表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/427

神器について

 神託者が(まれ)な存在であることからも分かる通り、神が人に対して奇跡を直接(ほどこ)してくれることは滅多(めった)にない。

 なので人が神の力を目の当たりにする機会は、神器を通じて、という形が最も多い。


 神々が権能の一部を用いて生みだす聖遺物(アーティファクト)

 その力は海を割り、幻獣を手懐(てなづ)け、砂漠を森に変える。

 奇跡を起こすアイテムという意味では魔具に近いが、出力が段違いだ。


 形状は様々。

 あるものは武具であったり。

 あるものは文具であったり。

 神が込めた『機能』を発揮するのに、一番無理のない形状をしているそうだ。

 中には液体のものもあるとか。


 有名どころでは、オレとイグナも見た共鳴神の『百腕天秤(ひゃくうでてんびん)』と『百腕巨人』。

 (いつわ)りを焼き尽くして真実を浮かび上がらせる、解放神の『合わせ鏡』。

 損壊(そんかい)した部位を無かったかのように取り除く、医療神の『三つ首(はさみ)』。

 雷雲を飼い慣らす、雷鳴神の『宝剣』。などなど。


 大抵の神器は、神自身が使うことを想定されたものである。

 そのため人が扱うには少々余り、使用はされずに神殿等に安置され(まつ)られるのが普通だ。

 置いておくだけでも、時たま神器は力を発揮する。発散される神威は人に影響を与え、俗っぽく言ってしまえばパワースポットとなる。

 ごくごく稀有(けう)な、それこそ神託者の存在より数少ない事例としてだが、神器に適合し自在に使用できる者が現れることもあるというが。


 基本的に、神器に宿る力は無尽蔵(むじんぞう)である。神は完全で無限だからだ。

 それを創り出した神が、信仰を(たも)ってさえいればまず不滅。

 また祈り信じる力が強まれば、神器も力を増すのだそうだ。

 この辺はオレたち神託者と同様か。


 神器が人の手に渡る経緯(いきさつ)も様々。

 千年前、まだ神が地上にいた頃に、落としていったものが発見されるパターン。

 敬虔(けいけん)な信者へ、神が(むく)いとして(おく)るパターン。

 生物以外が神に取り立てられ、神格を得たパターン。


 神器発見は、『扉の樹』と並ぶ冒険者(あこが)れの成果だ。

 そのため彼らは熱心に神話の知識を(たくわ)え、神の足跡(そくせき)が残る場所へ(おもむ)く。

 眠る神器を最初に起こした者には、しかるべき力が与えられるとの(うわさ)も。……これはどうも、「扉の樹から最初の鍵をもいだ者は~」と引っ掛けた眉唾(まゆつば)らしいが。


 レドラムダ女帝が先祖より受け継ぎ、保有するという平定神の神器。

 それは一体どんな形状か。

 それは一体どんな機能を持つのか。

 身体を創り出す力がある、とはいうが、それは『平定神』から連想される能力じゃあない。となると真の機能は別にあって、それを上手いこと転用していると見るべきだろう。

 詳細が是非とも知りたいが、今のままでは難しい。

 とりあえず最初のダンジョンを制覇し、その報酬として話してもらうのがベストか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ