、伯爵様と王様まで拍手しだしたわ。
あっぱれあっぱれって、古いわ王様。
「さすがはカルバン・クライン。見事である」
鷹揚ににっこり褒める王様に、再び片膝付いて礼をする英雄さん。なんとまあ、優雅でそつが無いわ。
本物のカルバンなら、頭を掻いて照れるところよね。
そして私が、慌てて小突いて礼をさせる……あれ?
あの~
変な事に気が付いたんですけど。
王女様は本物のカルバンを知ってて黙ってる、そう言ってたわよね?
だけど、伯爵様も勿論子供の頃からカルバンを知ってるし、ちょくちょく戻ってるのも知ってた。
店で酒盛りもしてたし。
ジェブだって、いっつもどつき合いしてじゃれてたし、ターグさんと飲み比べもしてたわよね?
それで、お昼デートでリンフェイとは逢ってたターグさんは、ここのところお店には来なかった。
ジェブには話しても無駄と私は思ってた。
伯爵様は楽しい話ばっかりして、舞踏会の準備で忙しくしてた。
そりゃあ、権力者に伝は有っても頼るの忘れてる私たちだけど、今頃こんな疑問に気が付くのもどうかしてるとは思うけど。
お城関係者はみんなグルで私たちに黙っていたの?
トパさんが偽カルバンだって事!
思わずジェブを見たわ。いつもなら即抱きつかれる危険な行動。
でも。私の目の中に何かを見たらしい奴は、ありえない行動に出たわ。
つまり、逸らしたのよ。私の視線を!
あんまり長く見ていたら、きっと反撃してくるから、すぐにマリンピアへ視線を移す。と、判ってる。って言いたげにゆっくり頷いて、伯爵様とジェブを睨んだわ。
あ。
マリンピアが昨日、激怒ってたのはそういう事?!
早く言ってよ~そんなのは。
「レニ姉。どうしたの?」
エルトンが首を傾げて聞くから、低~い笑いがこみ上げてきたの。
「ん~ちょ~っと面白い事が判ったのよ」
後で説明するって言ってたわよね、英雄さん。
それを聞いた後。他のみんなからも、ちゃんと説明してもらうわよ。
覚悟してね。
トワプリでエポナで鳥撃ちが大好きです。
DQ8では、放蕩僧侶はいつも弓使いにしてしまう私です。杖よりレンジ拾いのが魅力です。
が、小型弓の撃ち方はかっこいいのに、大型のときにマントの端が上がりっぱなしで顔が隠れるのは何とかなりませんかね?
かっこよさが半減です(ノ_Θ。)
え? 今回と関係ない?
失礼しました。