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~第二章~ ネガティブ思考と新たな世界

リルンです。2回目の投稿ですね。ネガティブ思考症シリーズ第二章です。今回は何人か新キャラが登場します。注目です。何だ、この小説…と思った方は、第一章から読んで頂けると、大体内容分かると思います。第一章を読んで下さった方は、是非そのまま読んでいって下さい! それではどうぞ!


※この小説にはかなりネガティブな思考を含みます。あと今回はそれに加えて、グロ表現(人によりますが…)含まれますので、そういうのが苦手な方は、回れ右して下さい。

 この世界は残酷だ。何回も何回も思ったこと。このようにしか考えられない新たな病。そう、これがネガティブ思考症。貴方達の世界で言えば、「鬱病」に近いだろう。でも、この病はそれよりもっと酷い値になる。ネガティブ思考すると同時に、世界はその思いと同じようになり、思考者をもっとそう思わせる。新たに分かったこと、それは先程も言った〝この世界は残酷だ〟という言葉を言うことで、今の世界が壊れ、新たな世界が作られることだ。何故、そんなに知っているかって? それはかつて私も、ネガティブ思考者だったため――――……


 新たなネガティブ思考者によって、世界は変えられた。目が覚めると、そこは公園。

「   は何処に行ったのだろう……」

私はまた、知るはずもない女性を探す。

「トキ、人探しかい?」

背後から声を掛けられ、振り向くとそこには――――

「……!!」

私の目の前であの言葉を言った人が気味悪い笑みを浮かべ、立っていた。

「そう、僕が新たなネガティブ思考者。……て言っても、ネガティブ思考はあまりしないけどね」

「……どういうこと?」

「正確に言うと、能力を使えるってことだよ。ネガティブ思考症の能力がね」

「え……」

能力が使える……? いや、実際にネガティブ思考症にかかっていないと、使えないのでは……? この人は一体何者なんだ……?

「……僕は能力者。 どんな能力も使える者だよ」

「……。   は何処にいるの?」

私はまたもや、知らない名を呟く。

「トキ、まだその女を探してる訳? 名しか知らぬ女性を」

「……だって、私の名付け親だから」


 私は前の前の世界にいた頃、ネガティブ思考症で隔離病棟にいた。身体と口の自由を奪われ、縛られる毎日。そんな時、一人の看護師と出会う。その女性は異世界から来て、今はある理由でこの世界で見習い看護師として、滞在しているのだと言う。

「ネガティブ思考症……。私の世界で言う、鬱病よね」

そう、彼女は言って私を見た。

「……この世界は――」

「〝残酷だ〟でしょ? 今は言わないで。……貴方をこんな思いにさせる世界は確かに残酷だよ……。でも私はね、この世界はその為だけに作られた訳じゃないと思うの」

彼女はとても前向きだった。異世界から来た彼女ですらも、この世界を残酷だと言ってくれた。私はこの人となら、幸せになれるんじゃないかと思った。

「……私は   。貴方は?」

名を名乗った彼女。でも私には名がなかった。

「……。トキ……なんてどう?」

私は嬉しかった。私を必要としてくれる人がいて、その人に名前を付けてもらえることが。

「今日から貴方はトキだよ」

彼女はキラキラ笑顔を出す。私も彼女みたいに笑えたらいいのに……。


 「彼女の名は分かる。……そう、キラル。でも顔が分からない。前の世界では、自然に彼女だと分かった。でも、貴方に変えられた世界では、何故か顔が出なかった。分かるのは笑った顔と名前だけ……」

私は彼に今までのことを話した。

「なるほどね。それでそこまであの女を。でも、残念。彼女はもうこの世界にいないよ」

「!?」

「彼女は、僕の世界変化によって、自分の世界を壊され、死んだ……」

「!! ……キラル……」

「もう会えないことを悔やむことだな。……これからは僕が君の傍にいるよ」

彼は私に手を伸ばす。だけど私は手を払う。

「……ふざけないで……。やっと……やっと幸せになれると思ったのに……。やっとこの病が治ると思ったのに……!!」

「トキ、まさか――――」

「さよなら。お前なんか消えればいいのに……。どうせお前は消える」

「!! やめ…………ろ……」

「キラルを私から奪ったこと、後悔することよ……。もう私には何も残ってない……から……」

そう言って、私は一人の能力者を消した。


 『彼女は死んだ……』

そう、能力者は告げた。私の精神は壊れかけていた。

「もう……あの言葉言ってもキラルはもう戻ってこない……。……死んだ方が会えるのかな……キラル」

私はこの世界に絶望を感じた。


 この世界は残酷だ。何回も何回も思い続けた。私の病は悪化した。もはやこの世界を信じられなくなっている。あの後、私はもう一度、あの言葉を言ってみた。でもやっぱり何処にもキラルはいなくて……。この世界の存在意味が分からない。先が真っ黒。何も見えない。

「どうせキラルは来る……どうせ来る……」

ネガティブ思考して、祈る私。

……どうか……来て……キラル……

 時間はどんどん過ぎていく。いくら待っても、キラルは来ない。

「……キラル……。貴方は本当に死んじゃったの……?」

それでも待ち続けた。すると、

「……ごめん……トキ……」

声が聞こえた。 懐かしい声……。

「……キラル?」

「……そうだよ、トキ」

私は振り向く。涙いっぱいに溜めた目を思いっきり開く。記憶が思い出されていく――――……。

「トキ……ごめんね。置いて行って……」

なんでこんなに悲しいのだろう。許したい気持ちでいっぱいなのに、私は――

「何で……置いて行った……?」

……こんなにも、怒りがあるのだろう。いや、これは怒りじゃない……。悲しいんだ。辛いんだ。

「……っ。私だって貴方を置いて行きたくなかった……! でも……」

「あの能力者によって、殺された……そうでしょ……?」

「……。ごめんね、トキ……ごめん……」

キラルは泣き崩れた。

「……ごめん、キラル。怒るつもりじゃなかった……」

「分かってるよ……。貴方は一人で、辛かったんだよね……寂しかったんだよね……」

「……うん」

「ごめん……寂しい思いさせて……」

「……もう、何処にも行かない……?」

馬鹿だ。キラルはもう死んでいてこの世界に、長くはいられないのに。傍にいてほしいだなんて……。

「……うん、いるよ。貴方が私のことを忘れない限り、私は貴方の傍にいるよ」

「……キラル……貴方のことは絶対に忘れない……。一生忘れない……!!」

私は泣いた。病になってから初めて泣いた気がした。でも……なんで……こんなにも涙が出るんだろう……。こんなにも……温かい涙。

「……嬉しいよ。貴方にそう言ってもらえて。……ありがとう」

キラルが輝きだす。もういられないらしい。

「……キラル!」

「……トキ?」

「貴方のこと、愛してるから……! ……誰よりも」

「!! ……私も愛してる、トキ。誰よりも貴方を……」

「……うん。ありがとう」

「……さよなら、トキ……」

輝きがさらに増す――――――――……


 目が覚めるとそこは、誰かの部屋。起き上がろうとすると、急に痛みが走る。つい、目を閉じると

「あ、気が付いた?」

声が聞こえた。そっと目を開ける。

「あまり無理しない方がいいよ」

「……え?」

「君、そこの近くで気を失ってたんだよ」

看護してくれた人の言葉を聞き、私ははっと思い出す。キラルが消えゆく中、さらに増す光が眩しすぎて、気を失ったんだ……。でも……もう、キラルはいない。今度こそ、ネガティブ思考して祈っても、来ない……。

「……っ。うぅ……」

私は涙を流した。流し出すと、止まらなかった。どんどん流れる涙……。

「……辛かったんだね……。悲しかったよね……」

看護の人がかける言葉は、あまりにも温かくて……キラルと重なった。

『でも、もう大丈夫。私がいるから……』

なんて優しい言葉……。温かい……。

「……うん」

ありがとう……キラル。


 「落ち着いた?」

そう、看護の人は声を掛ける。

「ありがとうございました。……なんかすみません……」

「いや、いいよ。君も辛い思い、したんでしょ……? きっと大事な人を失ったんだな……って思ったよ……」

「!? ……どう……して……」

「……かつて、私もそうだったからさ。君を見て、昔の私を思い出したよ。私も、ネガティブ思考症だったの。今は違うけどね……」

「……そうだったんですか……」

「……私も大事な人がいたの。私の病など気にせずに、私と仲良くしてくれた。でも……」

「い、いいです。もう分かりますから」

「……うん。……ねぇ、私と友達にならない?」

「え……?」

「君の役に立ちたいの。今度は私が誰かの為に働く番。それできっと……あの人への恩返しになると思うの。それに……君の傍にいたいしね」

私はつい目を見開く。嬉しかった。

「……私も、大事な人への恩返しをしたい。そして、貴方へお礼がしたい。だから……私は、貴方の傍にいる」

「……! ありがとう……えっと……」

「私はトキ。貴方は?」

「私は……アミン。トキ、ありがとう」

「ううん、アミンこそ……。こんな私を救ってくれてありがとう」

「お互い様だよ。それより、トキはこれまで何回、世界を変えてきた?」

「2回ぐらい……。いや、もっとあるかもしれないけど、私、昔の記憶がなくて……」

「……そっか。私は10~11回は世界を変えてるよ……」

「……そんなに……」

「うん。私は5歳の時から、ネガティブ思考症で、能力も十分、使えたの。私の両親が、私を愛してくれる親に変わるまで、世界を変え続けた」

「……アミン……」

「でも、両親は完全には変わることなく死んだ。最後に言ったこと……それは〝本当は愛していた〟という後悔の言葉だった。私はそれを聞いた時、自分は何ということしたのだろうと、自分を責めたよ。そんな時、私はあの人と出会った。そう、大切な人。彼女は私を見つけて、〝そんなに責めないで……。貴方はきっと悪くない〟って言ってくれたの。私は今度こそ、失わないようにしようと思ったんだけど……」

「……誰かの世界変化に、彼女は巻き込まれた……?」

「……! どうしてそれを……?」

「……実は、私の大切な人もそうだった。私の場合は、ある能力者によって……だけど……」

「……そっか……」

アミンはこれ以上、聞いてこなかった。お互い、辛いことを経験してきたのだと、分かったからだ。

「……アミン、どうやってネガティブ思考症を治したの?」

「あぁ、それは分からないんだ……。自分でポジティブに考えようとして、しばらくしたら、いつの間にか治ってたんだ……」

「そんな早くに!! ……でも、私はアミンより強くない。しかも、大切な人は、最近死んじゃったし……」

そう、アミンの大切な人はきっとかなり前に……だろう。でも、私の大切な人……キラルはついさっき、消えていった。そう簡単に明るくなれなかった。


 アミンと会って、数年は経つ。私は未だに、キラルの死を受け入れられなかった。アミンは私に

「最初はそういう物だよ。時間かけてゆっくり落ち着かせたらいいよ」

と言ってくれた。このまま、アミンと過ごせばキラルの死を受け入れていけるのだろうか……。でも、アミンといると、辛さを忘れられることは、事実だ。

「……トキ? どうしたの……?」

と、アミンは心配そうに尋ねた。

「あ、ううん。何でもないよ。ちょっと考え事してただけ……」

「……そっか。あ、そういえば今日は、この世界に来て半年……だったのよね?」

「あ、そういえばそうだったね」

「同じく。私と会った日でもあるけど……」

「そうだね……。あの時は本当、この世界に絶望を感じてたなー……」

「トキにとっては、大切な人を失った日でもあるからね……」

「うん。でも、アミンに会えたから……この悲しみは楽になった。まだ悲しみは残るけど……それでも、もう生きていく理由、見つけたから」

「……強くなったね、トキ」

「へ?」

「あの時のトキとは、大違いの強さだよ。もう、私より強いよ」

「それはないよ……。私はまだまだ弱い。でもいつか、大切な人やアミンみたいに、強くなりたいと思ってるよ」

「……そっか。トキ、これからも、一緒に歩いて行こうね」

「あ……」

私はキラルとの最後の別れの言葉を思い出す。

『……うん、いるよ。貴方が私のことを忘れない限り、私は貴方の傍にいるよ』

キラルの言葉はいつも温かった。アミンの言葉はキラルの言葉と同じくらいに温かくて、私はドキドキしながら精一杯の笑顔で――

「うん」

こう、アミンに告げた――――――……。


―続―

いかがだったでしょうか? 第一章と第二章はかなり前に書いた物なので、書いた物を修正しながらの投稿でした。まだ続きます。最後にこの小説に関わった全ての方に感謝しつつ、後書きとさせていただきます。ありがとうございました! それでは皆様、また第三章でもお会いしましょう~!


※この小説の内容はフィクションであり、ネガティブ思考症は架空の病です。

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