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王と勇者の異世界日記  作者: 塩とわかめ
-- 1章 サンクとキリア --
15/15

【15話】サンクとキリア

(アル!! ユーリは、ユーリはどこにいる!!)


(こっちが聞きたいですよ! そこにいないんですか?! ついさっき、急に飛び出したかと思ったら通信が途絶えて……そちらの方角に飛び出しました! そちらに着いていないんですか?!)


(まさか………ホント、に…)


(まさかって何ですか?! 何があったんです!)


「う……そだ……。カズ…キが、そん…な」


「さんちゃん、しっかりして! まだ死んだと決まった訳じゃないわ!」


「死ん…だ? カズキ………が? 死………あぁぁあ………」


「サンク様っっ!!」


「きりちゃん?!」


「俺は……独り…。俺が、魔法の合…図を出した……。その魔法で、カズキ……が死ん……。俺が1人で勝手なことをした……か、ら。俺は独りにな…った……」


「サンク様!! 心配で待っていられなくて……何も出来ないのはわかっていますが、あとを追いかけてきたんです。ミント様、これは……どうして?! 何があったのですか?!」


「……アジトに向けて魔法を放つ瞬間、ゆーちゃんが中にいるかもしれない女の子を助けに、アジトに飛び込んで……」


「そんな………。アジトは…! 崩壊している…。あの中にユーリ様が?!」


「えぇ、飛び込んだのに気付いた時にはもう魔法は発動していて、止める暇なんてなかったわ……」


「ぁぁあ……カズ…キ」


「マサト。私がいるよ。マサトの隣には私がいる。どこにも行かないよ……。マサト……」


「………誰…が、抱きしめ……て……………。キリ、ア? キリア…か? キリアっ! カズキが……カズキが!」


「えぇ、聞いたわ。大丈夫よ。マサトは独りじゃないわ。独りになんかしない。私も、カズキも、あなたのことを独りになんかしないわ。大丈夫、大丈夫だから」


「キリア……キリア……っ!」



「しゃ、、ら、、、、く、せ、えええええええええええええ!!!!!!」


「なんだ?!」


 ガラガラガラッッ!!


「っっっだーーーーーー!!!」


 ドドーーーーン!!


「っっしゃーーー!! 勇者俺! 帰還!! 死ぬわ! こんなもんっっ!! いてぇわ!!!」


「生きて……いたの、か!」


「カズキ………いえ、ユーリ様!!」


「ゆーちゃん………あのバカ、死んでも死なない男ねー」


「勇者様ーーー!!!」

「ガレキから勇者様が出てきたぞーーー!!」

「女の子を抱えてるぞ?!」

「ま、まさか人質がまだ中に?!」

「勇者様は人質を助けに中に突入されたのか!」

「さすが勇者様だ!!!」

「勇者ユーリ万歳!!!!」


「よかっ……た。カズキ……よかった……」


「あーーー身体いてぇーー! 間一髪だった、流石に焦ったわ……。あ、キリアさん、この子を安全なところに」


「ゆーちゃん、ご苦労さまー。あー、うん。アゲハのみんなー! ぼさっとしてないでー、アジトの確認に行くわよー。ほら、逃げ出すやつがいないか確認よー。だーっしゅ」


「「「は、はいっ!」」」




「カズキ……よかった。生きててくれてよかった」


「マサト………ぬぅぅうおらッッ!!!」


 バキッッ!!!


「がぁっっぅ!! ガハッ。な、なにを……」


「お前、いつまで腑抜けてるつもりだ? なぁ。いい加減にしとけよ」


「カズキ………俺は! 腑抜けてなんか……」


「腑抜けてねぇってか? んじゃ間抜けか? アホか? バカなの? 死ぬの? なんでもかんでもなんでもかんでもなんでもかんでもなんでもかんでも1人で決めて1人で突っ走って1人で悩んで1人で落ち込んで………ふっざけんな!!!」


「う………………」


「頼れよ。話せよ。愚痴れよ。泣きにこいよ。ぜんっっぶまとめて一緒に背負ってやっからよ。1人で背負い込むなっつったろ。俺も、キリアも、ミント様だっているじゃねぇか。城にいりゃ、ガンダさんだって、ルナちゃんだって、アルっちだっている。みーーんなっ!お前のこと心配してんだ!! なんで誰にも言わねぇ。王様だからか?だったら王様なんて辞めちまえ。みんなで王様すりゃいいじゃねぇか。1人で全部抱え込むために、お前は王様になったのか? 俺たちはお前をそんな王様にするためにがんばったのか?ちげぇだろ、バカヤロー」


「カズキ、私もいい? 女の子は救護班の方に診てもらっているわ。ねぇマサト…………マサトは、バカよ。世界一のバカヤロー、だわ。ずっと1人で考え込んで、周りも見えなくなるほど悩んで、全部1人で背負い込んで……。ホントに……バカ……!」


「キリア………」


「あんなに近くに毎日いるのに……なんでいっぱい話してくれないの! 私のこと、大事に考えてくれてるのはわかるよ……けど、1人でなんとかしようとしないで! 一緒に、マサトと一緒に考えさせてよ………力になれないとしても、マサトと一緒に、マサトの隣にいさせてよ……」


「あぁ………ごめん。カズキ、キリア、ごめん。俺が間違ってた………ごめ、ん、なぁ……!!」


「っは! わかりゃいーの! ちゃんと泣きついてこいよっ!」


「マサト……。ぜーーんぶだからねっ! ぜーんぶ、ちゃんと話してね! そうじゃないと、私、許さないからっ!」


「うん……、必ず」




「サーーンーーク様ーーー!!!」


「アル……!」


「はぁ、はぁ、、ユーリさん! よかった、無事だったんですね! コネクトは途切れるし、サンク様は変なこと言い残して音信不通になるしで、心配で飛んで来ましたよ……」


「よゆーよゆーw 俺っち勇者サマだかんねww まぁ身体いてーけどw」


「安心しました。……サンク様、昨日からのことは、ユーリさんや隊長から全部聞きました。………魔撃団2番隊隊長、アル・グランツ! 後ほど如何様にも処分は受ける所存に有ります!!」


「え…??」


「この、大バカ王!!!! なんで1人で突っ走ってんですか!! 隊長、昨日の夜泣いてましたよ……! 俺や隊長にユーリさんにキリアさんにミント様にガンダ様に……その他大勢隊員達! みんなのことがそんっっなに信用置けませんか!!」


「あ、それ俺がもう言った。しかも1発殴ってから」


「う………あっと…、ち、ちゃんとみんなに頼ってください!! なんでも協力しますから! みんなで考えれば、いい案だってでるかもしれないじゃないですか!!」


「あ、それ私が言いました」


「なんだっけ、アル君。大バカ……なんだって?」


「え……あ、あばばばばばばば」


「サンク様、お許し下さいませ。アル君はどんな処分でも受けるらしいですよ?」


「アルっち男前だなーw 寒い地方に行くなら、あったかくして行けよ?ww」


「す、すんませんっっしたぁ!!」


「そうだな……じゃあ、アル君の処分は俺の悩み相談をいつでも受けるってとこだなw ありがとうな、アル」


「サンク様……! はい、謹んでお受けいたします!!」


「さーて、わんわん泣いてたら隊員達がびっくりしちゃうから、泣き止んだら帰りましょうかー?」


「ミント様! 泣いてませんっ!!……少ししか」


「あはー。素直で良い子だわー。ゆーちゃんも、無事で本当に良かったわ。おかえりなさい」


「えぇ、お陰様で、ね」


「全て丸く収まって、よかったわー。さて、帰りましょうかー」


「ふぅっ。ホントに食えないお人だ、ミント様は。帰るか! サンク!」


「あぁ。帰ろう、俺たちの城に!」


「ガンダ様とルナ様も、心配して待ってらっしゃいますよ」


「あ! なんかもう心配やら焦りやらなんやらで頭ごちゃごちゃんなって、隊長にコネクト送るの忘れてた…! やっべぇ……!!」


「ガンダ、ルナ…こんな俺でも、待っててくれるのか……」





「城門が見えてきたな……なんか、めちゃくちゃ久しぶりな気がするよ」


「ルイナス様!!!」

「サン……ク、様っ!」


「ガンダ…! ルナ!」


「サンク様……っ!」


「おわっぷ、ルナ……ごめんな、心配かけて……」


「ダメで……す。次に、こんな…こと、したら、全力…で魔法打ち、込みま…す!」


「はっはっは、ルナ殿の魔法を全力で叩き込まれれば、跡形も残りそうにありませんな!」


「それはシャレにならないな……気をつけるよ、ルナ」


「手加減、しない……もん!」


「あぁ、もうしない。俺にはみんながいるからな……」


「はい。私もより一層精進して、ルイナス様の助けになれるよう致します……!」


「…………俺はもう、ガンダとルナには見放されたかと不安だったよ。みんなもそうだ。こんな俺のこと、心配してくれてありがとう。俺にはみんなが必要だよ。支えられなきゃ1人で立って歩けない、不甲斐ない王様だけど、みんな俺と一緒に歩いてくれ」


「う……ん!」


「勿論です!」








「ふぅーーーー。やっぱりここでキリアの淹れてくれた珈琲を飲んでる時が1番落ち着くよ」


「私も、サンク様のために珈琲を淹れている時間、好きですよ」


「すすすすすすす好きっっ、あ、あぁ珈琲ね、おおおおう、いつも珈琲ありがとうな!」


「ふふっ。何を慌ててらっしゃるんですか」


「なななっなんでもないさっ。慌ててないし!」


 な、なんかあれから、キリアの距離が近いきがする……いや、物理的表面的にはいつもと変わらないんだけど………。

 それに、あの時抱きしめられたことが、たまに頭に浮かんじゃって………のわわわわわわっ!!

 だ、だめだ、キリアの目が直視できんっ!!


 マサトなんて呼ばれたの、あの頃以来だったな……。

 ラン……ダン………2人を救えていたら、今のこんな日々はなかっただろうな。

 でも、俺は今が好きだよ。ラン、ダン。

 お前たちのことはずっと忘れないけど、それでも俺はちゃんと今を生きるよ。



「キリア、俺も好きだよ」


「ふぇっ?! な、なんですかいきなびっ! いはい……舌かんひゃいまひた………」


「何慌ててるんだよ、キリア。キリアとこうして珈琲を飲んでいるのが好きだって言ったんだけど、何かあった?w」


「もう……マサトのいじわる………」


「え、今…なんて?!」


「なんでもありませーーん! はい! 休憩は終わりですよ! これとこれとこれとこれに目を通してサインして下さい! あとこっちとこっちは確認したら私のところへ! 全部今日中にお願いしますねっ!」


「ええええ?! ちょっと、これ全部今日中?! 多すぎないか?! キリアさーーん、助けてーーー!!」


「知りませんっ! アルさんがなんでもするらしいので、呼び寄せて手伝ってもらって下さい! 私は自分の仕事がありますのであとでまた来ますねっ」


「アーールーーーー!! 助けてーーー!!」



 こうやって、俺の……俺たちの日々は過ぎていくんだ。





ーーーーーー





「ミント様……なんでマサトのことを煽った?」


「煽ったなんて人聞きが悪いわー。アタシは事実を言っていただけよー?」


「その事実を伝えることで、マサトがあぁなるのはわかっていただろ?」


「そうね……。でも、誰かがしなきゃいけなかった。ちがう?」


「違うとは言い切らないが……でも、別の方法だってあったはずだ」


「さんちゃんは、極端に心が弱くなってるわー。壊れかけてる、と言ってもいい。1度壊れて、作り変えないといけなかった」


「それにしたって、あんな方法……!」


「アタシが何もしなくても、そのうち壊れていたわー。最悪な状況になる前にそうなってよかったじゃないー?」


「それは結果論だろ!! あそこで彼女が死んでいたら、マサトは壊れたままだったかもしれない!!」


「結果論だろうとなんだろうと、結果、さんちゃんは足りないものに気付いたわー。そして、さんちゃんの心は強くなった。それが全てよー」


「俺は、あんなやり方は嫌いだ………」


「だから、アタシがやってあげたのよー」


「ミント様は、俺たちをどうしたいんですか………」


「どうもしないわよー? あなた達が幸せに生きてくれれば嬉しいわー。罪は、罪を犯した人が背負わなければいけないのよ」


「それは……どう言う…………」


「なんでもないわー。言葉の綾よ。それじゃーアタシはこれからお・ふ・ろっ。ゆーちゃんも一緒に入るー?」


「帰ります………。ミント様は、俺たちの味方……でいいんですよね」


「もちろんよー。あの日、あなた達と出会った日からずっと。アタシは……あなた達に償いをしているのだから」


1章はこれで完結です。

次から2章となります。

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