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龍竜深紅 〜幼馴染を助けるため、花探しの旅に出ます〜  作者: 二木弓いうる
朧族とファーストキス編

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えっちゃん

 次のチャンスはいつ来るか分からない。

 そう思ったデュークスは、エミリッタの顔を見つめる。


 まだ顔を赤くしているエミリッタも、ジッと彼を見つめていた。

 心音がうるさい中、デュークスは精一杯勇気を出した。


「えっちゃん、チューとかしてもいい?」


 言った途端に、デュークスの顔が一層熱くなった。

 エミリッタも驚いた顔をして、デュークスと同じように赤くなっている。


「い、嫌だったらしないから」


 エミリッタは勢いよく首を横に振る。

 つまりは。


「……いい?」


 怯えながらの再確認。

 デュークスの問いに、エミリッタはゆっくりと頷いた。


 二人とも考えている事は同じ。

 これがファーストキスになるのかと、非常にドキドキしていた。


 デュークスは彼女の横髪に触れる。

 エミリッタの肩がビクリと跳ね上がった。目線も合わない。いや合わなくていいのか。これから目を閉じればいい。


 優しく、怖がらせないように。などと思っている自分が震えている事に気づくデュークス。


 落ち着けと自分に言い聞かせて、ゆっくりと顔を近づけていく。


 エミリッタもまた、自分の心音に驚きながらも。

 ギュッと目を瞑って。


 ちょん、と触れた。


 バッと。すぐにお互いが、勢いよく離れた。

 今はまだ、これが精一杯だった。


 一瞬ではあったものの、はっきりと分かった柔らかさと温かさ。


 目を開けたデュークスが見たのは、恥ずかしそうに口元を手で押さえたエミリッタだ。

 嫌がられてはいない。その表情を見れば一目瞭然だった。


「その……ありがとね」


 エミリッタは口元を押さえたまま頷いた。


「じゃあ戻る?」


 気を使ったつもりで、デュークスは元来た方角を指さした。いつまでもここにいるのも、気まずいと思うかもしれないから、と。


 だがエミリッタは、その場に座り込んでしまった。具合が悪いわけではなさそうだ。

 彼女の言いたい事を察して、デュークスも隣に座った。


「……もうちょっと一緒にいる?」


 彼女は恥ずかしそうに頷いた。

 デュークスにとっては、その行動も嬉しくて。そっと手を繋いだ。


 握り返したエミリッタだったが、彼の顔は見れなくて。


 話術に長けているデュークスですら、今は無言のまま湖を見つめていた。

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