捏造の王国 その21の2 タコマチマ高校同窓会にて 私、僕、俺が生きてく社会のために投票だ!
前回、捏造の王国 その21の1で、アベノ総理の酷さに逆張りで野党候補への投票を済ましたフザイとキジツは高校のプチ同窓会会場のファミレスに向かい…
前回 タコマチマ町民会館にてアベノ総理の大炎上演説を聞き野党への投票を決意した新大学生フザイとキジツ、これは彼らと彼らの仲間たちのお話です。
「あー、まだ4時かあ、どうする」
駅近くのファミレスで、トウコは退屈そうにつぶやいた。頼んだジュースは飲み干し、グラスに残った氷をストローで突いている。
「って同窓会まだ始まってないのに、もう飽きてんのかよ、トウコ」
「だってさあ、テキオ、タコマチマ高校の卒業生で夏休み集まろうっていうのに、まだ4人しか来てないし。ね、ミッチ」
トウコの隣のミッチと呼ばれた女性も小さく頷いた。茶系ショートカットでひっきりなしに話かけるトウコと違い長いロングヘアで眼鏡をかけたミッチは隅に座って静かにアイスティーを飲んでいた。
ミッチの向かい側に座っている眼鏡の細身の男性も愚痴をこぼす。
「トウコのいうとおり集まり悪いよ、テキオ。せっかく帰ってきたのにさ」
「そういうなよ、ムト。フザイとキジツからさっき連絡はあったんだよ、夏祭りいって投票所いってからくるって」
「投票所?へえ、あいつらが、ねえ」
ムトが聞き返すと同時にファミレスの入り口からフザイとキジツが入ってきた。
「あ、こっちこっち」
気が付いたトウコが声をかける。
「ああ、久しぶり」
「久しぶり、何してたの?」
「夏祭り会場いってさ」
「そういや、なんでまっすぐ来なかったんだ。選挙なんて、お前ら興味あったの?」
「それがさ…」
テキオの問いに、キジツはアベノ総理が飛び入りで演説をしたこと、それが居合わせた聴衆の大ヒンシュクをかったこと、それをみて野党に投票することを決めたこと、などを話した。
「そんなにヒドかったのかよ、アベノ総理」
「酷いなんてもんじゃねえよ。まあヤジも酷いけど、マトモに応えらんないんだよ。あれなら話さないで手でもふってりゃいいのに」
「親父とかがINUHKみてほめてたけど、あれやっぱ編集か」
「だろうな。投票所に後からきた人に聞いたら、どうも演説会場間違えたらしいんだわ。で、勘違いしてぶっつけ本番で演説したら、あのざま」
「でもよ、他の奴等もおんなじじゃないか、ほらレイワンだか作った、ヤマダノとか」
「そんなことないわよ!ヤマダノさんはすごいんだから」
黙って聞いていたミッチがいきなり大声で否定する。
「え?」
「ミ、ミッチ?」
いつもは大人しいミッチの怒りに満ちた声に一同は思わずミッチに注目。
「あたしね、トーキョーにでて、勉強のできない子に教えるボランティアっていうのやってるの。そこで一緒になった他の大学の子とヤマダノさんの街頭演説っていうの聞いたのよ。原稿なんて全然見てない、そんなのないの。すっごくよかったから、何回かいっても毎回ちゃんと違うけど、ちゃんと筋道通ったわかりやすい話してるんだから」
「す、すごいな、ミッチ、ちゃんと演説とかきいてるんだ」
「だって私たちにも関係あるのよ!大学無償化とか言ってるけど、全員じゃないし、サラリーマン家庭とか、そんなに恩恵なくてかえって悪くなるみたいだし。キジツ君たちは違うかもしれないけど、女性の就職とかハラスメントとか。だから、あたしヤマダノさん所に投票したんだから」
「いや、俺たちにも関係あるよ、それ。だってセクハラだけじゃなくてさ。ブラックバイトとか」
「僕もさ、妙なバイトにひっかかって。シフトきつすぎで講義とかでれなくなって。でも店長がなんか“辞めたら罰金とか”言って、困ってたら若者ユニオンってとこ紹介してもらったんだよ、そういえば共産ニッポンの議員さんとかいたな」
「わ、ムト、お前、ブラックバイトの犠牲者だったのかよ」
「いや、犠牲者寸前、フザイ。労働基準監督署とかユニオンの人と一緒に行ってもらったりして残りのバイト代貰って無事辞められたよ」
「へえ、よかったじゃん」
「まあね。今はちいさい食堂でバイトしてる。時給は最低賃金に近いけどさ、融通が利くのと昼夜の飯が浮かせられてラッキーってとこかな。共産ニッポンの人の紹介でさ、あ、だから僕、もう投票はしたんだよ、トーキョーで。ギリギリ住民票移すの間に合ったみたいで」
「でもさ、ジコウ党も規制とか」
黙っていたトウコがジコウ党擁護にまわった。フザイがそれに反論する
「全然規制になってないじゃん、刑事罰とかないしさ。第一ダケナカとかワダミとか派遣会社とかチェーン店の会長とかジコウのお友達なんだろ、ラジオでもやってた」
「それは、そうだけど、でもいい人も、その」
「そんなことないわよ、トウコ!セクハラとか暴言とかの議員は大抵ジコウとかメイジじゃない!」
ミッチが声を荒げる。
「そう、だよな」
「トウコ、どうしたんだ。俺らも政治とか興味なかったけどさ、お前もだろ?そりゃいきなり野党応援ってのは、びっくりかもしれないけど、なんで、そんなにジコウ推しなの?」
「その、彼が…“僕のほうが、頭がいいし、正しいんだから、従ってくれ”って。あたし、バカだし」
トウコの言葉にテキオとフザイは口をあんぐり開けた。キジツは不快そうに言った。
「はあ?なんだ、それ、自分がジコウ党支持だからトウコにもそうしろっての?」
「トウコは馬鹿じゃないよ、学校の勉強が苦手なだけで。家事とか車の運転もできるし、仕事だってちゃんとしてるんでしょう」
ミッチも否定した。
「でもさあ、彼、ネンガタ県じゃ有名な企業に親戚がいて、もう課長さんで。うちの会社とも取引あってさ、社長がほめてたし。…事務のオバサンには評判悪いけど」
「それってコネってことだろ。それに言ってること完全にモラハラじゃん。なんかネットニュースのネタだろ、まるで。モラハラ男にひっかかる人のいい女って。たいていロクデモナイ結末になるやつ」
とムトが突っ込む。
「ムトの言う通り、そんなモラハラと別れちまった方がいいぞ」
「そんな、酷いよ、会ったこともないのに」
「会ってはいないけど、わかるんだよ、あれだろ」
と、テキオがそっと指さす方には、サラリーマン風のスーツを着た男性が座っていた。眼鏡をかけて新聞を広げてはいるが、チラチラと、こちらをうかがっている。
「あいつ、さっきから一人でずっといるんだよな。新聞を何時間も広げたり、閉じたり、こっちを見張ってるのがバレバレだっつうの。しかも迷惑なことにずっとコーヒーを一杯で、ずっと粘ってやがんの、ケチだな絶対」
「トウコ、あの人なの?」
「う、うん。あの眼鏡、仕事のときしてるし…」
ミッチに尋ねられ、消え入りそうな声でトウコが答える。
「恋人の行動を逐一見張る男か、キモ」
「ムト、キモイだけならまだしも、ああいうのは自分の言うなりにならないと怖いぞ」
「確かにな、トウコ、こじれそうなら、俺たちが力になるから」
とテツオが力を込めて言うとミッチも
「トウコ、私のアパートに逃げてきてもいいよ。仕事やめることになるかもしれないからって思うのはわかるよ。でも仕事は大事だけど、一生の問題になるかもしれないんだからね」
「う、うん、考えてみる」
「ちゃんとよ、流されちゃだめだからね」
ミッチがトウコの手を握って念をおした。
「うえ、やっぱりジコウ支持者ってちょっとアレなのかな」
とムトがさも気持ち悪いという調子だ。
「まー、それは言いすぎだと思うわ。俺らだってアベノの生演説聞くまでは、ボーっと無関心だったし。やっぱ、考えたら、あーいう奴等をトップにつかせちゃ、だめだわ」
と、キジツがいうとフザイも
「俺らまでアレと同類に見られたくないってのは、確かだな。それにあんな調子じゃ、本当に外国の首相とか大統領とかとちゃんと話せるのかスッゲー不安。やっぱりドランプとかにゴリ押しされてバラマキやってんだろうから」
「バラマキで学校教育の費用減らされてるんだよね。僕らが研究とかしたいっていっても難しくなるかもしれない。ドル箱のIPS細胞とかだって研究費足りないし」
「ムト、それじゃ俺の好きな恐竜の研究とかは全然無理だ」
「キジツ、昆虫なんてもっと減らされるかもってイケダダ先生が言ってたぞ、だからレイワンのヤマダノ支持って」
「身内の土建屋を儲けさせるために要らねー開発するのはジコウ党の得意技らしいからな、フザイ。ヘンノコ基地ってヤンバルクイナとかジュゴンとかも迷惑なんだろ。虫とかもいっぱいいそうだし、昆虫大好きの学者はジコウに反対して野党支持するのは当然だろ」
「恐竜好きもだよ、キジツ。だって戦争で貴重な化石とか破壊されるし、北京原人だって、そのせいで行方不明。発掘とかできなくなるし。発掘地の国と関係悪化するとフィールドワークなんてできないし」
「ムト、それじゃムカワ竜みたいなのが隣の半島でみつかっても、アベノが総理じゃニホンの研究者はいれてもらえないかもしれないってのか」
「そうだよ、キジツ。ホモ・フローレンスだっけ、新しい人類発見した人だって発見場所のインドネシア政府の都合で発掘研究の許可をとるのが大変だったらしいよ」
「ひゃあ、それじゃアベノが事情もわからずキレて、国交断絶とかなったら、研究者は大変じゃん。そのへんわかってんの、アベノって?ほら、あの隣国の制裁とか」
「あれはニホンの企業にも悪影響らしいけど。多分そういうことは全く考えてないんじゃない?考えてたらIPS細胞にも研究費もっとだすし、周辺国との共同研究にも、もっと資金援助するだろうし」
「ホントにわかってないのか、ま、ありそうだなアベノの意味不明で、算数もできない話しっぷりからすると。自分で言ってることをわかってない奴に俺らのこと決めさせるなんて、結構怖いわ、考えてみたら」
「そうだよな、あ、テキオどうした、黙って」
フザイに話しかけられテキオははっとしたように
「すまん、ちょっと考え事」
「おもえがかあ?なんも考えずに家を建てちまえるってお前が?」
「失礼だな、何をどうするか考えないと家建てられねえよ、第一おれ、まだ、そこまでの腕じゃないし。いや、その俺も投票とか関係ないっていってたけど、消費税とかさ、やっぱあるわ」
「あ、なんで?」
「消費税上がるとなんか課税業者かどうたらとか、飲食店だけかと思ったけど、俺らの業界も無関係じゃないみたいだし、親戚の居酒屋も大変らしいし」
「僕のバイト先なんかも軽減税率とか対応できないって、だから増税反対の共産ニッポンにいれたんだ」
ムトが口をはさんだ。
「ヤマダノの党なんて消費税廃止だろ。で、テキオお前、どうすんの、投票すんの?」
「うーん…、する、するわ。ハガキなくてもいいんだろフザイ。免許証はもってるし、車もある」
「じゃあ、いくか、ミッチとムトはトーキョーでやったんだろ。とするとテツオだけか、トウコは」
「わたしも…したい、けど、政策とか公約とかわかんないから」
「あ、今スマホとかで各党の公約とかみれるサイトあるよ、ほら」
ムトとミッチがそれぞれ画面をみせる。
「うん、ありがと。ざっとみて投票所に行くまでに決める」
「わ、それ、いい加減だな」
「なによ、アベノ生演説聴いて、逆張りで野党にいれたアンタたちよりマシよ」
トウコはすっくと立ち上がり、“俺らは一応各党の公約ぐらい知ってたけど”などとブツブツ言うフザイとキジツの横を通り過ぎ、眼鏡の男のそばに歩いて行った。男は驚いたような顔でトウコをみあげたが、男が口を開く前にトオコは早口で男に何かを告げた。茫然とする男を残し、トオコは回れ右をしてテキオたちの側に戻ってきた。
「トオコどうしたの?」
「別れた、多分追ってこないよ」
「だ、大丈夫なのか」
「平気、それより他の子も誘わない、投票」
「へ?他って」
「だからさあ、今いるの6人だけでしょ、他にも来るはずだった子。まあ用があるのかもしれないけど、ダメもとでさ」
「そ、だな。やってみるか。多い方がいいし」
「そうだよ、僕らの明日がかかってるんだからさ」
「俺も、仕事仲間に声かけてみるわ。消費税増税を気にしてたけど、投票いってないかもしれないし」
と、トウコ、フザイ、キジツ、ムト、テキオはスマートフォンを取りだし友人、知人に連絡を取り始めた。ミッチは
「投票所の時間は、午後8時までだから、もう少し時間あるわ」
「投票先決めてない奴とかもいるかもしれないから、明日も声かけてみるか」
「え、俺ら明日はトーキョーに帰るけど。ま、いいか予定ないし、帰りの列車の時間まで、声掛けでも投票所送迎もやってやるわ。姉貴に車借りられるか聞いてみる」
キジツが実家に電話を掛けた。
「なんかさ、私たち大人って感じだね、選挙活動するなんて」
トウコが少し興奮気味にいう。
「ええ、こんなの選挙活動っていえんの?」
テキオが言うのを
「政治活動っていうのかな、いいじゃん、名前なんて。とにかく」
次に誰に連絡するか迷いながらフザイは言った。
「俺らの生きてく社会をつくるための行動なんだから」
フザイの言葉を聞いてトウコ、テキオ、ムト、ミッチ、キジツは一層真剣な眼差しでスマートフォンに向かった。
どこぞのお国でも参院選の最中のようですが、投票率あがるとよいですね。
新聞の折り込みや各党hpなどで公約は確認できますが、
ちょっとわかりにくいし、公約どおりにやってくれるかわかんないよねーなどで
投票先をお迷いの方は
毎日新聞ボートマッチ参院選 えらぼーと2019
https://vote.mainichi.jp/25san/
とか
選挙どうする?!お助けツール♪ #あんずのキモチ
https://www.youtube.com/watch?v=TXDp4jwPyqQ&app=desktop
などを参考になさるのもよいかと思います。