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10.しゃる・うぃ・だんす

おお

勇者カルバン・クライン

輝く戦士

全てを貫く弓を射て

全てを切り裂く剣を以て

白き翼を広げたり



 解せないのはね、カルバンは弓がへったくそな筈なのよ。


 あんなもんは出来なくてもナイフ投げりゃ当たる。って負け惜しみを魔王の城に行く前の晩も言ってたわ。


 でも、もう伝説みたいになってるカルバンの噂だと、弓は百発百中、剣で斬れないものはなく、空まで飛んじゃう魔法使い。


 そっちの方がカルバンじゃないみたい。


 本人曰く、剣を振り回すしか能がない。ってのがカルバンらしくて良いんだけどなぁ。


 だいたいカルバンの体型って、間違いなく剣士専門だもん。


 え? 戦士の体型とかで得意分野が判るのか?


 実は私の特技のひとつよ。何しろ父さんにみっちり教わったんだから。


 家は宿屋だったでしょ?流れ者の戦士や傭兵さんもお客様に多かったのよ。


 ついでに家の父さんって母さんと一緒になる前は、結構名の売れた傭兵だったんだって。父さんと一緒に帳場に座って、今の客の得物がど〜だとか、武器の使い込み方はどうだからどんな戦いが得意だとか、あの歩き方は何を得意戦法にしているからだとか、筋肉の付き具合でどんな武器が得意だろうとか教えてもらったもんよ。


 あ、もちろん私一人じゃなくて、カルバンも一緒だったのよ。父さんがあいつの最初の師匠だったんだもん。


 旅に出て、その知識がすっごく役に立ったって言ってたっけ。


 で、今のところ最後に見たカルバンは、父さんとおんなじ完璧に剣士体型だったわ。しっかりした強い腕と肩を持ち、それを支える分厚い胸板。締まった腰が俊敏さを約束してて、がっしりと体を支える足が疲れ知らずに大地を駆ける。


 ま、筋肉ダルマじゃなくて絞りすぎるくらい引き締まってて、平均より手足が長めってあたりが、私的に点数高いのは、ナイショ。


 でも基本的姿勢が微妙に猫背なのは、重い直剣を腰溜めで構える癖よね。


 射手は絶対背は曲げない。騎馬でもそうだけど、腰も必要以上落とさない。背中から首に掛けて棒でも入れてあるみたいに真っ直ぐが基本的姿勢で、肩が広い。胸を広げる癖が着いてるから。そう、例えば。


 今こっちを見ている偽物カルバンみたいな……って? うわぁ、目が合っちゃった。かなり離れてるのに真っ直ぐ見てる。


 目が良いのも射手の特徴だったわよね。


 え? 私がどこに居るか?


 それはね、シアル国内で唯一偽物カルバンが見れる所。


 つまりお城よ。


 今夜は舞踏会。何でか判らないけど、我ら『女神の食卓亭』の全員は王女様直々のお招きで、お貴族様だらけの舞踏会に紛れ込んで居るのよね。


 表向きは伯爵様の遠縁ってことにしてるんだけど、こんな生粋の庶民が混じったって話しも出来ないわよ。壁に目立たないように張り付くのが無難よね?


 もっとも、実は私だけが壁の花だったりするんだけどね。


 だって、マリンピアはそもそも伯爵様の秘蔵の令嬢っていう訳でダンスの申し込み凄かったから、しぶしぶ適当なの選んで踊ってるし。リンフェイは、彼氏の騎士様がいち早く見つけて拐ってっちゃった。


 エルトンは伯爵様が連れ回してるし、後の二人は……


「今度はあれ、食べる」


「わかった、今取って来るからね」


 サニーが下僕その一を顎でコキ使ってるわ。


 お陰でこっちに来なくていいけど。


 はぁ…暇。


「一曲お相手願えませんか? レイニー嬢」


 へ?


 わざわざ私名指して来るなんて、何処の酔狂よ。毛色違うのがそんなに珍しい? お貴族様。


「すみません、ダンスは得意では無いんで……す」


 にっこり振り向いた愛想笑いが、途中で固まっても仕方ないと思わない?


 波打つ金髪に深い紺碧の瞳。見上げるしかないすらりと高い背丈はカルバンと同じくらい? 彫刻みたいに整いまくった超絶美形が、にっこり私に右手を差し出していたりするわけよ。


 そう、よりによって偽物カルバンにダンスを申し込まれるなんて、チャンス過ぎて対応できないわ。


 ど…どうしよう、カルバン?


レニーの薀蓄は捏造ですよ~

ヘ (。・(エ)・A;;

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