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欠陥転生者たち、そして覇道へ  作者: 朽木 庵
古龍登場編
22/34

20話 ファーストミッション・・・?

はい、自分でもわかってます。投稿頻度、遅いよねえ。

 急に話しかけてきた見知らぬ男。

 顔面のイカつさが半端ない。

 どう見てもチンピラにしか見えないけど、こいつも冒険者なのだろう。

 ちょっとしたことで、すぐ殴ってきそうだ。完全に偏見だけど。

 ともかく怖いので、適当に話してこの場を切り抜けよう。


「えっとー、そうかもしれないですね。

 ・・・新人冒険者のナズです。こっちの獣人はアレク。」


 アレクも軽く会釈(えしゃく)する。


「ナズとアレクだな!覚えたぜ。

 俺ぁスキーロスってんだ。冒険者ランクはA。

 まあ冒険者やってると、何かと危険も多いだろうからなぁ。

 存分に頼ってくれて構わないぜ!」


 スキーロスは相変わらず嫌な笑みを浮かべ、目線だけを下に向け、俺たちを見ていた。

 こいつを頼ったら最後、永遠と金とかせびられそうだ。

 ただ、単純にいい人という可能性もある。たまにいる、顔で損するタイプ。

 目の前のスキーロスという男はどちらのタイプだろうか。


「あ、ありがとうございます。

 でも、俺たちも結構強いんですよ!

 すごいスキルとかもいっぱい持ってますし・・!」


 俺の言葉を聞いたスキーロスから、ふっと笑みが消える。

 何かまずいこと言ったか、俺。


「・・・・・へえ。

 ちなみにお前ら、今日ギルドに入ったんだろ?

 今のランクは?どんなもんなんだ。」

「あ、はい・・。今はCランクですね。

 さっき倒した魔物の素材やらを売ってきたんですけど、それで上がりまして。」


 スキーロスの顔色を伺うように俺は話す。

 そのスキーロスの顔はというと、みるみる不機嫌になっていった。

 何がこいつの琴線(きんせん)に触れたのか。

 わからないけど、いつ殴りかかられてもいいように、一応スキルで身体能力を向上させておく。

 俺の話を聞き終えたスキーロスが口を開いた。


「そうか・・。お前らはそっち側か・・・。」


 スキーロスからボソっと言葉が漏れ出る。

 なんだ、急に。殴られるか・・?

 俺が構えていると、スキーロスは大きく息を吸い込んだ。

 そして。


「・・・いいよなあ、スキルが優秀なやつはよぉ!!

 なんの努力もしなくても、それだけでぐんぐんランクが上がってくんだもんなぁ!!本人も自分自身が強いと()()()しちまうしよぉ!!

 でも俺は知ってるぜ。そういうスキルを過信したやつから、早く死んでいくってよぉ!!

 お前らも早死にしねえように、はえーとこ冒険者やめた方がいいぜぇ!!」


 ぎゃははっ!と大きく笑いながら、されど全く目は笑っていないスキーロスがその場から去っていく。

 あまりに急な出来事に、俺たちは呆気に取られる。

 スキーロスがギルドを出てから、ようやく頭が回り始める。

 な、なんだったんだ今の。

 俺たちは心配されたのか?

 いや、違う、よな。

 完全に嫌味を言われていた。

 スキルが強いだけ。

 裏返せば、それ以外は大したことないってこと。

 それを大声で、ギルド中に聞こえるように言うってことは・・。

 完全に喧嘩売ってきてるってことでいいよな。


「なあ、確認だけど、あいつ。いいやつってことはないよな?」

(今のを見て、その認識になるなら、おっきい病院に行った方がいいね。)

「・・・じゃあ行かなくてよさそうだ。

 なんだったんだ、あいつ・・・。」


 別に腹が立ってないわけではない。

 ただ今は、『腹立つ』よりも、『驚き』が勝っているだけだ。

 こういうのって後から思い出した時の方が、腹立つよね。


(帰ろうか、ナズ・・。)

「・・・そうだな。」


 その日はギルドを後にして、俺たちは宿に戻った。

 思い出しては沸々と湧いてくるモヤモヤと、一緒に寝るのはなんとも息苦しかった。



 ***



 次の日。

 この日も俺たちは、ギルドに来ていた。

 正直お金は結構あるので、もう働く必要はない。

 この街にきた目的も、二人の謎の転生者について情報を集めることだし。

 しかし周りの人間には、俺たちは冒険者をやりにこの街にきたと説明している。

 そんなやつらが初日から、何もしなかったら不思議に思われるだろう。

 というわけで、カモフラージュの意味も込めて、労働していこうと思う。

 お金があるに越したことはないしね。


 そんなわけで、ギルドの中に入ったのだが。

 ギルド中を見渡す。

 あの憎ったらしい顔。

 俺はスキーロスを探していた。

 かなり背丈は高い方で、ガタイもいい。

 加えてあの顔だ。

 そんなのがいたら、当然目立つ。

 予想通り、スキーロスは仲間と思わしき奴らとテーブルでガヤガヤと騒いでいた。

 だがこっちに気づいた様子はない。

 関わると面倒なので、俺たちは目が合わないように依頼の掲示板へ向かった。

 あんなの気にせず、依頼を選ぶとしよう。


「アレクは何か、気になる依頼あるか?」

(んー、そうだね。僕らは幸い優秀なスキルがあるから。

 誰かとは違ってね。だから魔物の討伐系でいこうかなとは思ってるよ。)


 アレクも昨日のことに不満が溜まってるらしい。

 まあ、初対面であんなこと言われてるからな。無理もない。


「俺もそっち系がいいと思ってたし、それでいくか。

 じゃあこの<リザードマン>の群れの討伐にするか。」

(うん、それでいいよ。僕らなら危うげなく達成できるね。)


 そうと決まれば、早速依頼を受注してもらおう。

 掲示板に貼り付けられた依頼を、俺が剥ぎ取ろうとした時・・。


「その依頼は、お前らには難しすぎんじゃねえかぁ?」


 今一番聞きたくない声が、後ろから聞こえてきた。

 嫌な顔をしてやりたいが、争いの元となりそうなので、努めて平静な顔で振り返るとそこには、やはりスキーロスがいた。

 その後ろには、子分のような、これまた柄の悪いやつらが控えている。

 昨日のこともあり、俺とアレクはこいつに対してかなり腹が立っている。

 しかし、そんなことで怒ってもしょうがない。

 ここは大人の対応で場を納めよう。


「あ、スキーロスさん。お気遣いどうも。頑張って行ってきますね。」


 そう言って、俺とアレクは受け付けの方に向かう。

 だがそれを、スキーロス、以下その一味が許さない。

 俺たちが逃げられないように体を出すして、進行方向を塞ぐ。

 そしてさらに、スキーロスが口を挟んでくる。


「もうちょっと身の丈に合った依頼を受けた方がいいぜぇ。

 スキルが優秀なだけの新人くんなんだからよぉ。

 おとなしく、スライムとタイマンでも張ってた方がお似合いなんじゃねえかぁ!?

 そこのペットと一緒によぉ!?」


 スキーロスの言葉に、周りの奴らがケラケラ笑う。

 こいつら、こっちが下手に出たら・・。

 ここまで言われたら、もう大人にはなれない。少し言い返してやるか。


「スキーロスさんは世話焼きですね。

 そっちこそ、冒険者やめて主婦にでも転職した方がいいんじゃないですか?」


 へらっと笑いながら、俺は切り返した。

 その言葉にスキーロス側からの笑いは(しず)まる。

 そして次の瞬間。

 視界が揺れる。

 スキーロスの蹴りが、俺のこめかみ部分に突き刺さったのだ。

 ゴッッ!!という鈍い音が、耳元で鳴り響く。

 全くの無警戒だった俺は、そのまま見事に吹き飛んだ。


(ナズっ!!)


 アレクの声が頭で鳴るが、答えてやることはできなかった。

 Aランク冒険者。そのランクは伊達ではない。

 冒険者の中でもトップに位置するスキーロスの蹴りは、【身体強化】も使用してない状態の俺には、見えないも同然だった。

 床に転がっていた俺はよろよろと、それでも迅速に立ち上がった。


「っ、何すんだよ、お前っ。」


 幸いにも常時発動している【防護結界】のおかげで、大したことにはなってない。

 それでも、痛いものは痛い。

 視界も依然としてクラクラしている。


「『何すんだよ』だと?そりゃこっちのセリフだなぁ。

 何、新人が、俺に生意気な口聞いてんだぁ?てめえ殺されてえのか?」


 スキーロスとその一味が、嘲笑と怒りが混ざったような目で俺たちを(さげす)む。

 そこに、周りにいた冒険者たちが、何事かと寄ってくる。


「なんだなんだ。・・・お、スキーロスさんが喧嘩してんのか!」

「相手は誰だ!どんなやつだ!?」

「・・・ありゃ、昨日の新人ちゃんじゃねえか!」

「何、新人だと?そりゃ面白え。頑張って反撃してみろよ、新人っ!」

「スキーロスさんも手加減してやってくださいよ!!」

「おら、しっかり立てよ新人!!もっと盛り上げてみろよ!!」


 だんだんと周りの野次がうるさくなってくる。

 あー、もう。ほんとに、ガヤガヤうるせえな。

 俺は再び認識させられる。

 ここは前にいた世界、ましてや日本なんかじゃない。

 異世界なんだと。

 施設の中だろうが、人の目があろうが、関係ない。

 平気で殴るし、蹴るし、それを見て、周りの奴らも盛り上がる。

 そういう世界だった、ここは。

 俺は頭を振って、クラクラする視界を無理やり正常に戻す。

 そして【身体強化】で、己の体を奮い立たせる。

 ・・・俺もそろそろ、異世界に馴染んだ方がいいよなあ・・・。そういう段階に差し掛かってもいい頃だよね、うん。いい頃だと思う。

 ギラっと、目の前の敵を認識する。

 と同時に地面を踏み抜き、敵の後ろに高速で回り込む。

 俺がブンっとその場から消えて移動したことに、反応できたのはこの中ではただ一人だった。

 言うまでもなく、アレクだ。

 俺の動きに合わせ、アレクもスキーロスの後ろに回る。

 目の前には無防備にさらされた後頭部。

 この時、理性の大半を失った俺の頭では、拳を硬く握ること以外考えられなかった。

 隣のアレクも毛を逆立てて、爪を剥き出しにしている。

 示し合わせた訳では無いが、これまでの戦闘経験が俺たち二人の息を合わせる。

 そうして必殺と化した二つの矛が、躊躇われることなく振り抜かれる。


 バキイイィィィイインンン!!!


 甲高い爆音が、ギルド中に響き渡る。

 俺たちの攻撃は、スキーロスの頭に直撃・・・・せずに、下から伸びてきた、赤い装飾の施された大斧に阻まれた。

 完璧に当たったと思ったんだけど・・。

 俺たちの攻撃が当たるよりも早く、スキーロスの頭との間に大斧が差し込まれたのだ。

 俺とアレクは一歩下がって、大斧の持ち主を見る。

 そいつは・・・・いやその人は、このギルドのマスター。

 ギルマスのトルミィだった。

 少しして、スキーロスや、その周りの奴らの時間が動きだす。

 何が起きたのかを理解するのに、頭を動かしている様子だ。

 スキーロスが俺とアレク、そしてトルミィを見てから、少し焦ったように口を開く。


「へ、へえ。喧嘩に割って入ってくるなんて、珍しいことしますねぇ、ギルマス・・?」

「喧嘩ならいつも通り見逃すさね。流してるだけで、いつもしっかり把握はしてるからねえ。

 そしてさっきのは喧嘩と呼ばないさね。」


 トルミィが大斧を肩に乗せ、俺とアレクの方を見る。

『これ以上やる気なら、あたしが相手さね』と顔に書いてある。

 俺とアレクはフリフリと頭を横に振る。

 おそらく、この街で一番怒らせてはならない相手だ。

 俺たちは懸命な判断をしただろう。

 それにさっきのは、自分でもわかるくらい感情的になりすぎだった。

 一旦、落ち着こう。

 そう決めた俺たちとは逆に、スキーロスはトルミィに突っかかる。


「なんだギルマスよぉ?俺があいつを蹴っちまったのが、そんなに可哀想だったのかぁ?あれくらい、ここじゃいつものことだろぉ!?

それともなんだ?スキルが優秀だと、ギルマスからも気に入られんのかぁ!」

「うるさいよ、スキーロス。あんたはまだ首が繋がってことに感謝するさね。

 何が原因でこうなってんのかは粗方予想できるさね。

 わかったからもう対決はやめるさね。」


 チッと、スキーロスが不服そうに舌を打つ。

 しかし、トルミィに刃向かう気はないようで、もう戦う意志は見せていない。

 本来ギルドは、建物の破壊や二次被害などが出ない限り、冒険者同士のいざこざを止めることはしないらしい。

 一つ一つ止めてたら、キリがないと。

 そのこともあって、ギルマス直々に喧嘩を止めに入ったこの状況はとても珍しいことなる。

 トルミィに注目が集まる。


「要はあんたら、この二人がギルドに入って、いきなりCランクになってんのが気に入らないんだろ?

 あたしの裁量で決めたことだが・・、納得しない者がいるのもわかるさね。

 そこで!

 スキーロスと、あんたら二人で、勝負すればいいさね。

 ちょうど、<リザードマン>討伐の依頼を持ってるねえ。

 討伐数を競って、この二人が勝てば、あんたも納得するさね?スキーロス。」

「まあ、それで俺に勝てるならなぁ。」

「ナズとアレクも、それでいいさね?」


 どんどん話が進んでいってるけど・・・。

 これで勝てば、向こうから絡んでくることはないなら・・・。

 アレクも頷いている。

 それなら。


「はい。俺たちもそれでいいです。」

「よろしい。そしたら早速・・・、はい、依頼の受注完了さね。」


 ギルマスの権限だろうか。

 すぐにでも、依頼が受注されてしまった。

 そして渡される、<リザードマン>および依頼の詳細。

 俺とスキーロスの両方に、情報が渡されたことを確認したトルミィは口を開く。


「それではこれより、夕刻までに<リザードマン>を多く討伐する勝負を始めるさね・・・。

 ・・・よーい、スタートさね!!」


 勝負の火蓋が切られる。

 トントン拍子に進んでいく状況に呆気に取られた俺とは逆に、アレクはしっかりしていた。


(何、ボーッとしてんのナズ!早く行こうっ。)

「お、おう。行くかっ。」


 俺とアレクは足早にギルドを出て、依頼の地へ向かう。

 続いてスキーロスも、仲間と共に、余裕そうな足取りでギルドを出ていった。



 ***



 ギルドの中。

 ナズとアレク、スキーロスが出ていったすぐ後。

 冒険者たちは、お互いの顔を見合わせていた。


「なあ、お前はどっちが勝つと思う?」

「そりゃオメー、スキーロスさんだろ。なんたってAランク冒険者だぞ。

 Cランクの、ましてや新人に負けるわけがねえよ。」

「そうだよなぁ。こんなの勝負にすらならねえよなぁ。」


 予想では、圧倒的にスキーロスが優勢のようだ。

 ここで、ある冒険者から話が上がる。


「なら、賭けてみるか?」

「はあ?そんなの、みんなスキーロスさんに入れちまうだろ?賭けになんねえよ。」

「いや、俺はあの新人に入れるぜ?」

「ああ、俺も新人だ。」

「どうしたんだ?気でも狂ったか?俺ぁ、スキーロスさんに入れるぜ?」

「「「「「俺もだ」」」」」


 結局、賭けは行われ、大半がスキーロスに賭けることになった。


「負けても泣くなよ、勝負師ども。へへっ。」


 勝ちを確信しているからか、スキーロスに賭けた者たちは、半笑いでナズ側へ入れた者たちを煽る。

 周りから見れば、ナズ側へ入れるのは愚行に映るだろう。

 しかし彼らだって、負けるつもりは毛頭ない。

 ナズとアレクへ賭けた者たち。

 その共通点は、先ほどの喧嘩を間近で()()()()ということだ。

 彼らは目を合わせ、静かに話す。


「オメーは見えたかよ?あいつらの攻撃。」

「はっ。スキーロスさんですら反応できてねえのに、俺らが見えるわけないだろ。」

「そうだよなぁ。気づいたらギルマスに止められてたしな。」

「全く、何もんなんだあいつらは。」


 ギルド内がいつにも増して騒々しくなる。

 賭けの行方で、(なか)ばお祭り騒ぎだ。


 少し遠くの方で。

 その喧嘩を見ていた者たちも口を開く。


「あなたはあの新人たちの動き、見えたのかしら?」

「はい、ひ・・・お嬢様。

 私は視認できましたが、あのスキーロスという男は反応できてないようでした。

 それに比べ、新人の方はなかなかにいい動きです。

 あれでCランクは何かの間違いかと。」

「ふーん。」


 また、ある冒険者は聞く。


「そういえば、ギルマスはどっちに賭けたんですかい?」

「あたしゃ、そんな賭けなんかはしないさね。」


 そう言った、トルミィの真相は・・・。


「そうですかい・・。」

「そうさね。まあ賭け自体は認めるから、せいぜい騒ぐさね。

 それじゃ、あたしは行くとこがあるから・・・。」


 トルミィがギルドから出ていったことにより、より一層ギルド内は喧騒に包まれる。



 ***



「夕刻までって言ってたよな?トルミィさん。よっと!」

(制限時間については、そう言ってたね。

 でもあえて明確にしてないってことは、それまでに殲滅(せんめつ)してくるってのをわかってたんじゃないかな。)

「なるほどな。っし!

 一応、依頼ではあるから一匹残らず討伐してこいってことなのかなっ?ふっ!」

(そういうことかもね。)

「にしても、結構な数がいるんだなっ。おいしょっ!」


 俺たちが今どこにいるのか。

 それはもう、言わなくてもわかると思うが、そう。

<リザードマン>の生活圏ど真ん中だ。

 戦闘の真っ最中。

 今もこうして、着々と<リザードマン>を倒している。

 この<リザードマン>というのは、トカゲの人型魔物だ。

 一匹 C+ 〜 B− 程度の魔物らしい。

 しかし、群れで襲ってきた時の脅威度は、B+に上がるという。

 力は強い方ではないが、動きが早く、沼地では更にその速度を増す。

 そんな奴らが連携を取ってきたとなったら、かなりの脅威なのだそう。

 そして、俺たちは今、その脅威に(さら)されている状況である。

 大多数おり、下は沼地。

 なぜこうなったかというと・・・・。

 待って迎え打つより、こちらから攻めに行くほうが効率的だと話がまとまったからだ。

 本来なら圧倒的に不利な条件。しかし、こちとら転生者である。

 こんな魔物に遅れを取るようなことはない。

 ギルドの依頼で仕事でもあるが、それ以上に今回は勝負のこともある。

 いつもみたいに、ウジウジ言ってる時間もない。

 大差で勝つ。

 それだけだ。

 俺は【雷球(サンダーボール)】や【雷槍(ライトニング)】を基本に、【身体強化】で底上げされた体で近接攻撃を織り交ぜながら戦っていた。

 アレクも、闇魔法スキルで戦っている。

 順調に討伐数を増やしていた俺たちだったが・・・。

 そこに一人、割って入るやつがいた。


「おらおら、新人どもぉぉおお!!

 所詮はスキルだけの、一般人がよお!こんな戦い方ができんのかよ!!」


 スキーロスは単身、<リザードマン>の群れに突っ込む。

 一歩間違えば、奴らの連携の餌食(えじき)になり、集団リンチの始まりだ。

 しかし、そんな事態にはならないと確信できるほど、スキーロスの動きは完璧で洗練されていた。

<リザードマン>の行動。連携。攻撃タイミング。

 これを、完全に知りつくていると言わんばかりの動きだ。

 効率よく、無駄が無い。

 バスターソードを豪快に振り回し、スキーロスは<リザードマン>の山を築く。

 早くも、この勝負の終わりが見えてきた。

 果たして、勝負の行方はどうなるのか。


〜トルミィとは〜

ゾダニアの冒険者ギルド、そのギルドマスター。

小人族ハーフヒュームの女性であり、元Sランク冒険者。

真っ赤な赤髪と、それに呼応したような赤い大斧が特徴的。

小人族には珍しい、超怪力。

その力は、力自慢のドワーフすらもねじ伏せるとか・・。

ハーフヒューム界の英雄的存在で、彼女の名を知らぬハーフヒュームはいないそうな。

二つ名は『女傑の赤斧』。縮めて『赤斧』と呼ばれることも。

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