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17.血の桎梏

( *´ー`)今回は、世界観が大幅に壊れます。

お覚悟ください。

おお

勇者カルバン・クライン

輝く戦士

全てを貫く弓を射て

全てを切り裂く剣を以て

白き翼を広げたり



 なぁ頼む。


 俺はもう、あの歌は聞いていたくねぇ。


「そろそろ下火だと思ってたけど、さすがに今日は盛大だな」


 今日、なんかあったか?


「……いやぁ、お前に期待はしてなかったけどな」


 なんだよそれ。


「襲撃の慰霊日だよ。四年目だな」


 あ~


 親父の命日かぁ。


 やべぇな、今は墓参り行けねぇし。


「今年くらいなら勘弁してくれるさ」


 だといいなぁ。


「決まってるじゃん。あの時親父さんも言ってただろう? 無理だけはするなってさ。第一、師匠とおばさんたちの伝言を、レイニーちゃん達に届ける約束もしただろうが」


 魔王の野郎、人の親の魂をあんな谷間に閉じ込めて幽霊にしやがって。


「お前ら全員で激怒って、谷の門をぶっ壊したんだったなぁ……」


 ったりまえだろうが。親父や師匠やムーランおばさんもマイウおばさんもトパの親や王妃様だって、天国に行くべきなんだ。


「ちゃんと着いてる。大丈夫さ。最後の別れもできて、良かった……かもな」


 それにしても魔王はえげつねえぜ。


「ああ、魂集めて魔物の原料にするわ、お姫や他の子集めて石にするわ。イベント毎にいや~んな罠を残すわ。ほんとにロクでもない奴だったな」


 ”だった” にできて嬉しいぜ。


「ほんとになあ」


 だからこそ、今年は行きたかったんだけどな。


「ま、治ったら行けばいいさ」


 あっちに行ったら謝るか……


「おい!」


 大丈夫。まだまだくたばらねえよ。


 けどな、アリイ。


 お前はちゃんと縫い合わせたし、せ……セッチャクザイってのでも上から張り付けてる。それでもまだくっつかないんだ。


 これは治る傷なのか?


「俺のじっちゃんじゃあるまいし、十日かそこいらでその傷がくっついて歩き出したら、奇跡どころか化け物だ」


 お前のじっちゃんは何なんだよ?


「天界から最終兵器って呼ばれてる、立派な人間兵器だ」


 んなもんといっしょにすんな。


「だからしてないだろ? ついでに説明すっと、お前の傷は縫ってない。クリップで挟んであんだよ、これ以上穴空けれないだろ? で、上から固定用のコーティング剤でシールドして、骨折箇所と傷ごと覆ってるのさ。伸縮性のある最新素材だからそのまま風呂にも入れるぜ。点滴もしてるし、内出血しかねないから勧めないけどな。惜しむらくは、治療用ナノマシーンを使い切ったって事だな。もうちっと回復しないと、界渡りもできんから取りに行けねえし」


 わりぃ、さっぱり判らん。


「そうだろうな」


 目を覆ってるのもそれか?


「目はアイマスク。角膜再生の薬が瞬きで流れないように押さえてるのさ。そっちの回復は順調だぜ」


 お前、天界の技術ってのは簡単に使っちゃ駄目なんだとかってぬかしてなかったか?


「抜かしたぜ? オーバーテクノロジー過ぎで天界のもんに見えるが、俺が故郷の世界から持ってきたもんさ。ま、これも掟破りだが、便利なものは親の仇でも使え、が実家の家訓なんだ」


 天使の言う事は判らん。


「今まで散々使ってきたってのに。少しは感謝しやがれよ」


 してるしてる物凄く。


「……思考でさえ棒読みなのを信じられると思ってか?」


 しつこい野郎だな。お前のおかげで今でも生きてるんだから、感謝してるって。


「判ったよ。それで、何が不安なんだ?」


 お姫達を解放した時の『あれ』だよ。


「なぁる『あれ』がお前に追いついたから、治りが遅いんじゃないか? てんだな」


 ああ。


「そういう心配は、あと半月経ってからにしろよ。見えない上に動けなくて焦るのも判るけどな。襲撃された時も斬られた時も、お前の血は奴らの魔方陣に吸われちゃいない。奴らの剣も奪い取った。お前には判んなかっただろうが、俺はヒトの属性じゃなかったから、連中には見えてなかったのさ」


 おかげで助かった訳だ。


「そういう事。安心したか?」


 まぁな。だが、そうなると逆にトパが心配だ。


「そう来ると思った」


 笑ってんじゃねぇ。


 アリィ。


「ん?」


 少しでも動けるなら、トパの様子を見に行ってくれ。


「今から?」


 ……胸騒ぎがする。俺じゃないなら別の奴だ。


「わあったよ。天使使いの荒い奴だぜ。一応ここは隠しておくからな。俺が帰るまで動くなよ」


 ベルトでベッドに固定しているくせにそれを言うか?


「はん。脱走の達人が何を言う。とにかく行ってくる」


 頼んだ。


「じゃあな」


 あ、アリィ。


「なんだ?」


 もしアイツに遭ったら、俺はまた旅に出たとでも行っておいてくれ」


「アイツってレイニーちゃんか? そこまで見栄張るのかよ?」


 うるせぇ、とっとと行けよ。


「へ~へ~いてきやすよ。じゃ!」


 ……くそ。テンテキに薬混ぜやがったな。ねみぃ……


 アリィ。レニを守れ……


 頼む。


天使アリィの故郷はどこだ?

( *´ー`)鈴村の別の話を見たら判ります。が、ストーリーには大して関係ないです。(じゃあ書くな? これも必要なキャラ設なんですぜ奥さん)

それにしてもカルバンの旅って、かなりえげつないRPGだったようです。

それにしてもネタばれ過ぎかも

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