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僕の聖獣 私の半身  作者: 月見草
7/9

眠り 5

 王子がテクテクと通路を歩いていると、後ろから声が掛かりました。

「クラウス!はよっ!」

 背後から、ガラガラとリヤカーを引きいて、クラスメイトのジェラルドが追いかけてきました。

 皇子は振り返って挨拶を返します。

「おはよう」

「なんだ。妙に嬉しそうじゃないか」

「わかる?」

 王子は口元がにやついてしまうのを止められませんでした。

「何があったんだよ」

「それが、リーナが答えを返してくれたんだ」

 王子の返事にジェラルドは目を見開き、次いで破願しました。

「やったな!」

 ジェラルドにはその嬉しさがよく判っていました。

 彼も少し前に自らの半身から返事をもらえるようになったばかりです。

 初めて答えがあったときのあの感動。それを味わったばかりでした。

 そしてこのクラスメイトがいつもまだ返事が返ってこないと気にしていると聞かずとも知っていました。

 だから我が事のように王子の言葉が嬉しかったのです。

「早く教室行って皆にも知らせてやろうぜ!」

「うん」

「ほら、リーナ乗せろよ。走ろうぜ!」

「ありがとう」

 ジェラルドの引くリヤカーの中には神狼フェンリルの幼体が眠っています。

 そのフェンリルにもたせ掛けるようにリーナを横たえました。

「フェン、リーナをよろしくね」

 クスッとジェラルドが笑いました。

「リーナは軽くて子犬を乗せているのと同じ位だってさ」

「そうだね。フェンは大きいもんね」

「じゃ、飛ばすぜ!」

 リヤカーを引いてジェラルドは走り出しました。

 王子も後ろからリヤカーを押して一緒に走ります。

 向かう先は校舎に設置してある聖獣専用昇降機です。

 この学園にはそういうものもあるのです。

 リヤカーごと2体の聖獣を乗せ、2人はその横にある階段で上階へ上がりました。

 機械を操作し、昇降機が上がってくるのを待ちます。

 あくまでも聖獣専用なので、例えどんな事があろうと荷物に使ってはならないし、人が乗るなど言語道断です。

 彼らのように深く眠りについた聖獣を運ぶ大事な機械だからです。

 王子であってもそれに乗って移動など出来ません。

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