表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

そうして、

たくさんのものを 直していった 見習い魔女。


ある日、

手の取れた ぬいぐるみを 持った少女に 出会いました。


少女は、

その ぬいぐるみを ゴミ箱にぽいっと 捨ててしまいました。


それを 見た 見習い魔女は、

びっくりして 走りよりました。


「まって!

それ、まだ 直せるよ!」


見習い魔女は、

修理の魔法を かけました。


えいっ!


すると、

取れていた 手は きれいに もと通り。


ふわふわの ぬいぐるみは、

まるで 新品みたいに なりました。


見習い魔女は、

そっと 少女の もとへ 持っていきました。


「はい。

直しておいたよ」


でも 少女は、

ぬいぐるみをちらっと見ると、こう言いました。


「もう 新しいの あるから、いらない」


そして――


ぽいっ。


まるで 本当の ゴミみたいに、

また 捨てていってしまったのです。


見習い魔女は、

その場に 立ちつくしました。


胸の奥が、

きゅっと いたくなって、

気がつくと 涙が ぽろぽろ こぼれていました。


「……ありがとうって

言って ほしかった わけじゃ ないのに」


でも、

どうしても 涙が 止まりませんでした。


家に 帰った 見習い魔女は、

それでも また、たくさんのものを 直しました。


壊れた 時計。

やぶれた 傘。

動かない おもちゃ。


一生けんめい、直して、

そっと もとの場所に 戻します。


でも――

だれからも、ありがとうは 言われません。


それどころか、


「できそこないの 魔女!」

「ゴミの 魔女だ!」


そんな 言葉を 投げられて、

小さな石まで ぶつけられて しまいました。


見習い魔女は、

ゴミ箱に守られながら、

ぎゅっと 自分の 杖を にぎりました。


「……わたし、

なんのために 直してるんだろう」


そっとゴミ箱がよりそいます。

「大丈夫 ぼくがいるよ」


空を 見上げると、

夕焼けの 雲が、

とても きれいに 光っていました。


でも 見習い魔女の 心は、

少しも 明るく なりませんでした。


心を 傷つけられながらも、

それでも 見習い魔女は、

修復することを やめませんでした。


毎日、毎日。

だれにも ほめられなくても、

だれにも 気づかれなくても。


ただ だまって、

壊れたものを 直し続けました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ