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王と勇者の異世界日記  作者: 塩とわかめ
-- 1章 サンクとキリア --
9/15

【9話】サンクとアル

すっかり彼はいじられキャラとして定着しましたね。

実は当初、登場予定なかったりします。

「では、こちらの書類はここにサインを。こっちは、ここにお願いします」


「あぁ、ここだね」


「はい、ありがとうございます。……珈琲でも飲まれますか?」


「あ、あぁ。お願いしようかな」


 だ、だ、だ、だめだあああああああああ。

 普通にできねぇ………………。

 なんなんだこの空気は!! 重い! 空気が重い!!!

 こんな時に限ってカズキは来ねぇし! いや、今カズキ来たら、なおさら俺の空気が重くなりそうだけどもっ!

 俺が悪いのはわかってるよ……。原因は俺なんだけどさ……。

 キリアも、なんか微妙だ。いつもと少し違う感じがする……。

 いつも美味い珈琲が、こんなに苦く感じるなんてな……。



「サンク様、よろしいですか?」


「ん、どうした?」


「それが……例の山脈の麓の集落なのですが、少しトラブルが発生しているらしく、至急来てくれないかとのことなのですが……」


「キリアが直接向かわないと行けないような?」


「会計の問題で村同士が揉めてるらしく……」


「あぁ、それはどうしようもないか……」


「こちらに火急の事案もないですし、少し行ってまいります。なるべく早く戻りますので」


「あぁ、こっちのことは俺らが残るし心配しなくていいよ。もしものときはミント様にでも頼るよ」


「はい……それでは」





 もうちょっと引き止めた方が自然だったかなぁ……。でも、あの場合はあれで問題無いか。

 追い出したい、訳じゃないんだけどな。なんか寂しいし。

 でも、1人気楽だ………。

 ふぅ。にしても、なんか1人だと何をしていいものやら、わかんなくなるなぁ。

 そんだけキリアに任せっきりだったってことだなぁ。これはちょっと反省しないとな。





「あれ、キリアさんに纏めてもらいたい書類あったんだけど、キリアさんは?」

「キリア様、この案件なんですが…あれ、キリア様は?」

「キリア様ああああ、街角でトラブルが……ってキリア様は?」

「キリア様、またうちの猫が逃げ出したんですけど、探してもらえませんかー? ってあれ?」

「キリア様ー……?」

「キリアさーん……」

「キリア様ああああ……」


 だ、ダメだ……ちょっとキリアが城を空けただけでこれとか、みんなどんだけキリアに頼ってんだよ!

 って俺も、人のこと言えないんだけどさ……。



「えーっと……! こっちの書類はここにサインで……この案件は急ぎじゃないから後回しっ! これとこれは今日やらないとだから……あー! くそ!! 多過ぎ!! アルー! これ、そっちで先に処理よろしく!!」


「はいはい……。あー代わりにこれそちらで先にお願いします! とりあえず内容のチェックだけしてもらえれば、後はこちらに戻して下さい、あとこれ追加でさっき届いた分です!」


「だーーー! 次から次へとーーー! 全然減らんぞこれ!! うーーよし! これチェック完了、あとよろしく! 珈琲おかわりくれー!」


「はい、ありがとうございます! これはこっちの書類とセットで……よし。珈琲はご自分でお願いしますっ! あと、とりあえず今日の受付は終了してもらいましたので、とりあえずこの山を片付けたらなんとか終わりですのでがんばりましょう!」


「これ終わったらって、マジで山脈なんだが……おぉそうだ。勇者に吹き飛ばしてもらおうぜ、コレ。よし、アル! 勇者に依頼の書類を!!」


「現実逃避してないで、とりあえず片付けて行って下さいよっ! 珈琲飲んでサボらないっ!」


「くそう……ひと時の珈琲ブレイクも許されないのか……ほい、アルの分。よし、ぬぅわぁぁーーやるかぁぁーー」


「あ、ありがとうございます……。って…………なんで俺がサンク様の書斎で政務処理の手伝いやらされてんですかーーーーーー!!!!」


「何を今更。ほら、口じゃなくて手を動かす、ほらほら!」


「うぅ……重要任務の話っていうからほいほい来たら、何故俺がこんな機密満載の仕事を……」


「大丈夫、君は2番隊隊長だ。国の重要な任務も任される立場だ。しかも裏も表も、ね? 早めに自国の内情については把握しとくと、極秘任務が来た時に成果を出しやすいってもんだ。てことで、この書類も纏めてね。あ、それ流出したらヤバイレベルの国家機密書類だから、くれぐれも気を付けてね☆」


「言ってることがあながち間違ってないあたりがにくいです……。他言なんてしませんよ、流石に機密漏洩の危うさくらいは心得てます……。だからって、国家機密をポイポイ投げないでーーーっ!!」





「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。終わったああああああああ」」


「アル、サンキューな。なんとか一通り終わったな……」


「いえ、流石にもう書類はしばらく見たくないですが……あ、これ珈琲です。どうぞ」


「おぉ、気がきくねぇ。ズズッ。あーー染みる………」


「それにしても、これ、キリアさん1人で回してたんですよね? いつも涼しい顔してるように見えるんですが……」


「優秀なのはわかってた筈なんだが、これは想定以上だな……アル、キリアのサポートで秘書官に異動出していい?」


「やめて下さいよ、ようやく隊長の仕事覚え始めたとこなんですから……俺は現場があってます。今日確信しました……」


「まぁ、今日のところはこれで終わりだし、今からちょっと呑みにでも行くかい?」


「あ、いいですね。行きましょうか、癒されたいです……」


「ほほほほほう。ミキちゃんと会って癒されたい、とな?!」


「え、いやっ、ちょ! そういう……」


「サンクリード様っ! 遅くに失礼しますっ!!」


「ん? どうした?」


「緊急事態です! マダル平原より、王都に向かって魔物の群れが進行中との報告が入りました!!」


「何だと?! 今まで大群で押し寄せてくることなんてなかったのに何故……その情報に間違いはないのか?」


「間違いないですね……。こちらにも斥候に出ていた隊員から、コネクトで報告がありました……大体ですが、約1000の魔物がこちらに向かっていると」


「コネクト……通信魔法か! 2番隊からも同じ報告ってことは、間違いなさそうだな……。アルから連絡をとることも可能か?」


「はい。制限はありますが、隊長達や2番隊隊員なんかには問題無く」


「よし、ガンダとルナ、それとミント様に連絡を。俺も繋いで貰えば話せるのか?」


「はい、全員と疎通が可能です。繋ぎますね」


(こちら2番隊のアルです。緊急事態発生。コネクトで接続させて頂いています。2番隊アルです。聞こえますか?)


(ガンダだ。魔物の件だな、聞こえている)


(ルナ……。問題、無…し)


「ミント様は城外に出ておられそうですね。通じません」


「わかった。それは仕方ないよ、緊急だ」


(サンクリードだ。緊急事態につき指揮をとらせてもらうよ。ガンダは、今集められる騎士団員を集めて城門から1kmのところに簡易の陣を張ってくれ。そこが最終防衛ラインだ。ルナも1番隊を集めてガンダと共に陣へ。アルはここで俺の補佐を。2番隊員には散開させて情報を集めさせてくれ。他に問題は?)


(承知致しました。すぐに向かいます)


(がっ…てん、しょう、ち)


(すぐに行います。コネクトはこのまま継続しますので、何かあればこのラインを使って連絡して下さい)





「アル、2番隊への指示が終わったら、コネクトについて少し聞いてもいいか」


「………はい、もう大丈夫です」


「その魔法、通信相手の現在位置とか把握することは出来ないのか?」


「術者の魔力により精度は変わりますが、俺の能力でしたら2番隊の場所把握くらいまでならば、多少の誤差は出るかもしれませんが可能ですよ」


「よし。ちょっと近辺の大きめの地図を持ってきてくれるか! アル、持ってきてもらったら、そこに隊員の位置と、報告からの魔物の配置みたいなものを書けるか?」


「なるほど……わかりました!」




「こんな感じ……ですかね。大まかは合ってるはずです。ガンダ様達が城壁から1kmのこの位置。魔物の群れはそこから約5kmのこの辺りまで来ています。陣形とかはなく、ひと塊でこちらに向かっているようですね」


「うん、思ったよりいい感じに把握できそうだな。人力ポジショニングシステム! JPSと呼ぼう!! まぁ名前なんてどうでもいいや」


(ガンダ、ルナ、こちらで魔物との位置関係をおおよそ把握した。群れとの距離は約5km。もうすぐぼんやりと見えて来てもおかしくない距離まで来ているはずだ。両軍500mほど前進。騎士団は列に広がって魔物の進行を止めてくれ。魔撃団は後方から敵後方を狙って殲滅だ! 討ち漏らしは魔撃団2番隊を中心に各個撃破。遊撃として、陣の位置に精鋭を少し残せるか?)


(最前列はお任せ下さい! ど真ん中は私が抑えます!!)


(殿は、ルナがのこ…る。ガン、ダ様が抜かれた…ら、全員…ぶっ、コロ…!)


 ガ、ガンダさん、負けたら味方に殺されちゃうらしいのでがんばってくらはいね……。


(ははははは! 負ける事などありえんわ! 出発前にリンカにがんばってねと言われたからな!! 今日の俺は何ものにも負けんぞ!!)


(まぁ、この布陣で負ける気はしないがな。たかが魔物の群れ、存分に蹴散らしてこい!! 残り距離3kmだ。群れは確認できるな? 範囲に入ったら先制でカマしていいぞ、魔撃団。何かあれば追って指示は出すが、基本的にはイレギュラーはこっちで2番隊をメインに対処する。先制したらあとは、現場の判断に任せる)


((はいっ!))




(魔撃…団、群れを…射程に捉え、ます。ふるぼっ…こ!)


「よし、一先ずあとは2人に任せたら安心だろう。アル、抜かりはないな?」


「勿論です。こっちのラインで随時報告と索敵をさせています。ありんこ1匹通しませんよ」


「ふむ。状況がリアルタイムにわかるのはいいんだが、欲を言えば映像があればなお良しだなぁ。そんな魔法ないの?」


「映像をリアルタイムに送る魔法は無くはないんですが、コスパが悪いもんで使える者がかなり少ないんですよねぇ…」


「うーん、そういう事なら厳しいかぁ。まぁJPSだけでも戦況の把握はかなり出来るから良しとするか」


「現在位置特定なんて、普通は結構遠くにいるんだなぁくらいにしか使わない、感覚的なものでしたからね。まさか地図と組み合わせて、こんなにも戦況把握に役立つとは思いもしませんでした」


 元の世界のGPSからの発想だもんなぁ……ドヤ顔で発想力の違いだとか言えねぇなw


「………ほぼ殲滅完了したみたいです。あとは群れから少し散った魔物を抑えきれば……良し。1匹の討ち漏らしも無し、殲滅完了です」


「よし、わかった」


(ガンダ、ルナ、お疲れ様。2番隊からの報告で、殲滅完了とのことだ。被害状況はどうだ?)


(こちらは多少の怪我人はいますが、全て軽傷で、既にヒールを受けて完治しております。私は暴れ足りないくらいですな!)


(魔撃…団は、怪我人、無…し。騎士団、員に感…謝)


(2番隊も問題無しです。騎士団の方々のお陰で遊撃は殆ど暇だったようですよ)


(よし。みんな遅くにご苦労様。隊員達にも、直接言えなくてすまないが、ありがとうと伝えておいてくれ。それでは戻り次第解散だ。3人共明日の昼まででいいから簡単な報告書を頼む)


(((わかりました!)))


「アル、おつかれさん。呑みは流石に延期だな。念の為明日の朝、空いてる隊員に少し周辺を探らせておいてくれ。アルの報告書はその斥候報告を中心に頼む。明日の朝にはキリアも戻る予定だから、残念ながら秘書官の仕事は終わりだなw」


「呑みは残念でしたが、良い知らせ、ありがとうございます。残念ながら、俺は通常任務に戻りますね。周辺探索は隅々までやらせておきます。それではおやすみなさいませ」


「あぁ、今日は助かったよ。ありがとう」



「あぁ………やっっと終わったぁぁ……」

 マジで今日は疲れた……風呂、入らなきゃな……でも、身体うごか…ん。ねむ…く…て……頭、まわん…ね…………。







「……お、すっげ……力!! カズ……魔法だ………法! やべー……w カッケーww」

「俺も出せ……ww 剣のウデも………マサ……これな……にも負ける気しね……なwww」


 なんだ………これ。夢…か?


「俺はやっ………剣かなぁww カズキ………にするん?」

「漢はだまっ………だろ!ww この重………がた……ねぇよ!」

「……じゃ、ギル………探すか! 定……もんな!」


 ヤメロヨ……ヤメロ…………。


「………だ、あいつら。気にいら………な、マジで。奴………度とか本気…………ねぇ」

「マサトは昔か………だよなぁw 気に……ないな……………しちまえよww 王………でもな…………隷………自体をぶ…………ちまえば………だよwww」


 モウヤメロッテ。ヤメロヨ。


「ぅ、あ、あ、…………ががぁぁああなああ………あああ!!!!」

「マサ……………めろ!や………って!!お前………くない!仕方……かっ………んだよ!!!」

「ぁぁああぁあぁあぁああああがああああああああ!!!」



 ウワアアアアアアアアアアアア!!!!!!


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