中
そうして、
たくさんのものを 直していった 見習い魔女。
ある日、
手の取れた ぬいぐるみを 持った少女に 出会いました。
少女は、
その ぬいぐるみを ゴミ箱にぽいっと 捨ててしまいました。
それを 見た 見習い魔女は、
びっくりして 走りよりました。
「まって!
それ、まだ 直せるよ!」
見習い魔女は、
修理の魔法を かけました。
えいっ!
すると、
取れていた 手は きれいに もと通り。
ふわふわの ぬいぐるみは、
まるで 新品みたいに なりました。
見習い魔女は、
そっと 少女の もとへ 持っていきました。
「はい。
直しておいたよ」
でも 少女は、
ぬいぐるみをちらっと見ると、こう言いました。
「もう 新しいの あるから、いらない」
そして――
ぽいっ。
まるで 本当の ゴミみたいに、
また 捨てていってしまったのです。
見習い魔女は、
その場に 立ちつくしました。
胸の奥が、
きゅっと いたくなって、
気がつくと 涙が ぽろぽろ こぼれていました。
「……ありがとうって
言って ほしかった わけじゃ ないのに」
でも、
どうしても 涙が 止まりませんでした。
家に 帰った 見習い魔女は、
それでも また、たくさんのものを 直しました。
壊れた 時計。
やぶれた 傘。
動かない おもちゃ。
一生けんめい、直して、
そっと もとの場所に 戻します。
でも――
だれからも、ありがとうは 言われません。
それどころか、
「できそこないの 魔女!」
「ゴミの 魔女だ!」
そんな 言葉を 投げられて、
小さな石まで ぶつけられて しまいました。
見習い魔女は、
ゴミ箱に守られながら、
ぎゅっと 自分の 杖を にぎりました。
「……わたし、
なんのために 直してるんだろう」
そっとゴミ箱がよりそいます。
「大丈夫 ぼくがいるよ」
空を 見上げると、
夕焼けの 雲が、
とても きれいに 光っていました。
でも 見習い魔女の 心は、
少しも 明るく なりませんでした。
心を 傷つけられながらも、
それでも 見習い魔女は、
修復することを やめませんでした。
毎日、毎日。
だれにも ほめられなくても、
だれにも 気づかれなくても。
ただ だまって、
壊れたものを 直し続けました。




