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~第一章~

こんにちは、リルンです。今回、初めて投稿させていただきます。下手ですが、どうかよろしくお願いします。感想頂けると、今後の執筆活動にて、参考にします。お願いします!

※この小説にはネガティブな思考が含まれます。苦手な方は回れ右して下さい。大丈夫な方はそのまま読んでいって下さい。

 この世界は残酷だ。何回も何回も思ったこと。このようにしか、考えられない私。そう、これがネガティブ思考症。貴方達の世界で言えば、「鬱病」に近いだろう。でも、この病は多分それよりも、もっと酷い。ネガティブ思考すると同時に、世界はそれと同じようになり、思考者をもっとそう思わせる……という感じだ。

 そんな訳で今、私は隔離病棟にいる。酷いことだ。口を塞がれ、何も言えないようにされ、身体も紐で縛られ、身動きが取れない。病室は白い所が黒ずんでいて汚かった。看護が来るのは、一年に一回ぐらい。だけど、どの人も私を見ようとしなかった。さっさと仕事を済ませて、そそくさ出ていく。

「……」

何も言えない。病室は物凄く静かだ。

「……っ……」

涙が滲み出てきた。枯れていたはずの涙は、まだまだ出てくるらしい。こういう時は寝るのが一番だ。私は動けないまま、そっと目を閉じる。


 十分寝て、目が覚める。いつもの部屋だった。でも、身体の縛りが無くなっていた。

「!!」

自由に動かせた。さらに、口の塞ぎも消えていた。

「……何がどうなってる……?」

いきなりの不幸からの脱出に戸惑う私。

「……大丈夫……?」

「!?」

私以外の声に振り向く。そこには一人の女性。

「縛られていたからね。さすがに酷すぎるもの」

「…………」

私はじっと女性を見つめる。

「私は此処の看護師なの。……まぁ、見習いだけどね」

「……看護師……」

「そう。……で、新たに私が貴方の担当になったの。でも……まさか、こんなに酷い処置されていたなんて……」

看護師の女性は明らかに悲し気な顔で私を見る。

「……知ってる? 私の病名――――」

「ネガティブ思考症……でしょ?」

「!!」

「私の世界で言うと、鬱病。でもこの世界には、もっと酷い病があるんだね……」

「……貴方は何者?」

「……私は、異世界から来た看護師。この世界のことは詳しいよ」

「……この世界は――」

「〝残酷だ〟でしょ? 今は言わないで。言っていい時は、どうしようもなくなった時。その時に言えば、きっと世界は変わる。貴方をこんな思いにさせるこの世界は確かに残酷だよ……。でも私はね、この世界はその為だけに作られた訳じゃないと思うの」

残酷な状況を作り出すためだけの世界ではない……ということなのか? 私にはよく分からなかった。でも何故か心が楽になった気がした。

「……。私、貴方みたいな人と出会ったの、初めて」

私をこんな気持ちにさせたのは……この女性が初めてだった。今まで家族だった人にも周りの人達にも軽蔑され続けた。だから優しくされるのに慣れていなかった。これが……嬉しいって気持ち。これがきっと安心という感情。するとふと、

「……私はキラル。貴方は?」

名前を聞かれた。そういえば、私に名前なんてあったっけ……。いや、ない。私は名前という存在を知らずに今まで生きてきたから……。

「…………」

「……ん? どうしたの?」

キラルに聞かれ、はっと我に返る。慌てて回答を考える。そして思いついた。

「……私、名前ない。だから、キラル。貴方が私の名前、付けるの」

そう言うと、キラルは目を見開く。

「え……! いいの……? こんな私なんかで……」

コクリ。私は頷く。

「んー……。何がいいかな……」

私の名前を考えるキラル。

「……。 トキ……なんてどう?」

そう提案される。自分に言い聞かせるように呟いてみる。

「……トキ。……私はトキ……」

その様子に、

「え……!? 嫌だった?」

そう言って、キラルは慌てる。

「……いい。トキでいいよ」

そう、私は告げる。

「良かった……。じゃあ、今日から貴方はトキだよ」

キラルはにこっと笑った。私はその笑顔が輝いて見えた。気がした。


 気付くと、朝。もうキラルはいなかった。いつの間に寝てしまったんだろう。でも、キラルは来ない。そう、もう来ないのだ。

「!!」

ネガティブ思考をしてしまった。これでもう本当の本当にキラルは来ない。

「……キラル。短い間だったけど、ありがとう。でも、もう貴方とは会えない。……いい? 言っても。言って、世界は変わるのかな? ……ねぇ、キラル」

独りで呟く。無機質で汚い病室は空しく私の声を響かせる。結局私は、独りなのだ。どうあがいても、この運命は変えられない。……そんな世界はこれっぽちも…………

いらない――――――

「この世界は残酷だ……!!」

変わりゆく世界。意識も遠ざかる。それでも私はキラルの言う、世界変化が起きることを祈った――……


 目が覚めると、そこは部屋。真っ白で何にもない。そこに一人、女性が立っていた。女性は誰かを待っているようだった。

「   !」

私は知るはずもない女性の名前を呼ぶ。振り向いた女性は、前に見たことがあるにこっと笑い、私を見て言った。

「――――――トキ!」

 世界は変わった。別世界に。そこは、ある女性がいた世界。私が前の世界で出会った女性。今度こそ、幸せになれるのかもしれない。ようやく……やっと……。


 …………

………………

「    。トキ――――」

「   ――――――」

『この世界は――残酷だっ!!』

「――――――――」

トキが幸せになったことで、新たなネガティブ思考者。その者によって、世界は再び変えられた――。


―続―

ここまで読んで下さり、ありがとうございました! いかがだったでしょうか? あんまり……だと思った方……。すみません……。読みやすく、面白い物作れるよう頑張ります……! さて次回、第二章はいつ投稿出来るか分かりませんが、絶対投稿しますので、待っていて下さい! 最後になりますが、この小説に関わった全ての方に感謝しつつ、後書きにさせていただきます。それでは皆様、また第二章でお会いしましょう~!

※この小説はフィクションであり、ネガティブ思考症は架空の病です。

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