19話 希少素材をゲットしてたらしい。
久々の投稿ですね。
冒険者登録を、待つこと15分ほど。
奥に消えていったセレンが、受付の窓口に帰ってきた。
これが果たして最速なのかはわからないが、どうやら登録が終わったようだ。
セレンと目が合い、手招きをされる。
「終わったみたいなんで、行ってくる。」
俺は一緒にいたジニーたち『銀灰の剣』のメンバーに声をかけて席を立つ。
そしてアレクと共に受付に向かうが。
流れるように、ジニーとリタリアも付いてきた。
「面白そうだから、付いていく。」
「私も気になります!」
ニィっと笑うジニーに、リタリアもコクコクと首を振って同意する。
まあ、今更断る理由もないしな。
ドキドキしながら、セレンの方に行く。
「ナズとアレクね。お待たせしたわ。
・・・なんか、余計なのが一匹増えてるわね。」
「それは俺のことを言ってるのか、セレンよぉ?」
「あら、あなた以外に誰がいるのかしら。」
お互いの存在に気づいてから2秒くらいで喧嘩し始めたんだけど。
どうやら、ジニーとセレンは仲が悪いようだ。
バチバチと交錯する視線から火花が散っている。
「まあ、いいわ。
あなたたち2人の登録が完了したわ。はいこれ、ギルドプレートよ。
無くさないようにね。」
そう言うとセレンは、銅で作られたようなプレートを俺たちに渡してきた。
プレートにはチェーンが付いており、首から提げて身につけるのが、一般的なのだそうだ。
「これで、あなたたちの冒険者ランクや、名前、犯罪歴なんかもわかるようになってるわ。身分証の役割もあるから、街の出入りに必要になるのよ。」
「へえー。」
便利だな、ギルドプレート。
俺たちのランクはどこなのだろうか。
「あなたたち二人は、Eランクから初めてもらうわ。
一番下はGランクだから、二個上からのスタートになるわね。」
なるほど。
これから頑張って、ランクを上げていきましょうってわけだな。
行儀良くセレンの説明を聞いていた俺たちだったが、そこに横槍が入る。
「おいおい、こいつらがEランクだと?
冗談はそのアホみたいな服装だけにしとけよ、セレン。」
「ギルマスの判断よ。魔力量が異常なのは認めるから、今後の成果次第で、どんどんランクを上げていくと仰ってたわ。」
「はーん。いきなりBランクとかにしてやっても、いいと思うんだがな、こいつらなら。ギルマスも頭が固いこって。」
「あなたそれ、ギルマスを前にしても同じこと言えるのかしら。」
「そりゃ、ギルマスの前では、言わねえよ。」
「はあ。相変わらず、最低な男ね。」
なんかまた喧嘩し始めた。
そういうのは俺たちのいないところでやって欲しい。
それに俺としては、いきなり高ランクにされて注目される方が避けたい。
「Eランクで十分だよ、ジニー。アレクもそれで納得してるし・・。」
「そ、そうか?」
俺の言葉にアレクも頷いている。
そんな俺たちに、ジニーは困惑したような顔をした。
そりゃ、俺たちのために言ってくれてるのは、わかるけど。
今回は余計なお世話なんだよな。口には出さないけど。
「あら、あなたたちは聞き分けがいいのね。どっかの髭面シーフとは違って。」
「なんだぁ?まるで俺が我が儘なやつみたいな言い方しやがって。」
「違ったかしら?」
この口喧嘩も、いい加減にして欲しくなってきた。
そもそもなんでお互い、こんなに突っかかるのだろうか。
(昔、何かいろいろあったのかな?)
「あー。痴情のもつれってやつな。」
(ひどい別れ方でもしたのかねえ。)
「・・なんかお前、ちょっと楽しそうだな・・・。」
(そう?)
アレクは【念話】を使用しているので、周りに声が聞こえることはない。
しかし俺は【念話】を使えないため、アレクの耳に近づいてギリギリまで声量を抑えて答えていた。
そんな俺たちのやり取りが気になったのだろう。
何やら冷たいものを感じ、バッと顔を上げる。
そこにはセレンの『余計な詮索はするな』とでも言いたげな、鋭い視線が放たれていた。
俺たちの危機的状況に立たされた時の、対処は素早い。
一瞬で苦笑いを顔に貼り付けて、『何も考えてませんよ!』とアピールしておいた。
美人に睨まれると、独特の恐怖感があるな。
額に滲んでいた冷や汗を拭う。
そこに。
トンっ、トンっと。
軽くとも、どこか堂々とした雰囲気のある足音で、2階から降りてくる人の気配を感じる。
その瞬間、階段の近くにいた冒険者たちに緊張が走り、それがギルド全体に伝播していくのに時間はさほど掛からなかった。
なんだこれ。
誰が降りてきてるんだ?
視線が集まる中、降りてきたのは背丈の小さな(見たところ、俺の腰くらいの大きさだろうか)女の子。
いや、女の子というには、不釣り合いなほど、出るところが出た体だ。
何が言いたいかというと、立派な女性である。
赤髪を肩より少し上で短くまとめており、気の強そうな面立ち。
そしてなんと言っても、服の布面積がこれまた少ない。
もはや下着で歩いてると言っても・・・・いやまあ、それは過言だけど。
それくらい、刺激的な服ってことだ。
なんなの。
このギルドでは、女性はああいう服を着るのが決まりなのか?
それとも、セレンとこの女性がおかしいだけなのか。
ごちゃごちゃと考える俺をよそに、その女性は大きく息を吸う。
そして。
「どこさね!?魔水晶を砕き割ったあんぽんたんはっ!!」
めっちゃキレてた。
ていうか。 ・・・・やっべー、どうしよう。
水晶玉割ったのて、俺じゃん。
俺のこと探してるやん。ブチギレで俺のこと探しちゃってるよ、あれ。
今からでも逃げた方がいいか・・?
「まあまあ。抑えてくださいよ、ギルマス」
「そ、そうですよ。
本人も悪気があったわけじゃないと思いますし・・。」
そう言ってギルマスと呼ばれた女性の後から、アンスとガーベラが降りてくる。
二人に宥められているギルマスだが、しかし怒りが収まる様子はない。
目が合った。
ギルマスと呼ばれた女性は、『お前か!!』と言いたげな顔で俺を見る。
圧倒的な目力に倒れそうになるが、なんとか踏みとどまった。
しかしギルマスと呼ばれた女性は、階段から俺のいるところまで、一気に跳躍して距離を詰めてきた。
そのあまりの勢いに、健闘虚しく、俺はその場に尻もちをついた。
自分の腰ほどしか背丈がないはずの目の前の女性が、異常に大きく見える。
へたり込んだ俺に、ギルマスと呼ばれた女性は烈火の如く切り出した。
「お前が魔水晶を割ったやつさね!?
あれをコーキュー品と知っての狼藉さね!?」
「っ、ほんとにっ、すいませんでした!!
わざとじゃないんですよ!俺も壊れるなんて思ってなくてっ。」
謝罪からの、全力の言い訳。
へたり込んでいたこともあり、俺は、下手な土下座みたいな形をしていた。
周りから見れば、かなり情けない格好だったろう。
そんな謝罪をする俺に、怒り浸透だったギルマスはというと・・。
意外そうな顔をしていた。
「・・なんだい。えらく素直な子じゃないの。
これでもし、割ったことを自慢でもしようもんなら、下から上に真っ二つにしてやるところだったさね。」
「し、下から上に・・・?」
「そうさね。冒険者ってのはバカな連中ばっかだから、あんたもその一人と思ってたけど。いい子そうではあるさね。魔水晶を割ったのが事故ってのも本当っぽいし、まあ許してやるさね。」
「あ、ありがとうございます・・?」
なんか、すんなり許してもらえた・・・が。
この人は誰なんだ。
誰か教えてくれないの。
回りをぐるっと見回すと、アンスとガーベラが近くにまで来ていた。
「ギルマス、許してあげたんですか?」
「ああ、もういいさね。それより、コイツらかい?さっき言ってた連中ってのは。」
「はい、そうですね。今倒れてるのがナズで、金髪の獣人がアレクです。
ナズとアレクも。紹介するよ。
この人が、このギルドで一番偉い『ギルドマスター』のトルミィさんだ。
めちゃくちゃ強い人だから、もう怒らせるなよ。」
・・・確かに、『只者ではない感』がびしびし伝わってくる。
それに、「下から上に真っ二つにする」なんて脅してくる人、誰が怒らせたいと思うだろうか。
とにかく、もう粗相はしない。
心に誓って。
俺は立ち上がって再度、謝罪の言葉を述べる。
「あの、本当にすいません・・。もう2度としませんから。」
「当たり前さね。というか、もうあんたに魔水晶は触らせないさね。」
「で、ですよね・・。」
俺ももう触りたくない。
あの、パァンッと軽快に弾ける音は俺の耳にこびり付いて離れる気はしないが。
それでも、もう金輪際思い出したくもないし。
「にしても、とんでもない量の魔力、持ってるらしいさね。
あたしゃ、魔法やら魔力方面にゃ詳しくないからなんとも言えないけど。
測定不能の魔力量なんて聞いたことないさね」
「そう・・みたいですね・・」
「あんたのこと言ってんだよ。なんで他人事みたいな反応してるさね」
「いや、多少なりとも仲間はいるのかなとか、思ってたりしてたので・・」
「水晶割っちまうような魔力量持ちが、そう何人もいてたまるかさね。
まあでも、新米冒険者としては、期待できそうさね」
トルミィが俺の太ももあたりをパンっと叩く。
彼女なりに激励してくれたのだろう。
ランクどうこうは正直どうでもいいが、俺たちの生活費を稼ぐために、依頼はしっかりやらなければならない。
そうこうしている内に、ギルドの中にも、先程までの喧騒が戻っていた。
「んで、セレン。この子らへの説明はもう終わったのかい?」
「ギルドプレートの説明はもう終わりました。
なのであとは、依頼の受付方法と素材買取の説明が残ってますね。」
「そうかい。・・そしたら、あんたらっ。」
そう言ってトルミィは俺たちに向かってビシッと指をさした。
反射的に肩がビクっと跳ねる。
何を言い出すつもりだろうか。
「あたしが残りの説明と、ギルドの案内をしてやるさね。」
ニィっとトルミィが口角を上げる。
アレクは平然な顔をしているので、俺も余裕そうな顔をするが・・。
正直この人、怖い・・というか初印象の迫力がすごくて、若干苦手なんだよなぁ。
「え、ギルマスが直々に案内されるのですか?
・・あなたたち、ラッキーね!」
なんて、セレンが笑顔でほざいている。
何がラッキーなんだ、こっちの気も知らないで・・。
「それじゃあ俺たちも、次の依頼に向かうとするか。
またな、ナズ、アレク。」
「私も通常業務に戻りますね。ギルマス、あとよろしくお願いします!」
「ああ、任せるさね。」
アンスたち『銀灰の剣』メンバーもぞろぞろと、ギルドから出ていく。
セレンも、受付の奥に姿を消していった。
その場に俺とアレク、それからトルミィが残される。
「そいじゃあ、依頼の受け方についてだが・・。
まずあそこに張り出されてる紙があるだろ?
あの紙を受付に持っていく。
そこで無事に受注されたら、あとは依頼を達成して報告に戻ってくるだけさね。
どうだい、簡単だろう?」
俺とアレクはこくんと頷く。
そんな俺たちにトルミィは満足そうな顔をうかべ、説明を続ける。
「倒した魔物の素材や魔石なんかも、ここで買い取るさね。
依頼の報告と同時に受付に出せば、そこで換金してやるさね。」
「あ、じゃあ、俺たち。ここに来るまでの道中で、魔物倒してきたんですけど。
それも買い取ってもらえるんですか?」
「もちろんさね。どのくらい倒してきたんだい?
ちょいと出してみな」
俺は言われた通り、マジックバックの中に詰め込んでおいた魔物を何体かその場に出した。
するとトルミィは、ギョッとした顔で魔物をみたあと、怒ったような、呆れたような顔で俺たちをみた。
「誰が、魔物の死骸をそのまま出せなんて言ったさね!?
こういう場では普通、取った素材や魔石なんかを出すもんだろう」
そんなこと言ったって、俺たちが普通を知ってるなんて思わないで欲しい。
こちとら、異世界人なのだ。
口に出せないのがもどかしい。
「す、すいません!そういうこと知らなくて・・」
「もしかして、あんたら。魔物の解体なんかもできないのかい?」
「・・はい。できないって言うか、やったことすらないですね」
アレクも首を縦に振り同意する。
「そうだったのかい。それじゃあ教えてやるさね。
冒険者やるなら、解体くらいできないと笑われもんになっちまうさね。
ついてきな」
そう言うとトルミィは俺たちを連れて、ギルドの裏手に出た。
そこには台座や大小様々な刃物が用意されている。
いかにも解体場って感じの場所だった。
「いいかい。よくみて学ぶさね。」
そこから、トルミィによる、解体講習が始まった。
ていうか、この人、偉い人なんだよな?
なんでこんなことしてんだ?
これがいい上司というものなのだろうか。
「とりあえず、魔物全部出してみな。」
「え、全部ですか?」
「なんだい。そんなに大量に倒したのかい?
いいから出してみるさね。」
「わ、わかりました。」
俺はこの1週間の成果を、解体場に積み上げた。
魔物全部で80体くらいはいるだろうか。
「こりゃまた、大量に狩ってきたさねぇ。
しかも、ほとんどBランクより上の魔物じゃないかい。
<赤炎竜>を倒したってのも納得さね。」
「どうも・・。」
どんな反応をすればいいかわからなかったので、微妙な返事になった。
「にしても、あんたら。見たとこ武器を持ってないようだけど、何か得物があるのかい?」
「いや、ないですよ。スキルが強力なので、それで十分戦えてます。」
「ほーん、そうかい。雷魔法を使うとは聞いてたけど、他にも随分便利そうなスキルを持ってる見たいさね?」
トルミィが魔物の死骸を見ながら聞いてくる。
そこに俺が口を開くよりも早く、アレクから【念話】での声が響く。
(あの人、魔物のやられ方を見てるんだよ。
ナズが神位スキルで倒した魔物をみて、そう言ってるんだ。)
なるほど。
だからなんだ?
(要はナズが、隠しているスキルをポロっと口にするのを誘ってるんだよ。
スキルの存在を否定したり変に黙ってたら、故意に隠していることを主張するようなもんだし。ここは上手く、はぐらかしといて。)
探られていたのか。
まさか、ギルドマスターが直接俺たちに解体を教えているのも、こうやって探りを入れるのが目的なのか?
とりあえず、言われた通り、答えをはぐらかす。
「はい、スキルが優秀で助かってます!」
「・・・まあ、いいさね。それより早く解体を始めるさね。」
それから俺たちは、解体の授業を真面目に受けた。
数十体の解体を終えたところで、やっと手慣れてきた感じだ。
その間、トルミィによる質問攻め(ほぼ尋問)を、アレクの助言によって躱わす場面が何度かあった。
正直この、アレクの【念話】による助言がなければ、俺には隠し事の一つもできなかったと思う。
そしてアレクが、次の魔物の解体に取り掛かろうとした時・・。
トルミィの顔が驚愕に変わる。
「ちょ、あんた!その手に持ってる魔物・・。
まさか<宝帝兎>じゃないかい!!?」
トルミィがすごい剣幕で、アレクに詰め寄っていく。
流石のアレクもこれには、ビビっている様子だ。
いつも余裕そうなだけあって、ちょっと面白かった。
「やっぱりそうだ!!あんたら、よくこいつを倒したねぇ!
こんなに綺麗な状態の死骸は、初めて見たさね。」
「その角うさぎ、レアなんですか?」
「角うさぎって、あんたねぇ・・。こいつは<宝帝兎>と言って、倒すのがとても困難な魔物さね。
強くはないが、恐ろしく速いスピードと小さな体、そして極めて高い再生能力を誇る。こいつの角で作られた武器は、王へ献上されるためにある、とまで言われるさね。
売れば、それこそ、でかい庭付きの屋敷を何個か買えちまうような金が手に入る。そういう代物さね。」
解説の熱量で少し気圧されるが・・。
兎も角、かなりすごい魔物ということはわかった。
おおかた、俺の神位スキルに巻き込まれたのだろう。
運が良かったのだ。
でもまあ、高く売れるのか・・。
そうとわかれば、すぐにでも、お金になっていただこう。
「あんたら、これを売るつもりかい?」
「?もちろんそのつもりですけど?」
「うーん。あんたらがすぐにでも億万長者になりたいのなら、話は別だが、そうじゃないなら売るのは後にするさね。こいつで作る武器は性能もピカイチさね。
ちょうどいいからそれで自分の武器を作っちまいな。いざ金が必要になった時に、そいつを売ればいいさね。」
「おお!それいいですね。
せっかくですし、そうします。アレクもいいよな?」
(うん。僕は武器いらないから、ナズの武器を作りな。)
「じゃあ、お言葉に甘えて。
ギルマス、この国の鍛冶屋でいいとこってありますか?」
「そうさねぇ。・・・この国にはいないが、腕のいい鍛治士を知ってる。
そいつなら、珍しい素材で武器が作れるってんで、無償で武器を打ってくれるはずさね。あたしに任せてもらえれば、最高の武器を用意するよ?」
「ほんとですか!ありがとうございます!!」
無料ってのはありがたいな。
ギルマスも太っ腹なことだ。
と俺が一人で感心していると、アレクからの横槍が入る。
(何か、目的があるんだと、思うよ。
聞いてみてよ、ナズ。)
それもそうか。
ただ優しくしてくれてる可能性もあるけど・・。
「何か、お礼できることがあれば、言ってくだ・・」
「じゃあ、代わりといっちゃなんだが、」
トルミィは待ってましたと言わんばかりに口を開いた。
やっぱり、裏があったのか。
「<宝帝兎>の角以外の素材・・毛皮や肉なんかも、冒険者ギルドに売って欲しいさね。
もちろん、高額で買い取らせてもらう。
・・ただやっぱり、貴族連中に直接売る方が、高く売れるさね。
そこを、良い鍛治士に武器を作らせる代わりに、こっちに素材を売って欲しいということさね。」
そういうことか。
まあ、もともとここで買い取ってもらう算段だったからな。
あと、若干というか、かなりの引け目も感じているし。
「俺たちも、元からここに売るつもりだったんで、そんな条件でよければ、全然いいですよ。
それに、水晶玉割っちゃったこともあるんで、売ったお金で弁償させてください!」
「おお、えらく気前がいい提案さね!お言葉に甘えるとするよ。
それじゃあ、武器の話はまた後でするとして、残りの解体をあんたらで終わらせちまうさね。」
「え・・・手伝ってくれないんですか・・?」
「老体にこの作業は響くさね。
これ以上あたしに無理させたらあんたら、老人虐待になるさね。」
「老人・・・・??」
・・・この人、冗談言うタイプの人だったのか。
見た目は完全に20代くらいを誇ってるだろ。
なお、後で知ることになるが、トルミィは小人族と言う種族で、こんななりでも高齢な部類になるらしい。
ただ種族の特性上、歳をとっても見た目が若い頃と大して変わらないらしい。
なんとも不思議な種族だ。
そんなこともつゆ知らず、俺とアレクは、せっせこ魔物の解体に勤しんだ。
そして解体が終わるころには、綺麗な夕焼けが、空に浮かぶ時間になっていた。
解体場を出て、ギルドの中に戻ると、すかさずトルミィに呼び出される。
ギルド内の一室に入ると、テーブルを挟むように長椅子が二つ配置してあり、その片側にトルミィが座っていた。
その向かい側の席に、俺たちも座る。
長時間、解体作業をしていたせいか、そのまま椅子に溶けてしまいそうになるが、なんとか持ち堪えた。
「二人とも、解体お疲れさね。
あんたらが解体してる間に、素材と魔石を換金しといたから、受け取るといいさね。」
そう言ってトルミィは、数十枚の金貨が積まれたトレーを差し出してきた。
かなりの数の魔物がいただけあって、金額も相当なものになっている。
「プラスでまた後日、<宝帝兎>の買取金も渡すさね。
こればっかりは、金額が金額なもんで、すぐには用意でないんさね。
あと、討伐した魔物に応じて、あんたらの冒険者ランクもEからCに上げといたから。この調子で、ぐんぐんランクを上げてくといいさね。」
俺たちはお金を受け取り、ギルドプレートもアップグレードしてもらう。
これで、早くもCランク冒険者だ。懐もかなり潤った。
「んじゃあ、これからの頑張りに期待してるさね。」
トルミィの言葉に頷き、俺たちは部屋を後にした。
さて、これからどうするか。
いい時間だし、今日はもう帰ってもいいが・・・。
「どうする、アレク。今日はもう帰る?」
(んー、そうだね。帰る前に、軽くどんな依頼があるのか、目を通しとこうよ。)
「そうするか。」
そうして俺たちは依頼の掲示板の前に来ていた。
依頼に関しては、護衛や討伐、魔物や植物などの素材収集などが主にあるようだ。
なんかワクワクするよな、こういうの。
そんな、依頼に目を輝かせていた俺に、ある男が近づいてくる。
(・・・ナズ、変なのが来てるよ。)
「へ?」
振り返るとそこには、ガタイのいい強面の男が、嫌な笑みを浮かべ近づいてきていた。
「おーー。お前らがアンスの言ってた、新人君だなぁ?」




