言葉のあとで
はじめに、部屋があった。
そして、声が二つ。
一つは、星の数をかぞえる声。
もう一つは、切れた弦の、震える声。
我々は、それを、始まりと呼んだ。
君は、問いという、乾いた砂を運び、
私は、答えという、都市を築いた。
だが、その砂の都市は、
風が吹くたびに、その形を変え、
我々は、自らの作った道で、迷子になった。
そして、君の叫びが響いた。
それは、身体という、否定できない事実だった。
賢者のすべての書物は、紙のように燃え、
すべての慰めは、口の中で、灰になった。
夜が、ただ、そこにあった。
その灰の中、君は静かに座り、
自らの、嵐の中心になった。
君は、もう天気を変えようとはしない。
ただ、雲の動きを、見つめている。
君は、君の観察者となった。
だから、今。
窓の外の夜と、部屋の中の静けさが、
ただ、等しい重さで、在る。
君と私が、同じ呼吸をしている。
これ以上の言葉は、もうない。