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王と勇者の異世界日記  作者: 塩とわかめ
-- 1章 サンクとキリア --
3/15

【3話】サンクと2番隊隊員

自分で書いててなんですが、キリアさんの淹れた珈琲が飲んでみたい。

作者の珈琲好きが、作中にモロに出ております。

「ん? これって…。キリア、この報告書なんだけどさ」


「はい。これは…あぁ、先日の魔撃団の隊員の方からですね。近隣の魔物は討伐されたんですが、山脈の麓あたりはまだのようで、他からも被害報告は少しですがあがってきています」


「中でもこれちょっと気になるな。この隊員から直接話聞けないかな?」


「ルナさんに言って、すぐ手配致します」


「頼むよ、助かる」


 定期的な村人の被害…ちょっと人為的なものを感じる…。

 しかも毎回被害は大したことないみたいだし。少し違和感を覚えるな。





「失礼しますっ! 魔撃団2番隊、アル・グランツです!」


「お、来たか。入っていいよ、そこのソファにでも座って。キリア…」


「はい、珈琲ですね。お持ち致しました」


 さ、流石キリアさん、言わずとも迅速な対応……マジ尊敬する程の神対応。


「失礼します。先日は無様な所をお見せしてしまい、すみませんでした!」


「あぁ、あれは気にしなくていいよ。ルナが規格外すぎるんだよ……。演習自体は両軍ともになかなかいい動きだったから、とても勉強になった。ちなみにアル君、遊軍を指揮してなかったっけ?」


「はい! 僭越ながら、私が奇襲を担当しておりましたっ!」


「あの遊軍の案はアル君が? 上から見ていても中々気付かなかったよ、いい手だったね。よくあんなに上手く死角に入り込んだなぁ」


「お褒めの言葉ありがとうございます! あれは、一時的に俯瞰(ふかん)視野を得ることのできる補助魔法がありまして、それを付与しながら行動しておりました」


「なるほど。そんな魔法もあるのか……地味だけどかなり強みのあるいい魔法だな。いや、本当に色々とおもしろい演習だったよ」


「そう言って頂けると……それで、今日はどうして私を……?」


「うん、アル君のあげてくれた報告書の内容について、ちょっと気になる点があったから来てもらったんだよ。これ、率直にどう思う?」


 ちょっと試すような言い方だけど、どこまで彼は頭が回るかな……?

 演習の件からして、結構な頭脳派……というか悪知恵が回りそうな感じだけど。


「はい。村人の被害に法則性が見られるため、魔物の被害に見せかけた人為的なもの……例えば盗賊や人攫いの影が見えるかと思い、被害規模はまだ小さいのですが報告させて頂きました」


「よし。アル君、君に決めた!」


「はぇ?!」


「うん、ちょっとこの件に関して個別に調べて欲しい。詳細はキリアに報告を。具体的には君の考えが正しかったかどうかの確認ってとこ。魔物の被害なのか、人為的なものなのか。………………人為的なものだとすれば、どこの組織が絡んでいるのか」


「わ、わかりました! 近日中に報告させて頂きます!」


「あぁ、頼んだ」




 くそっ。感情は表に出さない主義なんだがな。


「珈琲、お代わりお持ちしますね……。ブラックで、よろしいですか?」


「キリア………ありがとう。頼むよ」





「サンク様、先日のアルさんに頼まれていた件ですが、報告が来ました」


「それで? 奴等か?!」


「落ち着いて下さい。それは…あり得ませんよ……」


「いや、でも…! いや………そうだな、それはあり得ない話だな……。で、報告ではなんと?」


「はい、確かに人為的なものではありましたが、付近を縄張りとしている盗賊団、黒の翼の仕業であることを突き止めたと言うことです」


「黒の翼……か。確か結構大規模な盗賊団じゃなかったか?」


「えぇ、ですから恐らく分派か何かではないかと。あそこも一枚岩ではないとも聞きますし」


「そうか……。どうする? 魔撃団を派遣するか? いや、分母が大きい盗賊団なら、結構な数が潜んでいる可能性もあるか……」


「はい。アルさんからの報告も、その点については危惧しています。山脈の麓にアジトを構えている所までは突き止めたそうですが、実際の場所の特定にまでは至らなかったと」


「なら、あの手で行くか……。アル君には、あとはこちらで引き受けるから通常任務に戻るようにと伝えてくれ。ご苦労様、と」





「で、嫌なことを思い出させやがったクソヤロー共をぼっこぼこのフルボッコにしてこい、ってことか? マサト」


「いや、そう言うわけじゃ……ある、な。そうだな、そう言うことだ。ガチガチのフルボッコにして……って、やっぱルナにフルボッコ教えたのお前だろっ?!」


「あれ? バレた?w いいだろ? めっちゃかわいいじゃん、ルナちゃんw」


「まぁ、それは認める。でもびっくりしたわ、いきなりフルボッコとか言い出すからw」


「よし、いつものマサトだなw さーってと、んじゃ俺は、親友の望みを叶えにちょろっと行って来ますかねっ!」


「全く……カズキには敵わんなw いつもありがとな。助かる」


「そこは、愛してるーだろ?ww」


「うるせーw さっさと行ってこい!w」


「おkww まぁサクッと終わらせてくるよw」


「あぁ、頼んだ!」



「……………マサト。あんま無理すんなよ。俺らは2人でこの世界に来たんだ。1人で背負い込むことなんてなんもねぇ。キリアさんのことも、だ」


「あぁ……。わかってる」






「盗賊団の件ですが、無事にユーリさんが討伐してくれたそうです」


「流石、だな。仕事が早いわ、あいつは」


「なお、アジトを強襲した際に、アジトごと山脈麓を半分ほど吹き飛ばしたらしく、近辺の景色が一新されたそうです」


「流石だナァ!! いっつもあいつはァ!! 仕事が雑だわ!!」


「近隣の住民に被害は一切無いそうで、盗賊団も全員生存して捕まえたとのことですので……とりあえずは無事解決、という形にしておきましたが」


「あぁ……まぁそういう所は間違えない奴だからな……。勇者なだけはあるよ。それ以外は間違えないつもりすらない奴だけどな!!!」

「あ、そう言えばアル君にも礼をしないとな。謝罪も兼ねて、今夜あたりお忍びで呑みに行ってくる!」


「街へ呑みに行くいい口実だと思ってませんか……? 仕方ないですね。アルさんには私から伝えておきましょうか?」


「いや、いいよ。直接行ってくる。キリアも疲れただろ、今回の件は。今日はもう大丈夫だから、たまにはゆっくり休んでくれ」


「……お気遣い感謝します。では、今日はこれで。明日も6時に起こしますので、あまり呑みすぎないようにして下さいね」


「マジかよ?! たまの呑みの翌日くらいお寝坊させてくんないの?!」


「えぇ、それが私の仕事ですから」


 あぁ…やっぱりキリアはこうでなくちゃな。

 この笑顔が、たまらなく……………。






「あーるーくーん。あーそーぼーっ」


「サ、サンクリード様っ?! いきなりどうしたんですか?!」


「いや、今日はもう上がりだろ? 呑みに誘いにきた!」


「いやいや、その満面の笑みとサムズアップでいきなり来られても、驚きますって!」


「ほほう。王の誘いが断れるとでも思っているのかね? 魔撃団2番隊隊員クン?」


「………是非、お供させて頂きます」


「よろしい。んで、城下町でいい呑み屋知らない? あ、これから俺はリード君ね?サンクリード様とか呼んだら、キミ明日には左遷ね?」


「お忍び、ってことですね……。わかりました。よく行く幼馴染の店があるんですが、そこでもいいですか?」


「付き出しは何が出る?」


「日によって変わりますが……里芋の煮っころがしとか、その日取れた魚の刺身とか、あとは旬菜のてんぷらあたりですかね?」


「よし行こう! すぐ行こう! 今すぐ行こう!」


「わ、わかりました。リード……さん」


「リードでいいよ、リードで。あと、敬語も禁止な? 今から俺らは心友! 心の友と書いて心友だ!」


「そ、そんな無茶苦茶な……。まぁ、行きましょうか……」




「いらっしゃいませーー! あれ、アルじゃん。こっちテーブルどうぞー!」


「おう、ミキ。久しぶりー。今日はその……あれだ、友達連れてきたわ……」


「どもっすー。君が噂のミキちゃん? リードって言います、よろしく!」


「あ、よろしくお願いします! 噂……って? 何をペラペラ喋ったの? ア ル く ん??」


「いやいやいやいや、何も言ってないって! 本当に! 今日初めて! それに、幼馴染の店だって言っただけだし!」


「あ、この付き出しマジうめぇ……これぞ家庭の味。週3で通おうかな……。いや、キリアが怒るか………」


「ありがとうございますっ。たいしたもんはおいてませんが、ゆっくり寛いで行って下さいね! アルは、あとでオシオキねっ!」


「ちょっ! ホントになんでもないっての……。あ、俺ビールで。リード……は何にする?」


「あー俺もとりあえず同じで! あと、これとこれ……それとこれもお願いー」


「はぁーい! 少々お待ちくださいねーっ!」




「さて……と、アル君アル君。時に君、キリアのオシオキ発言の際にも、なんかニヤついていませんでしたかな?」


「イヤっ、ちょっ?! なんでそんなことっ」


「ちょっとお酒を増やしましょうか? そこんとこ詳しく聞きたいなーww」


「いやその……キリアさん美人ですし? そりゃまぁ俺も男ですし……」


「んで? ちょっと気の強そうな女の子にアル君は弱い、と? まさに彼女、ミキちゃんみたいなタイプが好みと?」


「ちょっと! そのニヤニヤなんなんですかーっ! ミキとは別にそんなんじゃなくて、ただの幼馴染で家が近所ってだけで……」


「まーーーったくかわいいとも思わないし、あの性格もタイプじゃないし、好きでもなーーーーーーんでもない、と?」


「だーーーー! わかりましたよ! そうですそうです!! ………昔からの片思いです…よ」


「ちょっと気が強そうな子がタイプだと。………わかる! わかるよ!! 俺もなー、キリアのあの目がたまらないんだよ! くだらないことを振ったあとに向けてくる、あのなんともいえない冷たい目線に……こうゾクゾクっと!」


「あー、リード! わかるよ! わかる! 俺もミキから向けられるバカじゃないの? って視線がたまらなくって……!」


「いやー、あの演習場でのキリアに対する態度を見て、君とは良い酒が呑めそうだと直感してたんだよ! 俺の目に狂いはなかった!!」


「俺もこんな楽しい酒は初めてです! まさかリードとこんな話をすることになるなんて……!」


「「今日は全力で呑み明かすぞーーー」」



「あの席盛り上がってるなぁ……どーせアルがバカな話散々してるんだろうけど……。うわ、なんか2人ともこっちみてニヤついてる気がする……バカ2人だ………」






 翌日……俺はキリアに散々怒られたと追記しておこう……。


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