Test!! エモーション:R(1話リメイク)
今回はテスト投稿です。
ある夏の日…
目が覚めるような鈍い音、
蝉の声さえ掻き消すような悲鳴がアスファルトに反射する………
「これで…良かったんだ…」
◇◆◇◆◇
「ここ……どこ?」
もう何百回と聞いた幼馴染の声、
ここは森の中、彼女の声はよく響き渡る。
そんな幼馴染、千華の声に、
俺は目を覚ました。
少しでも早く状況を把握しようと重たい体を起こすと、
もう一方には弟、琉空が気絶したように横たわっている。
揺さぶり起こそうとすると、俺の気配に気づいたのか、
勢いよく起き上がり、琉空も千華と同じことを口にした。
「お兄ちゃん…ここ…どこなの…?」
そう、ここはどこなのか、俺にも分からない。
しかし、どこまで見ても森が広がっている以上、先程までいた交差点では無いことは明白だった。
「柊真……」
千華は不安そうに一言、俺の名前をつぶやく。
琉空はというと、やはりこちらに不安そうな目を向けている。
どうしようもないことも、
俺に頼ればどうにかなると思っているのがこの2人だ。
「まったく…」
この状況の打開策は、ない。
はっきり言って詰みだ。
そうやってしばらく立ちつくしていると、
「もしや…柊真様でございますか…?」
と、背後から馴染みのない声が聞こえてくる。
声の主に肩を叩かれ振り返ると、
執事服のカエルが今にも泣き出しそうな顔でこちらを見てきた。
普通に考えればこんなことはおかしい。
しかし、頭の中に疑問が多く、咄嗟にそんな疑問は浮かんで消えてしまった。
「すみません…どちら様でしょう………失礼ですが、お名前を伺っても?」
そう俺が執事服のカエルに話しかけると、
彼はかしこまって俺の問いに答える。
「あぁ…これは失礼致しました。私は柊真様の生前に執事としてお仕えしておりました、ルークと申します。」
そう言い終えると、ルークと名乗った執事服のカエルは深々とお辞儀をした。
「生前」、それは俺が昔、ここに存在し、既に亡くなっているということを指し示している。
そこで疑問が生まれる。
─ここは一体どこなんだ?─
ルークは元執事ということだからか、
こちらにかなり友好的に接してくれ、
「こちらは2200年の暁市でございます。」
と答えてくれた。
暁市とは、元々俺たちが住んでいた地の名前で、
時代としてはかなり未来であり、かけ離れている。
そもそも、こんな森があったのすら覚えていない。
時代の流れというものをこの歳で実感した気がする。
そう感傷に浸っていると、
ルークが
「千華様もいらっしゃるのですね!
そちらの方は…あぁ…」
と、何故か琉空の方へ向き、手を合わせる。
それが何を思ってのことなのか、俺には到底理解が及ばなかった。
2人はそんな様子を他所に、
「ルークさん、いい人そうだね。」
などと話し合っていた。
実際のところ、知らない時代で
なんの情報も得られないままでいるより、
友好的に接してくれるこの、
ルークの存在がどうしてもありがたかった。
するとルークが
「御三方、行かれる宛もないでしょう。
あちらに私の家がございますので、
もしよろしければそちらでひとまずお休みください。」
もちろん、
知らない時代で、自分の住んでいた街とはいえ変わってしまっている。
行く宛なんてどこにあるだろうか。
俺ら3人は互いにそう考え、
ルークについて行くことを決めた。
…というより、ついて行く以外の選択肢がなかった。
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(2話に続く…かも?)
お付き合い頂きありがとうございました。
よろしければ、原作エモーション:Rの方もよろしくお願いします。