28話 死に至る場所
魔物の情報、後書きに載せてます!
ちなみに両刃斧の読み方は『りょうじんふ」です。
異論は認めます。
その魔物は、二足歩行の巨大な狼だった。
種族で言うと、<コボルド>・・・なのか?
自分で言ってて、疑わしくなる。なぜかって?
だって、<コボルド>は通常1.5mほどの大きさだからだよ。
人間の子供くらいの魔物ってこと。
それが、目の前に存在する狼は、3〜4mはある。
<コボルド>と言うよりは、むしろ<ミノタウロス>と言った方がしっくりくるね。
<ミノタウロス>のムキムキのでっかい体に、狼の頭が乗っかってる感じ。
女神様が生み出す時に、くっつけるパーツ間違えたのかな。
以上が【年話】でアレクが喋っていた内容。
傷一つない銀灰色の毛皮を返り血で染めたそいつの目は、なおも殺戮を望んでいるようだった。
俺はそれを黙って聞いていた。
というかその魔物を前に、俺は黙ることしか出来なかった。
多分、本能的に隠れようとしたのだろう。
その殺気に当てられて。
もう見つかっているにも関わらず。
今まで、魔物から殺気を向けられたことがない訳じゃない。
どんな魔物も、自身を殺しにくる冒険者には殺気を向ける。
しかしこれは、種類が違う。
他の魔物は、生にしがみつくために戦う。生き残るために。
だがこいつは、殺しを楽しむために戦っている。
その薄ら笑いから発せられる殺気を前に、自身が一獲物に過ぎないことを自覚するのは、簡単だった。
ゲームを始める時のように、どこか気怠げに、それでいて楽しそうに、そいつはユラっと立ち上がった。
嫌な笑みを浮かべたそいつの頭は、目の前の玩具をどう壊すかで支配されているだろう。
「ここで死ねっ!!ダイスポット!!!」
リタリアから聞いたことないくらい強い語気と絶叫が飛ぶ。
そして放たれた速弓。
<ダイスポット>と呼ばれた魔物に高速で飛んだ矢は、片手で握られた両刃斧に叩き落とされた。
「おい、リタリア?あいつのこと、何か知ってるの!?」
「そんなことより、リタリアっ!!お前なんと言った!?
<ダイスポット>だと!?あいつがそうなのか!?」
俺の質問は、グラディアの質問で上書きされた。
なん、なんだ?あいつ有名な魔物なの?
アレクに視線で「お前も知ってんのか?」と聞いてみるが、アレクは首を振る。
(何なに!?僕も知らないよ!?)
「そうです!!あいつが・・・あいつが<ダイスポット>・・!!
ここまで追ってきて、ようやく殺すチャンスが今、来たんです!」
「くっ。と言うことは、まさかこの大迷宮を荒らしていたのは・・・」
「あいつです!」
「な!?お前さては、知っていたな!?今まで黙ってたのか!?」
「・・・・・」
「いや、置いてくなよ!?なんだよ!?<ダイスポット>って!?」
リタリアとグラディアが口論気味に言い合い、話が進んでいく。
揉めているようだけど、俺とアレクは何もわかってないよ!?
どういう状況なの!?
しかし俺の混乱を、グラディアとリタリアは解決する気がないようだ。
口論を繰り広げつつも、二人の目が<ダイスポット>から離れることはなかった。
互いに得物を構え、目の前の魔物相手に隙を見せないようにしている。
この迷宮で出会ったどんな魔物よりも警戒していた。
いや、わかるけどさ。だってあいつ、明らかにやべえもん。
俺もそういうの肌感でわかる様になってきたけどさ!
でも無視はないんじゃない!?混乱してる仲間がいるんだよ!?
仕方ない。
俺は視線をアリスに移して、質問のターゲットを変更した。
アリスは俺の意図を汲んだのか、深刻そうに黙りこくっていた口を開いた。
「・・・<ダイスポット>。それはある一体の魔物に付けられた名前よ。
その魔物が襲った村や街の人々は・・・・、ほとんど皆殺しにされてる。
そいつのいる場所が、死に場所となることから<ダイスポット>と呼ばれる様になったわ。」
「そ、そんなの、ギルドがほっとくわけないだろっ!?」
「もちろん、その残虐性と危険性から、すぐに討伐隊が組まれたそうよ。
しかしついぞ、討伐が叶うことはなかったわ。」
「・・なんで・・!?」
「討伐隊は、<ダイスポット>を見つけられなかったのよ。
優秀な索敵要員も、参加していたそうだけど。
戦力は十分だった。見つかりさえすれば確実に仕留められてたほど。
しかし何故か、見つからない。
被害が出るたびに即座に討伐隊が組まれ、そのたびに<ダイスポット>は姿を消す。
こんなことが何十年も繰り返されてるから、<ダイスポット>は言わば都市伝説的な魔物なのよ。」
その<ダイスポット>が目の前にいる。
いやでもなんで、こんなとこに!?
リタリアは<ダイスポット>に並々ならぬ執念があるようだし。
(なるほど・・・。大体わかってきたよ・・・。)
よしっ!俺の第二の脳みそ!!解説カモン!!
そんな俺の気持ちに、アレクが答える。
(さっきの口ぶりから、リタリアはあの<ダイスポット>って魔物を追っていた。
迷宮を荒らす存在があいつだって即答したことから、リタリアは<ダイスポット>がここにいるってわかってたんだと思う。
わかってて、黙っていた・・・。)
そういえば、迷宮に謎の攻略者がいるって言い出したのも、リタリアだった・・・。
じゃあ、いつから・・・!?どうして教えてくれなかったんだ・・!?
「ナズっアレクっ!!いつまで惚けているっ!!殺される・・ぞっ・・!!??」
グラディアが俺とアレクに喝を入れる。
しかし言い切る前に、グラディアが自身の細剣で何かを弾いた。
しっかり見えなかったけど、・・・空気の斬撃?のようなものだったと思う。
あれが、【斬撃波】か・・・!!
間一髪で弾きはしたが、その衝撃でグラディアは後ろにのけ反った。
俺たちを正常に戻すために、一瞬目を移したグラディアはその隙を狙われたのだ。
次の瞬間。
グラディアの目の前に<ダイスポット>が高速で移動する。
体勢を崩していたグラディアに、<ダイスポット>は片手で持った両刃斧を薙ぎ払った。
両刃斧は余裕で、人一人分ぐらいはある。多分2mあるだろう。
それを<ダイスポット>は、片手で軽々と振り回していた。
本当は、軽いんじゃないの?と密かに思ってたんだけど。
しかし、それは目の前で起きた現実に否定される。
無理な体勢で両刃斧を受け止めたグラディアの細剣から、ガギィィンッ!!と重く鈍い音がなる。
軽い物からは絶対に出せない音が迷宮に響いた。
ダンプカーでもぶつかったかのような音が、その攻撃の凄まじさを語った。
そんなものを細剣で、しかも無理な体勢で受けたグラディアは、とんでもない勢いで壁に叩きつけられる。
「グラッ・・・」
「グラディアッ!!!!」
俺の声がアリスの悲鳴にかき消される。
いつも気丈に振る舞っていた彼女の悲鳴に、俺は動揺した。
多分アレクもそうだったと思う。
グラディアはどうなった!?生きてるよな!?
そんな考えで頭を埋め尽くされたが、一人そうでない者がいた。
「うわぁぁあああ!!!」
憎しみに満ちたその声と共に、リタリアは短刀を<ダイスポット>に突きつける。
しかし激情に任せたその攻撃は、易々と<ダイスポット>に避けられた。
いつもは見ないような、精細を欠いた攻撃。
ベテラン冒険者とは思えないその一撃は虚しく宙を裂いた。
そして隙だらけのリタリアが、その場に残る。
そのがら空きの背中を<ダイスポット>は、両刃斧の柄で殴り落とした。
グラディアを薙ぎ払った手を戻すついでの様に、残酷にその攻撃はリタリアに深く入る。
「グフッッ!!?」
「ひっ!」
「なっ!?」
(あっ!!)
悲痛な声。
それと共に、およそ人から出てはいけないよう音が、リタリアの背中から鳴る。
流れるように、彼女の華奢な体は地面に叩きつけらた。
立て続けにやられる冒険者たち。
やらなきゃ、やられる!!俺の頭はそれだけに支配されていた。
「ふっ!!!」
短い息を吐き、俺は<ダイスポット>に突っ込む。
神位スキル【森羅ヲ破壊スル力】を発動。
このスキルの性質上、俺は近接戦を余儀なくされる。
それは相手の間合いで戦うと言うこと。
それがこんなに怖いと感じたのは、今日が初めてだ。
こんなに、怖かったけ・・・!?
背中から吹き出す冷や汗に、気づかないふりをする。
震える指を、息を止め力むことで、無理やり抑えた。
そんな俺を前に、怪物はニヤァと嗤う。
舐めんなっ!!まずはそのバカデカい斧をぶっ壊すっ!!
俺は<ダイスポット>の顔から、両刃斧に視線をギロっと移す。
そして躊躇なく拳を握り締め、斧の刃を壊しにかかった。
そう。躊躇はなかった。この時出せる最速だったと思う。
しかし、無理やり力んでいたことや、極度の緊張が邪魔したのだろう。
いつもより、スピードが落ちていた。
よって、<ダイスポット>の攻撃が間に合ってしまった。
両刃斧を凝視して突っ込んでくる俺に、<ダイスポット>は反対の手を繰り出す。
固く握られた<ダイスポット>の拳が、俺の頬に飛び込んでくる。
巧妙に、俺の死角を狙ったその一撃に、気づくのが遅れた。
ヒヤッとした殺気を視界の外から感じ、緊急停止。
ここで気づく、<ダイスポット>の攻撃。
この時点で、【森羅ヲ破壊スル力】を解除し、避けるために死力を尽くす。
顔面を後ろにずらすことで、ギリギリ直撃を回避。
目の前を<ダイスポット>の拳が通過した。
俺はすぐさま、後ろにいたアレクとアリスの元まで退避し、安堵を得る。
「はっ、はあ、はああっ、はっ、ふっ、っっはすっ・・」
呼吸が、意味わかんないくらい乱れる。
本当は無視できないくら噴き出していた冷や汗で、背中がびしょ濡れだ。
先ほどの攻撃を思い出す。
避けられた安心感と、当たっていた時のことを想像して、震えが止まらない。
指も手も、膝も笑っている。もう大爆笑。M-1でも見てんのかよ、マジで。
必死に平静を装おうと、関係ないことを考える。
そんな努力はお構いなしに、<ダイスポット>は獲物に殺気をビシビシ向けてくる。
(ナズっ!?大丈夫!?当たってないよね!!?)
「ナズ!あなた、大丈夫なのよね!?」
「あ、ああ・・!!うん、当たってない・・。」
アリスは戦闘において、軽いサポートしかできない。
本当はこの迷宮に入るのも、とても危険なのだ。
しかし、グラディアがいた。常にアリスを守る鉄壁の騎士がいた。
よってアリスは迷宮で不安など、抱くことはなかった。
それくらい、グラディアは強かったのだ。
その騎士が一撃で吹き飛ばされた。
これが意味することは、想像に難くない。
正気を保ってるだけ、すごいと言える。
今、まともに戦えるのは、俺とアレクだけ・・・。
(ナズ!!やるんだ!僕たちでっ!!全力でっ!!)
「あ、ああ・・!!!」
いや、怖いよ。なんでアレクはそんな覚悟決まってるの!?
震えが止まんないのよ、俺!
勝てんのかな!?無理じゃないかな!?
だって、ほら!?
もう生き物として、違いすぎるやん!?
(ナ、ナズっ・・!?)
動こうとしない俺に、アレクが怪訝そうな顔を向ける。
そんな中<ダイスポット>は、残虐に満ちた眼で、地に伏せるリタリアに右手を伸ばした。
お、おいおい・・・。おいおいおい!!!
何するつもり・・・、倒れてるだろ・・!!?
マジで殺す気か・・・!?
(っ、させるかっ!!)
動いたのはアレクだった。
俺も・・!!と思っても、笑う膝が邪魔をして動くことが出来ない。
アレクは極意スキル【深淵ノ衣】を発動して、漆黒に全身を包む。
蹴り上げた地面が爆発し、一瞬で<ダイスポット>に接近した。
そしてリタリアに伸ばした<ダイスポット>の右手を振り払うように蹴飛ばす。
(うらぁあっ!!)
この時、初めて<ダイスポット>に攻撃が入った。
蹴りの衝撃で<ダイスポット>はあとずさる。
しかもその攻撃は、死のオーラを纏ったアレクの極意スキルだ。
ヒットした部分が回復不能および、機能不全に陥る。
当たれば最後の致命の一撃。
「い、いける・・・・!?」
ポツリと出た己の言葉に不安が取り除かれる。
本当に矮小な人間だ、俺は。
今まで動くことすら出来なかったのに、希望が見えたとたん、やる気が出てくるなんて。
卑怯なやつなんだ、根本的に。
まあ反省するのはあいつを倒したあとでも、遅くないか。
「やるぞ、アレクっ!!」
(ナズっ・・・!!!)
攻撃に参加する意思を示すために、アレクに声をかける。
下位スキル【雷槍】を数個同時に発動し、<ダイスポット>に飛ばした。
これに<ダイスポット>は、両刃斧で軽く対応。片手で全て無効化した。
しかしこれは囮。
俺は【雷槍】を発動後すぐに、極意スキル【緋雷ノ獣】を発動していた。
展開までに時間のかかるこのスキルを、【雷槍】を打つことでその時間を稼いでいたのだ。
だが<ダイスポット>は、予想以上に素早く【雷槍】に対応した。
普通なら使い物にならなくなった右手に、動揺するもんじゃない!?
【緋雷ノ獣】発動まで、まだ時間がかかる。
余裕で防がれる・・・・?
俺が一人ならね。
そう。俺にはアレクがいる。
しかも絶対に当たってはいけない攻撃を繰り出すアレクが。
当たればそれまでだし、避けても俺の魔法で消し飛ばす!!
完璧や!!
案の定、アレクは俺の時間を稼ぐために、追撃を開始。
放たれるアレクの右手は、・・・・見事<ダイスポット>の肩にヒットする。
<ダイスポット>はアレクの攻撃を避けようともせず、俺に突っ込んできたのだ。
正直、予想外だ。
<ダイスポット>は他の魔物とは違う・・・感じがしていた。
当然アレクの致命傷となる攻撃は避けてくるだろうと、踏んでいたんだけど・・。
所詮は、魔物の脳みそってことか?
俺は【緋雷ノ獣】の発動をが間に合わないことを察し中断、すぐさま【雷球】を複数個<ダイスポット>に向けて撃つ。
避けきれない数の【雷球】に<ダイスポット>は停止し、両刃斧で迎えうつ。
がしかし何個かは捌ききれず、そのまま命中した。
見れば、<ダイスポット>はボロボロ。
アレクの【深淵ノ衣】によって右上半身は使いものにならない。
さらに【雷球】も何個かまともにヒットしている。
俺とアレクでなら、なんとかできる・・!!
(ナズ。油断せずいこう!!油断しなかったら、絶対いける!!)
「ああ!!」
勝ち濃厚のこの状況で、<ダイスポット>は・・・・なおも嗤っていた。
その不気味な笑みを貼り付けて、<ダイスポット>は逃げ場のない壁側に飛んで下がった。
「・・・?」
(どうする、つもり・・?)
俺とアレクは相手の出方を伺う。
なんてことはせず、一瞬の隙も与えず<ダイスポット>に攻撃を繰り出す。
何もさせてはいけない・・・!!
俺たちの意思は共通していた。
特攻したアレクを前に<ダイスポット>の取った行動。
やつは自身の右肩から先を両刃斧で切り落とした。
「はっ!!?」
(えっ!?)
<ダイスポット>はその勢いのまま、突っ込むアレクに両刃斧を振るう。
目の前で起きたことに呆気に取られていたアレクは、寸前でその斧を受け止める。
【深淵ノ衣】によって真っ二つにされることはなかったが、攻撃の衝撃はまともに入っている。
地面を転がりながらアレクは必死に受け身を取った。
「あいつ、自分の体・・・。切りやがった!?」
(嘘でしょ!?回復スキルなんて持ってないよ!?)
そう。アレクは<ダイスポット>のスキルを看破している。
神位スキル【万象ヲ賛美スル瞳】の前に隠し事は、基本的に不可能だ。
俺もそれをわかっていたから、その行動はあり得ないと思っていた。
唾を飲む。
その一瞬の隙で、やつは動いた。やばいっ!!と思った時にはもう遅い。
<ダイスポット>は近くに転がっていた<強化ワイバーン>の死体に手を突っ込んだ。
そこからあるものを取り出す。それは魔石だった。
キラキラと光る魔石を<ダイスポット>は、そのでかい口の中に放り込んだ。
「魔石・・を喰ってる!?」
(だね。そういえば、ここに入ってきてた時も、食べてたけど、なんの意味が・・・)
そもそも魔物が魔石を食べるなんて聞いたことない。
見たこともないし、教えられたこともない。
人間が動物の心臓食っても何もない様に、魔物も魔石を食ってもどうにもならない。
若干、栄養価が高いくらいか?人間と同じなら。
魔石を喰らった<ダイスポット>からは、切り落としたはずの右腕が生えてきていた。
「!!???」
(はあっ!!!??)
それどころか、【雷球】によって与えた傷も、塞がっている。
いや、てかっ!!なんで・・!!?
はっ・・!??意味わかんない!!
「アレク!!?回復スキルないんじゃないのか!?」
(ないよ!!今見ても、そんなスキル増えてないし!!
最初に伝えた時から、変わってるわけじゃない!!)
じゃあ、なんで!!?
「あ・・・。ここ迷宮・・・。」
いつの間にか、リタリアの側に寄っていたアリスが呟く。
リタリアに回復薬を飲ませていたその手が、自身の言葉によって、思わず止まる。
しかしこの言葉で、理解してしまう。
そうだった。ここは迷宮の中だ。
全ての魔物は、ボスモンスターの恩恵を受ける。
そしてここのボスは古龍だ。魔物がどんな進化をしても不思議ではない。
これは迷宮を攻略する時に、全員で共有していた情報だ。
それを忘れていたなんて。
(っ、最初からおかしかったんだ・・!!この部屋に転がる<強化ワイバーン>の数。
この数相手に、一人で無傷って。それくらい強いんだって、思ってたけど・・・!!)
俺たちが入ってくるとき、やつは魔石を食っていた。
あそこで、回復・・というか再生していたのか!!
「でも、そんなスキル持ってないんだろっ!?」
(だからっ!<ダイスポット>は種として・・。魔物の種として進化したんだ。
ここの魔物全員がそうなのかもしれない!!
けどこれは<ダイスポット>だから、魔物を殺す魔物だから気づけたってことだ・・・。)
なんだよ、それ・・・!!!
理不尽すぎるだろっ!!
やりすぎてるよ、古龍様!マジで。加減ってもんがあるじゃん。
完全復活した<ダイスポット>。
先ほどの好機は、アレクの初見殺しが決まったおかげだ。
こちらの手の内はもうバレている。
同じ手は通用しない・・・。
勝て・・・ない・・?
蘇る絶望。
思い出した様に、震え始める手。
『第二ラウンド開始だ。』
そう言わんばかりに、<ダイスポット>は凶悪な笑みを浮かべた。
種族名:コボルド(強化)
二つ名:ダイスポット
スキル:極意スキル【悟ル危機】(固有)
上位スキル【防護結界】(強化系)
【斬撃波】(魔法系)
下位スキル【剛腕】(強化系)