『フリースタイル/Farewell』
「生死即涅槃、涅槃即生死」という知識
を新しく手に入れた日曜日 仏具の音は響き
俺の親父が涙するのをはじめて見たが
俺の心はその景色だけを胸に収めた
田舎の葬式は ぼんやりと のどかで
オトナでもコドモでもある大人たちが寄り合う
「よしなよ」ってな具合にしゃべりも軽妙で
しきたりと 見栄っぱりと 内なる敵と 閉塞的
婆さんが死んだことに涙は出ない
「この遺伝子が俺に混ざっていなければ…」
狭い視界の中で"もしも"ばかりが広くなって
物悲しさも男らしさを出すことにも
心の余裕を割り当てる気持ちも湧かなかった
だから最後まで俺は泣かなかった
戒名は 「とにかく詩や書くことが好きだった」
事に因むと教えられ 俺はまたラッパーになった
文の彩り 常に香る
枯れないインクが血のように筆に通う
国で きっと表現活動を続ける祖母へ
I pray, pray for your eternal happiness.