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僕の聖獣 私の半身  作者: 月見草
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眠り 1

 王子様の一日は、自らの半身の世話をするところから始まります。

 聖獣の世話は半身である契約者が、自ら行うという決まりがあるからです。

 もっとも大半の契約者は、そんな決まりがなくとも他のものに自らの半身の世話を任せる事はありまん。

 最も大切でかけがえのない存在を、他のものの手に委ねるのをとても嫌がるのです。

 とはいえ、契約するのは殆どが子供。

 上手く世話が出来るはずがありません。

 子供だからどうしても力が足りなかったり、上手く出来ない事があります。

 そういう場合に、周りの人間の力を借りる事は許可されます。

 また、世話の仕方や上手く付き合うための方法を学ぶ学校が存在します。

 まさしく契約者のためだけに存在する学校。

 契約をしたものは全員そこへ通うことになります。

 親元を離れ、寮で生活しながら聖獣の世話を教え込まれるのです。

 王族であろうと、例外はありません。

 ただし警備上の理由から、王子様は寮では暮らしてはいません。

 それ以外は城から通って勉強や訓練をします。

 学校へ行くまでに王子様はやらねばならない事がたくさんあって、とても大忙しです。

 ベットから起き上がった王子様は、隣で寝ている少女を抱き上げて洗面所へ運びます。

 深く眠りに付いた少女はピクリとも動きません。

 この少女こそが王子の聖獣です。

 世界でただ1頭の人型をした聖獣です。

 王子は少女の顔を丁寧にぬぐい、歯を磨いていきます。

 食物をとらない少女の歯は毎日磨かなくても綺麗なままですが、王子はそんな事は気にしません。

 洗面を済ませると、次はお着替えです。

 帯を解いて寝巻きを脱がしていきます。

 王子の国で使われているような、ワンピース型の寝巻きではありません。

 薄く長いバスローブのような形の衣服を胸の下で帯で結ぶものです。

 異国のその寝巻きを王子はとても器用に慣れた様子で外します。

 着せ付ける衣装も、王子の国の衣装では有りません。

 少女が最初に来ていた衣装を模した子供用の服です。

 やはり胸の下で長い帯で結ぶように出来ています。

 一人では上手に着付けられないので、侍女に少しだけ手伝ってもらいます。

 出来上がりをじっくりとチェックして、王子は少女を椅子に腰掛けさせました。

 そこまでされても少女は一向に目覚めません。

 それもそのはずです。

 少女は契約したその直後からずっと眠り続けているのです。

 これは珍しい事ではありません。

 高位の聖獣ではよくあることなのです。

 契約者の力が未熟すぎて、そのままでは聖獣を支えられないからです。

 聖獣は契約者の魔力と生命力を分け与えられて生きていると考えられているのです。

 だから契約者がある程度以上成長するまで眠り続けるのです。

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